ハノイリビングの田口です。
冒頭の写真。
これは、Kim Maの日本大使館横に建つ「Vinhomes Metropolis」から、むかえのLOTTE CENTER HANOIを見上げた景色です。
手前に建つオフィスビル棟は、Lieu Giai通りに面し、45階まで建ち上がっていきます。
「Vinhomes Metropolis」のM1棟1階から見上げたこの景色は今だけで、徐々にLOTTEの姿が見えなくなっていきます。
建造の配置で、対象の建物が角度的に隠れてしまうことは仕方のないことです。
しかし・・・
今日お話することは、ベトナムの悪しき習慣の上に胡座をかく、姑息なベトナムローカルの不動産業者のお話です。
健全なベトナムの不動産市場育成の為にも、こういう輩業者は、白日の下にそのやり方を晒し、糾弾しないといけないと感じています。
見えなくなってしまっては困ります。
それには、総務部門の日本人責任者様の、膿を出し切る「改革の意志」が必要なんです。
前回これに似たお話をさせていただいたことがあります。
信用を置いていたベトナム人スタッフに裏切られる問題の対処法はあるのか
これは社内のスタッフが腐ってしまうお話ですが、今回はこれに社外の不動産仲介業者が加担し、その会社のスタッフに罪悪感を感じさせないやり方で一緒に「巣くう」という、とんでもない実例です。
先日、ある大手日系メーカさんから電話が入りました。
「突然すみません、ちょっと教えて欲しいんです」
と丁寧な口調でお話を切り出されました。
そのご依頼とは、ベトナムに来られている日本人赴任者の方々が住むアパートの相場を知りたいというものでした。
皆さんのお住まいは、サービスアパートではなく、個人オーナーが購入した後、賃貸に出てくるコンドミニアムばかり。
でも、私共もよくご紹介する機会の多い物件だったので、その場で相場をご説明すると、
「・・・すみません、出来れば一度お話をしたいのですが」
思いつめたような、重たい雰囲気で依頼を受け、慌てて会社まで行かせていただきました。
その時お会いしたのは、大手日系企業の総務部門の責任者様お二人。
じっくりとお聞きした話の内容は、次のようなことでした。
その会社には日本人赴任者は約数十人ほどおられます。
毎年その内の誰かが帰任し、そして新規の入れ替わり赴任者をむかえます。
その新規赴任者の住むアパート選定を、今まで部下のベトナム人マネージャーに任せていたんですね。
もうこの構図を聞いた瞬間、私は裏でどういうことが行われるのか、想像がつきます。
案の定そのベトナム人マネージャーの元に、ベトナムローカルの不動産業者がそーっと忍び寄ります。
そしてこう言うんですね。
「あなたの会社に今後やってくる日本人、全部こっちに振っていただけませんか。
その代わり、あなたには分からないようにキャッシュバックしますよ」
毎度毎度赴任してくる日本人の部屋さがしを、毎度毎度対応するだけの余裕は、日本人総務マネージャーには無いのかもしれません。
そうするとながれとしてローカルスタッフに任せることになります。
ベトナムのアパートオーナーはベトナム人ですから、ベトナム人同士の方がやりとりもスムーズにいくと、都合の良いように割り切ってしまうんですね。
もうこうなれば、どうとでも誤魔化せます。
予算が1,500$なら、1,000$の部屋を1,500$と言って内覧し決めさせ、1,500$の天ぷら契約書を作り、利ざや500$を不動産業者とベトナム人マネージャー同士でシェアをする。
何十人もの社員のアパート家賃を長きにわたり着服する構図です。
しかしこれは、完全にコンプライアンス違反です。
私の会社は「大和トラベル」という旅行会社を持っています。
日本からベトナムへのインバウンドから、その逆のアウトバウンドと、両方をさばける会社ですが、毎年ベトナムの会社には「社員旅行」という大イベントがあります。
大して潤沢な予算を割くわけにはいかないのですが、社員の士気を上げるためには「ケチっている!」などと指摘を受けることは、さすがに避けたいところです。
毎年同じ時期に、日系企業を中心に社員旅行の受注を取りに、郊外の工業団地を行脚するのですが、日本人総務責任者様はほぼ100%、ベトナム人スタッフに「丸投げ」状態です。
それはそうでしょう。
毎年数百人規模の旅行を計画するんです。
多忙な日本人が、そんな事に毎年神経をすり減らしている場合ではないので、ベトナム人スタッフがまとめるんですが、当然当たり前のように、
「これだけ払ってくれないと、お宅には発注しませんよ」
ベトナム人スタッフがこういうことに関わると、判で付いたように賄賂を求めてきます。
しかもとんでもない額です。
もういっそのこと、日本人責任者にバラしてやろうかと思ってしまいます。
しかし・・・
そうすれば、その後の旅行依頼は、無くなるでしょうね。
最近、やたらと多い営業電話に、日本へのベトナム人送り出し機関で働くベトナム人からの人材紹介セールスがあります。
会社の代表電話に掛かってきます。
「あのー、私はThuyと言います。ベトナム人の送り出し機関で働いています。
ベトナム人の人材はどうですかー。
ああっあのー、ご紹介できたら、私はあなたに、キャッシュバックできますよ」
たどたどしい日本語で、初めて掛けて来て、しかも出たのが日本人と言うだけで、いきなり賄賂の話をしてきます。
これは、ベトナムに特有のセールススタイルなのでしょう。
断っても、キャッシュバックの金額を生々しく伝えて来て、切ろうとしないので、「二度と掛けてくるな!」と怒鳴り受話器を置きます。
こんなチャラい電話になびく日本人マネージャーなどいるわけが無いと思いますが、ベトナム人には響くんですね。
最近ちらほらと耳にする、横文字の会社名。
我々と同業のローカル不動産仲介業者なのですが、大手日系企業に食い込んで売上を上げているようです。
その手法は、申し上げたように、
TOP下のベトナム人マネージャーを懐柔し、その後の日本人のアパート探しの実権を取る
日頃の多忙な皆様の負担を削減する為に、高い賃金を払って日本語の上手なベトナム人を雇用します。
しかし、丸投げの先にあるのは、社内にできる巧妙な「ベトナム流キャッシュポイント」。
私が電話をいただいた日系メーカーの総務責任者様に申し上げたのは、
「とにかく部下から上がってきた契約書の金額を教えてください。
私共が全アパートの『オーナーの出し値』をお伝えします」
これだけで、如何に「盛られているか」が分かると思います。
日々多忙な総務部門のマネージャー様。
少しでもその気配を感じるのであれば、そろそろ動きませんか。
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