ベトナムの若者達の将来について・・続編です

ベトナムの日の出に必要なこと、それはわかりきったことなんだ

ベトナムの日の出に必要なこと、それはわかりきったことなんだ



ハノイリビングの田口です。

先日、昼食を食べに和食レストランへ行くと、以前大手証券会社にお勤めで、今はマーケティングコンサルタント会社を自ら経営されている方とばったり遭遇しました。
何度かお食事もご一緒させていただいたこともあり、久しぶりだったので、同じ席でランチミーティングのような恰好となりました。

長年ハードな証券会社で実績を積まれた方です。
もうハノイで長くお仕事を続けてこられ、ベトナム全体の金融事情にも大変明るい。
仮にAさんとお呼びすることにします。

今日は「ベトナム金融の碩学Aさん」との語らいで私が聞き知ったことを、皆様に共有させていただきます。

金融の知識だけに限らず、コンサルをするお客様の為に幅広くベトナムの経済状況を「数値」で追いかけておられるAさん。
私が日頃理解できないでいたことを、折角のチャンスなのでぶつけてみました。
お聞きした内容は次の3点です。

  1. 「ベトナムの1人当たりGDP、他国に数十年の遅れ」なぜこうなるんだろう?
  2. ハノイの土地はなぜこんなに高いのか?
  3. ベトナムの若者の本当の就職率は40%前後、どうすればいいんだろう?

順にご説明していきます。

「ベトナムの1人当たりGDP、他国に数十年の遅れ」なぜこうなるんだろう?



私がこの疑問をAさんにぶつけたのは、前日に読んだ以下の記事があったからです。

ベトナムの1人当たりGDP、他国に数十年の遅れ

2015年9月3日付けVIET JO(ベトジョーベトナムニュース)に出ていた記事なのですが、どうして印象に残っていたかと言うと、ベトナム人の1人当たりGDPがこのままの経済成長で行くと、ラオスやカンボジア、ミャンマーに数年で追い越される可能性があるというショッキングな内容だったからです。
世界銀行によると、現在の国民一人当たりのGDPは、

  • ベトナム:1910USD(約20万5000円)
  • ラオス:1645USD(約17万6000円)
  • カンボジア:1007USD(約10万8000円)
  • ミャンマー:900USD(約9万6000円)

(参考までに日本の一人当たりのGDPは2014年時点で約360万円、世界No1のGDPを誇るのはルクセンブルクで約1,100万円です。)

ベトナムの経済専門家らは、経済成長低迷の理由を、

  • 経済成長への効果が薄い非効率的な公共投資に巨額の資金を投じてきたこと
  • 国営企業やFDI企業に対する免税など過度な優遇策を続けてきたこと

として見直しの必要性を訴えている・・・とこんな内容でした。

「しかし・・・ベトナム人の一人当たりのGDPってそんなに低いものでしょうか?」

素朴な疑問です.

私がハノイに着任した2011年からずっとことある毎にベトナム人のGDPが低いという話は耳にしてきました。
タイやインドネシアに水を明けられているというなら、何となくわかりますが・・・
カンボジアやラオスに肉薄されているという統計数字が、どうもピンと来ないんです。

ちょっと脇に外れますが、GDP(国内総生産)というのは、簡単に言うと、

平均して国民1人が必死で働いて稼いだ儲けのトータル額

ということです。
ラオスと差ほど変わらないというのがどうも合点がいかず、Aさんに尋ねると、

「じゃあ、田口さん。ハノイの街中でレクサスやポルシェやフェラーリーがバンバン走っていますね。GDPが本当に低いと思われますか?」

確かにそうです。
いろんなベトナム人オーナーと会ってきましたが、確実に自分より遥かに金持ちだと思われる富裕層ばかりです。
一人で数千万円するようなコンドミニアムを何戸も購入するようなオーナー達です。
ハノイやホーチミンの街中を歩いて、この国がラオスやカンボジアに迫られるほど経済停滞しているようには思えない「派手さ」を実感させられます。

「要するにどこが発表しているのか知りませんが、GDPの数値など今の実態経済を反映しているとは思えないですね。
何故だかわかりますか?」

Aさんの「実態経済」という言葉で、あるシーンを思い出しました。

以前、銀行の窓口でドルをベトナムドンに両替している時、私の横で20代らしき若いお兄ちゃん2人連れが、座っていました。
目の前には、山積みの50万ドン札が2束、無造作に並べられています。
私達日本人が見ても、思わず息を呑む程の大金でした。
それをぞんざいにカバンに押し込み、そそくさと銀行を後にしていきました。

「銀行強盗のようなヤツらだな・・・」

思わず出て行く後ろ姿を見送ったことがありました。
日本ではまず考えられません。

そう、これが実態経済です。

「GDPという統計データーは、裏付けとなる銀行情報が不可欠です。しかしこの国はいまだに現金が銀行を経由せず走り回る現金経済が幅を利かせているでしょ。
銀行を通さないお金の動きはGDPに反映されません」

Aさんの言うとおりです。
銀行を経由しないお金の動きがなんと多いことか。
逆に、銀行経由にすると足が付くから、敢えて現金のやりとりを選択する。

税関で、役所で、ベトナムローカル企業で、学校で、道の辻辻で・・・

これらのお金はベトナム人が必死で働いて稼いだ儲けのはずですから、もし全額GDPにカウントさせると、もっとましな結果になるのは目に見えています。

ベトナムと日本のインフレ率の推移

ベトナムと日本のインフレ率の推移



このグラフは、世界経済のネタ帳より「インフレ率の推移(1980~2015年)(ベトナム, 日本)」から参照させていただきました。

Aさん曰く、

「本当の経済の活力を一番簡単に示す統計データーは、インフレ率だと私は思うんです。
GDPより消費マインドに忠実な統計データです。
ベトナムのマクロ経済は、ここ10年間増加の一途をたどっている、などと言われるんですけど・・・
その恩恵は、ベトナム国民一人一人に還元されていないと思うんですね。
その理由はここ20年ほど全くインフレが起きていないからです。
やっぱり購買力は上がっていないということになるんです。」

Aさんに言われて調べてみた結果、先のグラフを見つけました。
確かにその通り、直近の20年間は、日本同様地を這うような動きのないインフレ率グラフです。

「企業で稼いだ利益が、末端の社員に行き渡っていないということですよ。
ベトナム企業の大半は国営企業でしょ。しかも国を支える重要基幹産業は全て国営企業ですね。
一部のベトナム人は外資系で働けますが、その他大勢は国営企業に入ることになります。
その国営企業内で・・・お金が詰まっているのではないでしょうか」

インフレにならない理由は、国民の購買意欲に火が付かないからです。
大部分を占める「裾野の人達」には、豊かさを実感出来るレベルに達していないということです。

私は以前、テト前のスーパーマーケット「BIG C」での大混雑を経験したことがあります。
あれを間の当たりにして、

「お金持ちが増えているんだな」

と実感したものですが、意外や意外、ベトナムでインフレーションが起きていない・・・
最近の原油安も関係しているとは思いますが、しかし最近の20年間インフレ率が上がっていないんです。
こんなに若い人達が居る国なのに、です。

今のベトナム国民は、豊かさを享受できているのはほんの一部の人達だけで、その他大勢の方々は、ハノイやホーチミンから離れた故郷で、豊潤な土地から得られる農作物による「ほんの少しの豊かさ」を味わって生活しているのではないかと、思いました。

「ベトナムの1人当たりGDP、他国に数十年の遅れ」

GDPの数字だけでは推し量れない経済体質のベトナムですが、若い国民がすべからく豊かさを伴う消費生活を営めない現状がこれ以上続くと・・・
その反動として「働いても無駄」という諦めが蔓延してしまう、これが一番怖いことだと思います。

ベトナムの若き「ビル・ゲイツ」や「マーク・ザッカーバーグ」はいつ飛び出してくるのでしょうか。

ハノイの土地はなぜこんなに高いのか?



この質問は、先日私が登壇しました「カルティベートトーク」でお客様よりいただいたものです。
いざ何故かと問いかけられると、核心のついた答えができず、思い出してついAさんにそのまま尋ねてみると、

「ははっ、それはね、土地の取り引きが行われていないからですよ」

・・・なんと、そうか。

そういえば、ハノイにアパートを持つオーナーは、絶対土地を手放しません。
その土地の上に建物を建てて、賃貸業をするんです。
手広く何棟もサービスアパートを経営しているアパートオーナーも、全て土地から取得して、一から建物を建てているケースなどまずありません。
元々の地主から安く「土地付き建物」を借り受け、改築して外国人に高く貸しているんです。
何度も申し上げますが、土地から買ったと言うオーナーの話など、聞いたことがありません。

土地の売買など行われないので、事例が生まれない、つまり売価が定まらないんです。

ということは、昔高値で取り引きされた時の相場が、そのまま凍り付いて張り付いているだけだというAさんの見立ては当たっていると思います。

2015年1月12日付けVIET JO(ベトジョーベトナムニュース)「ハノイ市中心部の公示地価、2倍に引き上げ」

この記事にも書かれていますが、一番高いハノイの土地は、Hoan Kiem(ホアンキエム)区「Ly Thai To通り」の表通りで、公示価格は1億6200万VND(約91万円)/㎡
私の大阪のオフィスがある「谷町四丁目」の有名オフィス街でも約65万円/㎡と、Hoan Kiem(ホアンキエム)の一等地には負けていると言うんです。

そんなはずがありません。
どう考えてもおかしい。
ベトナムの公示価格は実勢と大きくかけ離れているというのが専らの評価です。

わざと高値に据え置く意味が、ひょっとすればあるのかもしれません。
が、ホーチミンのようにある程度土地取引が活発になっていると、やはり実勢価格が反映されて下がっているんです。

ただ、それだけなんです。

従いまして、ハノイ市内はほぼ100%、土地は長期賃貸借で、オーナーさんから借りるという取り引きに限定されます。
つまり、我々日本人が何か路面店などをやりたいと考えれば、常にベトナム人土地オーナーとの付き合いをしていかないといけないということです。

その土地オーナーは表に出てこない政府系の方である場合が意外とハノイは多いのが特徴です。

ベトナムハノイの若者の本当の就職率は40%前後、どうすればいいんだろう?



Aさんと分かれ、事務所に戻るタクシーの中で、先ほどまでの会話を思い返していました。

ベトナムの伸び盛りの若者達。
優秀な若者であればあるほど、今の政府の対応に不満をたぎらせているようです。

以前の投稿記事、「ベトナムの若者達の将来について」でも少し、ベトナムの若者が置かれている、なかなか伸び上がっていけない現状を書かせていただきました。

ひょっとしたらその時の稿でご紹介した、日本留学帰りのIT企業の社長は、未来のビル・ゲイツなのかもしれません。
それ程優秀な方でした。

しかし、皆が優良私立学校や海外留学にいける訳ではありません。

今たくさんの大学生が周辺の地方よりハノイに来て勉強しています。
しかし、きちっとした、「きちっとした」という意味は、会社の正社員として社会保険手続きも受け、毎月末固定給を指定口座に振り込まれる、そんな日本では当たり前の制度が揃った企業と言う意味ですが、そういう会社に就職できる割合は、大体全体の40%前後だというんです。

つまり毎年残り60%の大学生は、

  • アルバイトをしてハノイ、ホーチミンに住み続けるか
  • 故郷にある簡易作業のワーカーとして保険も加入してもらえない単純労働に就くか
  • 故郷に戻って親の農業の手伝いをするか

このいずれかの選択を迫られるんです。
わざわざ親が苦労をして、我が子供にお金の掛かる「ハノイやホーチミン就学」をさせたにも関わらずです。

なぜ、毎年6割もの若い学生達が、まともな企業に就職できないのか

これは思うに、ベトナム政府がしっかりと産業を育ててこなかったからでは無いかと、単純にそう考えます。
国の若い人材が半分以上「まともな」会社に就職できないという現状は、どう考えてもおかしい。
しかし、そんな大学卒業の若者達を受け入れることができる「まともな会社」の絶対数がまだまだ少ないということです。
それに起業しても・・・継続するに難しい問題が多々あるということです、この国は。

国が富むためには「自国製品」が不可欠です。
いつまでも外国製部品を輸入し、ベトナム国内で組み立て、ベトナム人に販売しても、所詮は外国製品のアセンブリ販売なので、大きな利益はベトナムには落ちません。

「made in Vietnam」を生み出す環境作りをベトナム政府は本腰を入れて取り組まないといけません。

会社に戻り、当社のスタッフに知っている「made in Vietnam」製品を聞いてみました。
皆腕組みして考えます。

マダムHuyen「魚とか海老とかある」
田口「うん、魚介類は海から捕るだけね。ベトナム人が作り出しているものって何かある?」
Tinhちゃん「竹とかで作るやつ」
田口「ああ、工芸品みたいなやつね」
マダムHuyen「服とか靴とか作ってる」
田口「ああ、日本でも『made in Vietnam』って書いてある服よく見かけるね」
Tinhちゃん「あっ有った、コーヒー!」

そう、コーヒーとかお米とか、思いつくモノはそんなもの。
ひょっとしたらIT系のアプリとか、どんどんベトナムから商品化されているのかも知れません。
今、ベトナムの優秀な若者は、IT系産業に流れていっているようです。

多くの若者を抱えるベトナムは、その若い有り余る労働力を使った「単純労働集約産業」から「技術立国」へいずれは移行していかないといけません。
「技術立国」がベトナムに適した産業なのかどうか、私にはわかりませんが。
しかし、世界と普通に戦えるベトナム企業がもっと出てこないと、国にお金は落ちていきません。

若い優秀な人材に自由にビジネスをやらせる社会体制を。

妙な「むしり取り」は良い加減止めて、逆に金利の安い融資制度を作り、ベンチャー企業育成を本腰入れて取り組むくらいの斬新な提案を示してもらいたいと。

多くの優秀なベトナムの若者達が縦横無尽に駆け回ることができる日が来ることを・・・
その為にも頑張りたいと思います。

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田口 庸生

田口 庸生 の紹介

初めまして、「ハノイリビング」営業担当の田口(たぐち)です。 日本より初めてベトナムのハノイに着任された日本の皆様、 愛するご家族を日本に残し、初めての「海外単身赴任」をこれから経験される皆様、 快適なハノイでの生活を満喫していただくために、皆様の「お住まい探し」から「入居後のサポート」まで一貫した「窓口対応」を請け負います。 「ベストマッチ」を合い言葉に・・・ どうぞお気軽にお問い合わせください。 お待ちしております。
カテゴリー: ベトナム時事   タグ: , ,   この投稿のパーマリンク

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