のどかな蓮池の風景。
タイ湖東岸にあります「Sedona Suites」から臨むことができます。
有名なサービスアパートです。
「サービスアパート」は主に大手不動産投資会社が開発し、外国人向けに充実した付属設備(プールやフィットネスジムなど)を整えて提供される「賃貸住宅」です。
日本の分譲マンションのように「区分所有権」が付いた一戸分譲されるものではなく、全て賃貸物件です。
逆にベトナム人富裕層をターゲットに充実した付帯設備を整えて売買物件として分譲される住宅があります。
富裕層のニーズに応える為に、アパートメント棟だけでなく、近接してオフィス棟を構えたり、スーパーマーケットを始め各種専門店、レストラン、スイミングプール、フィットネスジム等々・・・
一昔前のベトナムでは考えられないような「豪華コンドミニアム」が最近目白押しです。
以前も一度ご紹介しましたね。
- Sky City Towers
- Golden Westlake
- Keangnam Hanoi Landmark Tower(カンナム ハノイ ランドマーク タワー)
- INDOCHINA PLAZA HANOI(インドシナプラザハノイ)
- VINCOM MEGA MALL ROYAL CITY
このような贅沢アパートがそれです。
まずベトナム人が購入します。
投資目的で買ったあと、何も手を加えずそのまま放置するオーナーもいれば、自分たちで住むオーナーもいます。
そして外国人向けに家具や電化製品を揃えて賃貸に出してきたものが初めて、「賃貸物件」として日本の皆様にご紹介することができます。
さて、こんな分譲アパートをベトナム人ではなく、我々外国人でも手に入れることはできないのか・・・というのが今回のテーマです。
この写真は「レッドノート(土地使用権証明書及び家屋所有権証明書)」と呼ばれるもので、日本で言えば「権利書と登記簿謄本を一緒にしたようなもの」でしょうか。
国が正式に「不動産所有」を認めた「公的書類」ですね。
不動産を購入した際に、その所有権を証明する書類として発行されるものです。
この「レッドノート」が有る無しでは、後々売買の際の売買価格が大きく変わってきます。
当然「レッドノート付き不動産」は付かない不動産より高値で取引できることはもうご理解いただけるかと思います。
内容は所有している土地と建物の大きさ、簡単な地図(一応燐家との境界がどの辺りかがわかるレベル)などが記載されています。
さて、この「レッドノート」ですが、最初に土地・建物のオーナーになる方が、煩雑な手続きを経て入手しなければなりません。
もちろんオーナーは自分の不動産を売る時のことを考えて、是が非でも入手するよう役所に粘って交渉します。
そこそこの「付け届け」も必要なのでしょう。
しかし、この「レッドノート」を持っていないオーナーもたくさんいるんです。
なぜ持っていないのか・・・?
国に正々堂々と所有権を主張するのに絶対に有利な書類です。まさに日本でいう「権利書」のようなもの。
要らないオーナーなど1人もいないはずです。
簡単な話です。
不動産購入に伴う税金や手数料を払わないオーナーがいるからです。
購入価格の1割くらいの諸経費(手数料)がかかりますが、これを払わないオーナーの手元には、当然「レッドノート」は交付されません。
しかし元々売買価格はとても高いんです。
買うだけでも大変な上に、約1割ほどの諸経費(登録料や土地利用料など)まで・・・手が届かないベトナム人が多いんです。
以上を踏まえて私達外国人がベトナム人オーナーの不動産物件を中古で購入する場合、気をつけないといけないのは、
「オーナーがレッドノートを持っているかどうか」
です。
レッドノートの移転手続きが、「所有権移転登記」と同じ効力を持つということです。
とても大事ですね。
今年の5月3日にベトナムの新聞「ラオドン」の電子版で、ハノイに在住する在外ベトナム人(越僑)及び外国人に対する「レッドノート」発行に関する決定を公布しました。
その内容は、
5月4日から、規定された条件を満たし納税などの義務を果たしている越橋及び外国人に対して、ハノイ市内の土地使用権及び土地に付属する家屋や資産の所有権が認められる
というものです。
実際ベトナムでは2008年から、外国組織及び個人に対する家屋の購入及び所有の許可が試験的なレベルで実施されています。
しかし資源環境省登録統計局の統計によると、2013年2月までに越僑及び外国人に家屋の所有を認めた例は全国で427件に留まっています。
まだまだ我々のような外国人には開かれた不動産市場ではないということです。
- 購入できるのは集合住宅1戸のみ
- 所有期間が50年に限定される
- 個人の場合は取締役レベルでそれを証明する書類が必要
- 大統領から勲功メダルを授与された者なら即OK!
条件に見合う対象者はかなり限定されることと、利用の範囲も日本同様自由な利用とは言えないレベルです。
ただ、その後建設省が外国人の住宅購入条件を大幅に緩和する案を提出してきました。
8月21日付トゥオイチェー紙(電子版)の記事です。
「提案」レベルです。
「決定」ではありません。
しかし、結構現実的に不動産購入の為の「敷居を下げた」発表になっています。
- 購入できる住宅は「集合住宅」以外に「戸建て住宅」も追加
- 個人であれば3ヶ月以上の査証(ビザ)があれば、外交機関や非政府組織(NGO)の職員を除き誰でも住宅を購入できる
- ベトナムに拠点を置く外国の投資ファンド、銀行、企業の支店・駐在員事務所にも住宅購入を認める
- 購入できる住宅の数量は「無制限」と「2軒まで」とする2つの案を併記
- 所有期限は「50年(1回のみ延長可能)」と「70年(延長不可)」の2案を併記
- 外国人が購入した住宅を賃貸することも認める
かなり下げていますね(笑)
「ほんとか?」
思わず腕組みしてにやけてしまいそうな「譲歩」です。
特に最後の、「外国人が購入した住宅を賃貸することも認める」というのは驚きです。
ベトナム人のパートナー無しで、私達でもアパートを購入して、賃貸アパート経営ができるようになる、ということです。
本当に実現すればの話ですが。
今、ベトナムの不動産価格は低下を続けています。
最近タイ湖東岸エリアのアパートやVillaタイプなど、ベトナム人の富裕オーナーが持っている物件価格はバブル旺盛な頃に比べて40%くらい下がっているものもあります。
人気のエリアであるからこそ、強気な価格設定でしたが・・・大幅な値下げをしないと買い手が付かないのが現状です。
値下げの原因は、当たり前ですがベトナムが不景気だからです。
ベトナム政府の本音として、この冷え込んだ不動産市況を活性化するのに、在外ベトナム人(海外に出て活躍するベトナム人:越僑)や外国人の資金力を利用したいところなのでしょう。
しかし、一部の国による大量買い占めなどされてしまう警戒心も根強く、賛否両論です。
先ほど「2013年2月までに在外ベトナム人(越僑)及び外国人に家屋の所有を認めた例は全国で427件」と申し上げました。
所有を役所が認めた例は427件かもしれませんが、実際は我々日本人を初め外国人がパートナーのベトナム人を経由して不動産を購入した件数はもっと多くなります。
ベトナムの役所から「ガラス張りの管理」を受けるぐらいなら、信用できるパートナーに出資して共有しながら不動産を手に入れた方が楽に維持できる・・・
そう考える外国人が多いのは明白なことです。
ベトナム人の女性と結婚した男性が、奥さん名義でアパートを購入した例など山ほど耳に入ってきます。
今のベトナムは、一応不動産バブルは既に弾けた後です。
共同パートナーさえ見つかれば、良い物件を安く手に入れるチャンスかもしれません。
また、大人数でベトナムに進出する予定の日本企業様とすれば、アパート一棟ごと購入して社宅として長く利用するということも可能性として出てくるかもしれません。
パートナー無しで直接不動産を購入できるようになってくると、今後ベトナムでの活動も時間短縮できて活発になってくることは間違いありませんね。
ただ、今度はベトナムの売買物件の善し悪しを判断する「目利きサービス」が必要になってくるかと思います。
「レッドノート」を所有していないオーナーでも、
「持ってるよ」
と平気でとぼけるベトナム人オーナーは、確実にいると思います。
安心できるプロの「日系不動産売買取引業者」の活躍が求められる日が、もうすぐそこまで来ているのかもしれません。
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