気持の良い朝の空気。
爽やかな風がベランダから静かに忍び込んできます。
朝日を拝みながらハノイの街中を眺めてみます。
高級レジデンスから地べたを這うように立ち並んでいる粗末な家並みまで・・・
一目見て「貧富の差」を感じるベトナムハノイの街並みです。
「賃貸くん」の仕事をしていると、日々たくさんのアパートをお客様にご案内します。
その度に「アパートオーナー」さんとお会いすることになるのですが・・・
いろんなオーナーさんがいますね。
- かなり高齢のおじいちゃんだったり
- 貴婦人のような中年のおばちゃんだったり
- 30台くらいの若い頭の良さそうな男性だったり
- まだ20台くらいの若い新婚の奥さんだったり
もし私がベトナム語を駆使できれば、必ず聞くのは
「あなたはなぜお金持ちなんですか」
聞けないかもしれません(笑)
しかし・・・大変興味がありますね。
かなり高齢の叔父さんがでてくれば、「ああ、お役人さんだろうな」と大体想像は付きます。
しかし20台から40台前半の若い人なら、
「金の鉱脈でも見つけたのかな」
と不思議に思います。
日本のように、住宅ローンを借りて頭金を払えば家が持てる・・・
残念ながらベトナムは、まだそんな体制ではありません。
庶民にとって家など、夢のまた夢。
当社のエースHongちゃんは、ハノイの最高学府を卒業しています。
その友人さんも、日系の会社に就職したり、世界規模で活躍する会計監査法人などで仕事をしたりしているそうですが・・・
おそらく自分のお給料だけでは、不動産を購入するレベルには届かないそうです。
安い条件の悪い3階建て以上の中古住宅ならいざ知らず・・
皆が欲しがる新しいコンドミニアムとなると、何年働いても・・・届かないと言うんです。
ベトナムの新築マンションなど高すぎ・・・とても現時点のベトナム人のサラリーで追いつくような額ではありません。
では、私達が日々目にするアパートを購入できたオーナー達。
どんな方々がオーナーになっているかご説明しますね。
これを説明すれば、「どうして買えたのか」をご理解いただけるかと思います。
日々アパートオーナーと会話をしている当社のスタッフに聞いたところ、次の3パターンの素性のオーナーに分類されるようです。
- 政府のお役人、もしくはそのコネを持つ民間の方
- 親が事業に成功して大金持ちの家の方
- 「越僑(在外ベトナム人)さん」の後ろ盾を受けて名義人になっているだけの普通の人
若いけど持ち前の才覚でビジネスを成功させた「Vietnamese Dreamer」、こんな若者に出会った試しがありません。
どちらかというと、そんな若者から「お布施を強要する側の方々」がオーナーになっています。
ベトナムには相続税・贈与税という仕組みはありません。
他、香港、シンガポール、タイ、インドネシアも同様です。
「富を公平に社会に分配して、財産を一部の個人に長期間偏らないようにする」
そのための相続税・贈与税ですが、「持てるもの」から「持たざるもの」への富の還元など、今のベトナムでは考えられないことです。
税制を整える側のお役所の方が「持てるもの」になっている現状では、どうしようもありません。
「親が稼いだ資産を子供のために残して何が悪い」
相続税最高税率が50%の日本で生活する我々からすると、若干羨ましい話にも聞こえるのですが・・・
しかしこれでは、
「裕福な家庭に生まれた一部の人達だけがずっと裕福」
で、若者達の持てる「夢」にもランクがついてしまう世の中になってしまいます。
というか、今はそうなっています。
また、土地の収用もベトナム政府の意志で強制的に執行することができます。
今大きなアパート群が林立しているエリアが、ハノイ市内には結構あるかと思います。
そこには必ず個人が先祖代々守ってきた土地も「相当数」含まれていたはずです。
日本なら高い立ち退き料を払い、あるいは住民の方々の次の家まで確保した上で地上げを進めて行きます。
しかし、こちらは雀の涙のような金額で半ば強制的に国が収用します。
その後の開発事業で、莫大なお金が生まれます。
お布施が乱れ飛びます。
そんなお金の一部がコンドミニアムの購入代金に流れていく訳です。
一昔前までは、「越僑(在外ベトナム人)さん」達のベトナム投資が制限されていました。
が、最近は大分緩和されて、直接海外からベトナム国内の不動産を購入できるようになってきています。
しかし、今でも海外で活躍する越僑さんを親類に持つベトナム人が、その越僑さんからの資金を利用して、自分名義でコンドミニアムを購入するケースもよく見受けます。
我々日本人からして、この越橋さんの投資額って、あまりピンと来ないと思います。
日本の対越ODA額と比較していただくと分かり易いかと思います。
2012年日本の対越ODA額は2.080億円で過去20年で最高額となりました。
で、越橋さんの対越投資額は同じ2012年で約1兆9200億円に達しています。
なんと空前絶後の日本対越ODA額の10倍近い資金が、海外の越橋さんからベトナム国内に流れ込んでいる計算になります。
凄まじい程の資金力です。
越橋さんが実は今のベトナムの経済を支えていると言っても過言ではありませんね。
そして、そのお金の一部がコンドミニアムの購入代金に流れています。
ベトナムハノイの街中でよく目にする高級外車を乗り回すベトナム人、
高級ゴルフコースに日参するベトナム人、
高価なコンドミニアムを何件も購入するベトナム人、
今の「ポジション」で、「親の力」で、「越橋さんの財力」で・・・
舌を巻くような高額コンドミニアムを買うことができている一部のベトナム人の方々。
決して本人自らが持つ「実力」で手にれた訳では無いということです。
今の「ポジション」を掴む為のコネを持っていたことや、お金持ちの親や越橋さんと繋がっていることも多少「実力」の必要なことなのかもしれません。
しかし、手にした資産に100%見合う「実力」か、というと薄ら寒い気がします。
私が聞いても「アホらしく」なって来るわけですから、当のベトナムの若い方々はどう受け止めているんでしょうか。
当社の高級スタッフ「Thuy君」は、何十年働けば家が買えるようになるんでしょうか。
この話をエースHongちゃんにしてみました。
そして、「どう思う?」と質問したら、しばらく下を向いて考えた後、こう話してくれました。
「確かにベトナムのお父さん、お母さんはすぐに子供に資産を残そうとします。
でも、私は間違っていると思う。要らないと思う。
きちんと仕事ができる為の力を持つ方が大切だと思います。
私は大学まで行かせてくれた両親に、本当に感謝しています。
それだけで充分。
今のベトナムの若い人は、力も無いのにすぐお給料の高い低いを話します。
何もできないのに、教えて貰ってお給料もらうのに、
間違っていると思います。
今は仕事ができるための力を付けることが大事だと思うんだけど・・・」
とても地に足の付いた意見です。
道理で仕事ができるはずです。
お金を得る為には、仕事をこなす力が必要だ、だからその力を伸ばす。
力も無いのにお金だけ貰っても使いこなせないから意味が無い。
こう信じて日々仕事に打ち込むベトナムの若者が、Hongちゃんに限らず確実に増えてきていると思います。
そんな若者達がいつか今のベトナムを動かす立場になり、「Vietnamese Dream」を地で行く若いエリートビジネスマンとしてベトナムの礎を築いていってくれる、そんな世の中になって欲しい・・・
そう願う、今日この頃です。
◆少しでも皆様のお役に立てれば嬉しいです。
↓ 1クリックよろしくです!
にほんブログ村