今日は2月12日。
旧暦ではお正月3日目。
「ハノイリビング」スタッフのHongちゃんから自宅に招待されました。
ベトナムハノイで旧正月(テト)を迎えるのは今回で2回目です。
去年は勝手が分からず・・・日本食レストランを探し回って大変な思いをしましたが、今回は多少余裕もあり、普通に生活できております。
先日ハノイに来てくれた家内が大量に日本食材を置いていってくれたので、かなり楽させてもらっています。
さて、当社エースのHongちゃんからのテトのお誘いです。
日頃の感謝を込めて・・・何かしなければならんと思うのですが、何をして良いのか分かりません。
テト休みに入ってからのお誘いだったので、聞く相手がいません(笑)。
「Poemeのケーキでも買っていこうかな」
聞くところによるとHongちゃんのご家族は、ご両親からお兄さん夫婦とその赤ちゃん、そして妹さんもおり、サザエさん一家と同じ7人の大所帯です。
お孫さんからおじいちゃんおばあちゃんまで・・・
何を持って行けば良いのか、思いつきませんでした。
しかし、そのPoemeも今日はテト休み。
「手ぶらではいけないだろうよ・・・」
が、もう約束の10時30分まで時間がありません。
さっと買える気の利いた店も閉店中が多く・・・正直に現状をHongちゃんにメールすると、
「あなたが来るだけでいいのよ」
せめて約束の時間だけは守ろうと思い、10時30分に彼女の家に訪問させていただきました。
冒頭の写真が、Hongちゃんのご家族です。
近くに住むおばさんとその息子さんも来て、とても賑わっていました。
また、とっても大きな家・・・
すぐ近くにはHongちゃん一家だけのお寺もあり、長男であるお父さんの長年の奮迅が忍ばれます。
お兄さんと妹さん以外は全く英語が通じません。
しかしどうしてもご両親には、残業や土日出勤で「賃貸くん」を支えてくれているHongちゃんの「頑張り」に感謝の気持ちを伝えたかったんです。
その通訳がHongちゃんなので・・・当の本人はテレながらの説明となりましたが、じっと耳を傾けて聞いているご両親の笑顔が私に振り向けられたとき・・・深々とお辞儀をし、しばらく頭を上げることができませんでした。
ローカルスタッフの家族全員がそろうお正月に招待を受け、その輪のなかに入らせていただいた数時間。
初めて「ベトナム人の家族」に接して感じたのは、
「家族同士の絆の深さ」
ありきたりな表現ですが、昔の日本の良き時代の家長制度がまだ色濃く残っている感じ。
一番年長のHongちゃんのご両親が、一番元気で家の雰囲気を盛り上げ、家の中心に座っている・・・そんな風に感じました。
ベトナムハノイの人達のお正月の過ごし方は、日本と似ていてとても静かです。
親族の元へ訪問したり、訪ねて来たり・・・気の置けない人達と自宅で楽しく語らい合うのがテトの風景です。
ですのでハノイではホーチミンよりも開いているお店が少ないようです。
ただ、日本のお正月と大きく違うのは、
- 「親友や日頃お世話になった大切な人」を家に招いて家族と一緒にご飯を食べる。
- 先祖のお参りをする
この2点です。
「親友や日頃お世話になった大切な人」を招くのは元旦以外の日。元日は親族だけで過ごすそうです。
通常日本では、お正月は初詣ですね。
新しい年を無事に平安に過ごせるよう、近くの氏神さんか有名な神社にお参りをします。
ご先祖様のお参りは主に8月のお盆に執り行います。
ところがベトナムの旧正月(テト)は、日本でいう「お盆と正月を同時にやる」んです。
旧暦の7月15日にもご先祖様のお参りをするようですが、メインはやはりテトなんです。
テト直前だけでも、親族や友人に振る舞う料理の食材集めから、料理の仕込み、そしてご先祖様を奉っているお墓の掃除と親族全員でのお参り・・・
日本流に言えば、
「親族友人全員の為の豪華なおせち料理を作り、帰省ラッシュを経験しお墓参りの法要を取り仕切る」
これをテトの前後で一気にやり切るんです。
そりゃ、慌ただしくなります。
家族総動員して掛からないと、裁けない忙しさです。
Hongちゃん一家のように歩いて行けるところにお墓を持つ家庭はハノイ人としては珍しい方で、大概故郷をハノイに持つ人達はバイクや車で1時間くらいかけてお墓まで行かなくてはならないようです。
ベトナム人にとって旧正月(テト)は・・・お金が掛かるんです。
「大切な客人」としてもてなされているのに、手ぶらで行くのは・・・どう考えても失礼なんですね。
ましてや私はHongちゃんの会社の上司です。
勝手の分かっていない私を気遣ってか、Hongちゃんがそっと答えを教えてくれました。
彼女が持ってきたのは、お年玉袋。
そう、こんな場合は相手のご家族にお年玉としてお金を渡すのが通例なのだそうです。
小さい赤ちゃんからご両親まで一様にです。
「ええっ、いくら??」
本当に無知ほど怖いものはありません。
事前にこういう局面を想定して、調べておくべきでした。
「ベトナムの人達、なんか盛り上がってるな~」
こんな風にしか見ていなかった私は、上司失格です。
恥ずかしい思いをしながら、Hongちゃんに相談して自分なりに考えて、100.000VNDをお年玉袋に入れて配らせていただきました。
頑張ってくれている彼女のご家族へのお年玉。
もっと出しても・・・と言いましたが、彼女がそっと抑えてくれました。
「金額じゃないからね」
そういう私もお年玉をいただきました(笑)。
どうもお年玉は「お互い出し合う」のが通常のようです。
暖かいカーペットを敷き詰めた地べたに全員座りながらご飯を食べます。
長男のお兄さんとお母さんが爆笑トークを繰り広げています。
その様子をウォッカでほろ酔い気分のお父さんが目を細めて眺めています。
その会話をお箸を動かしながら笑顔で聞いているご家族・・・
何の話をしているのか、Hongちゃんが時々通訳してくれましたが、話の内容より家族皆さんが本当に楽しそうなのがとても印象的でした。
Hongちゃんのご家族だけではなく、やはり土地代の高いベトナムハノイで生活するには、「親と一緒に助け合って住む」ことが当たり前になっているようです。
核家族化しづらい事情により、逆に家族全員で一緒に住めることが、私にはとても羨ましく感じました。
お母さんが作った手作りの料理は、とても美味しかったです。
ベトナムハノイ流の「おせち料理」を初めて食べましたが、全体的に煮物が多く、普通に食べることができました。
中でも「Banh Chung(バインチュン)」に目が引かれました。
豚肉、その周りに緑豆の餡、一番外側にもち米。
作るのに約12時間くらいかかる保存食だそうで、あっさり味のお餅食です。
あっさり味は大好きですので、ちまちまと食べていると、お土産にいただきました(笑)。
左側の葉っぱで包んでくれているのが、その「Banh Chung(バインチュン)」です。
最近はこの手間のかかるバインチュンを買う家庭が多いらしいのですが、Hongちゃんのお母さんは未だに手作りです。
私の家内が毎年栗のシーズンになると「栗の渋皮煮」を作ってご近所に配っていますが、もうちょっと手間暇がかかるようです。
貴重な「手作りバインチュン」をいただけた私は、ラッキーな日本人なのかも知れません(笑)。
ベトナム独特のFishソースにつけて食べても美味しい(私は実はFishソースが大好きです)のですが、家には当然置いていません。
しょうゆも切れており、仕方なくポン酢でいただきました(笑)。
テト休暇で食べ物の仕入に困っていた矢先、とても貴重な保存食をGetできました。
お母さん、どうも有り難うございます。
「親から孫まで」一緒に生活をする家族は日本では珍しくなってきています。
それだけに、たくさんの親族からよってたかって愛される一番下の赤ちゃんは、「幸せだな~」とつくづく思います。
こんな暖かい家族の温もりにどっぷりと浸かれるのが、ベトナムテトの良さなんですね。
Hongちゃん、そしてご家族の皆様、本日はどうも有り難うございました。
皆様のご健康をお祈りしております。
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