いきなりパン屋さんの写真。
これは今ハノイで赤丸急上昇中のコンドミニアム「INDOCHINA PLAZA(インドシナプラザ)」にある韓国系の焼きたてパン屋さん「TOUS les JOURS」。
今回の稿は、「ハノイリビング」で目下赤丸急上昇中の新人「深田君」のお手柄話ですので、つい引っかけてアップしてみました。
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最近チェックインしていただいたお客様から朝電話が掛かってきました。
「すみません、夜中の騒音がすごくて・・ちょっと体調崩しそうです。
入居時からずーと鳴り止みません。申し訳ないですが解約させてください」
ご入居してまだ1ヶ月も経っていません。
1年契約をしていただいたそのアパートは、600ドルの築浅サービスアパートです。
40㎡ほどのこじんまりとした、単身者向けの綺麗なアパート。
現地採用の日本の方がお客様です。
気に入っていただいて、私達も嬉しかったんですが・・・こういうことに。
ところが更に困ったことに・・・
途中解約の電話を受けたその日は、その同じサービスアパートの違う階のお客様との契約日だったんです。
本日社長様といっしょに日本からお越しになり、契約とデポジット(敷金)の受け取りをする約束でした。
「これはいかん・・・デポジットはオーナーには渡せない」
たまたまお客様から受けた「夜中の騒音」の話。
それを知っていながら、同じアパートの契約を取り結ぶことはできません。
そのまま契約書にサインをし、デポジットを渡してしまうと、契約は成立です。
その後の途中解約はペナルティとして家賃の1ヶ月分を支払わなくてはならなくなります。
貸し側(アパート側)も借り側(お客様側)も共通に持つこの途中解約の権利。
お客様が契約途中で解約をせざるを得ない場合、1ヶ月前に通知をして1ヶ月分の家賃に相当するペナルティを支払えば、契約を途中解約することができます。
また、逆に貸し側(アパート側)がやむにやまれぬ事情でお客様に出て行って貰わなければならない場合、預かっているデポジットと既に入金済の前払い家賃(超過分を日割り計算の上で)をお客様へ戻した上に、1ヶ月分のペナルティを支払えば・・・借り側に退去を依頼することができます。
サービスアパートの数だけ契約の種類がありますが、ハノイの「途中解約条項」はこれが一般的です。
当社のエースHong(ホン)ちゃんと現地のアパートでお客様とお会いし、事情を説明し、一旦契約を停めることにしました。
しかしオーナー側は・・・怒りますよね。
今回の契約のために、部屋のリノベートをし、電化製品等を揃え、壁の上塗りを掛け、万全の体制でお客様を待っていた訳です。
既に準備に費用もかかっているので、当然本日受領できるはずの「デポジット(敷金)」を当てにしていたはずです。
「今までこのかた、騒音が理由で契約が前に進まないなど、1回も無い!」
オーナーも納得が行きません。
オーナー側が「怒りの徹夜調査」をすることになりました。
オーナー側近のスタッフがその日の夜中、アパートの部屋で見張っていましたが・・・「全く騒音などしなかった」と言う回答が帰ってきました。
しかし一晩だけの調査では分かりません。
それにオーナー側のスタッフの調査結果です。
どこまで信憑性があるものやら・・・わかりません。
当社も人を出して「夜間張り付き調査」をする必要が出て来ました。
その白羽の矢が当たったのは、もちろん赤丸急上昇中の新人「深田君」。
まさに適任です。
「夜更けと明け方の2回、音がしてもしなくても必ず部屋から外の雰囲気をカメラに収めてな。
・・・撮れたら昼までそのまま寝てても良いから。寝過ごしたら朝から出勤ね」
ビデオカメラを渡して深田君に託しました。
期待に応えてくれた深田君。徹夜で張り込んだ結果・・・
夜中に目が覚めてしまうような「騒音」は、その日も出なかったんです。
ご入居いただいたお客様からのクレーム。
それが「音」とか「臭い」というような、共通のモノサシで計りにくいモノの場合・・・
大変厄介です。
ドラムが趣味のお客様がいたのですが・・・
毎日「消音モード」でアパート内で練習をされていましたが、下の階に住む北欧人の大男さんがとうとうぶち切れて、お客様の玄関扉をたたき壊した事件もありました。
お客様もタオルを何十にも敷いて、かなり気を遣っていました。
大好きなドラム・・・誰も人の趣味を停めることもできません。
事がこじれる前に、そのお客様に帰任辞令が降りたことを知った時のうれしさと来たら(笑)
「不動産業はクレーム産業」とよく言われますが、今回のケースを考えるとつくづく実感させられます。
結局契約を一時停止していたお客様には、「音」の調査結果をそのままご説明し、万が一起きたとしてもオーナー共々誠意を持って対応させていただくということで、契約の運びとなりました。
また契約の途中解約を依頼されたお客様については、オーナーさんと直に会って膝詰めで交渉しました。
契約書通りで行けば、
「1ヶ月前の通知」になるために1ヶ月間そのままお住まいいただき、その後1ヶ月分のペナルティをお支払いして退去する
という流れになります。
しかし、今回のオーナーさん曰く、
「うるさいと感じるのであれば仕方がない。ペナルティなど取りたくないので・・・そのかわり次のお客様を早く連れてきてください」
話の分かるオーナーです。
こういうオーナーとつきあって行きたいと思うんですね。
もちろん、退去希望のお客様には1ヶ月間で次のお部屋探しをすること、またオーナーには退去後の替わりのお客様を付けること、をそれぞれ約束を致しました。
踏ん張らないといけません。誠意を見せてくれたオーナーの為に。
徹夜調査が終わった後、ヘロヘロの深田君が慣れないベトナム語を駆使して近くの料理屋さんで聞いた話によると・・・
やはり数日前に、大きな音が夜半にしていたそうです。
音に敏感なお客様にとっては、辛い騒音だったのかもしれません。
皆様に注意していただきたいのは、賃貸借契約の「途中解約」についての考え方です。
先に説明したように「お互いペナルティ1ヶ月分」を支払った場合のみ「途中解約」ができるのですが・・・
救済処置もあります。
以下の3点です。
- 会社契約の場合新しい赴任者が入れ替わりで継続して住む場合(居住者チェンジの手続きだけで問題無い場合)
- 会社の転勤辞令のコピーを提示すれば許される場合(我々業者の交渉が必要になってきます)
- 「Diplomatic Clause(ディプロマティック クローズ)」が契約書に記載されている場合
この3点です。
いずれも取り交わした賃貸借契約書に記載されていることが前提です。
契約書の「途中解約」の条文には注意をしてください。
最後の「Diplomatic Clause(ディプロマティック クローズ)」とは、通常複数年契約で適用される条項です。
例えば2年契約の1年が経過した後、次のような理由があれば、2ヶ月前通知で途中解約が可能となるというものです。
- 転勤
- 退職
- 会社の閉鎖
- ワーキングビザのキャンセルなど
ただ、いずれにせよケースバイケースで当社のような仲介業者がお客様の意向を受けて、アパート側と交渉を致します。
規定外のような判断も、今回のように下せる場合もあります。
お任せください。
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見張り勤務を終えた深田君。
「昼まで寝てても良いよ」と伝えていましたが、そのまま午後2時まで爆睡。
「誠にもうしわけありません・・・」
スッキリとした顔で午後3時頃に会長出勤し、夕方帰って行きました。
「深田君、今日は何やってもOK Roi!」
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