こちらハノイの賃貸業務のハイシーズンは、日本の春先「3月から5月」あたりと、秋口の「9月から11月」あたり。
人の入れ替わりの激しい時期ですね。
私自身、何年もハノイで賃貸業務をこなしてきた訳ではありませんが・・・
しかし最近特に思うのは、
「お問い合わせの数が減らない」
ということなんです。
引きも切らずに新しい企業様からのお問い合わせ、また既存のお客様から「新たな赴任者が増えるのでまた探して欲しい」といった連絡が日々たくさん入ってきます。
このお問い合わせの勢いはどこから来るのでしょうか?
「Skyrocket」のようなお問い合わせの増加傾向から、ハノイNo1の超高層ビル「CALIDAS LAND MARK 72」の写真とともに考えてみたいと思います。
ある日、3組のお客様を一日でご案内した時のこと。
- 最初のお客様は、ノイバイ空港の建築にたずさわる方
- 二番目のお客様は、IT関連のシステムインテグレーター様
- 最後は日本とベトナムとの人材交流の仕事に関わる方
この3組のお客様。
何のつながりも無い、たまたま偶然同じ日にご案内が重なっただけのお客様なのですが・・・
実は、大きな共通した目的を持った方々だったんです。
皆さん「ODA支援」が予算の出所でハノイに来られた方々だったんですね。
年々増加をたどる日本の対越ODA支援。
日本の対越ODA支援 16.4億USD。
ブルーチップベトナム投資ニュース「2012年4月9日」の記事の見出しです。
2012年3月30日、ベトナム・日本両政府間で、2011年第2期ODA資金協力合意書が締結。
今回の実施案件は8件で、額にして1,364.47億円(16.4億USD相当)に上る。
以下にその8件の円借款案件を簡単にご紹介します。
※外務省 政府開発援助ODAホームページより参照
- ホアラック科学技術都市振興計画(第一期)(Hoa Lac Science and Technology City Development Project (I))【152億1,800万円】
- ノイバイ国際空港第二旅客ターミナルビル建設計画(第二期)(Terminal 2 Construction Project in Noi Bai International Airport (II))【205億8,400万円】
- ホーチミン都市鉄道建設計画(ベンタイン-スオイティエン間(1号線))(第二期)(Ho Chi Minh City Urban Railway Project (Ben Thanh-Suoi Tien Section(Line 1))(II))【443億200万円】
- 国道3号線道路ネットワーク整備計画(第二期)(New National Highway No.3 and Regional Road Network Construction Project (II))【164億8,600万円】
- 第二期南部ビンズオン省水環境改善計画(Southern Binh Duong Province Water Environment Improvement Project – Phase II)【199億6,100万円】
- 保全林造林・持続的管理計画(Protection Forests Restoration and Sustainable Management Project)【77億300万円】
- 地方病院医療開発計画(第二期)(Regional and Provincial Hospital Development Project (II))【86億9,300万円】
- 第十次貧困削減支援貸付(Tenth Poverty Reduction Support Credit(PRSC10))【35億円】
多種多様な分野に配分されたODA支援。
今回の第2期支援資金(上記の8案件)を追加したことで、日本政府の対越ODA支援資金は2,080.97億円に達しました。
これは、日本のODAが再開された1992年以降最大額で、これにより、これまでの日本からベトナムへのODA総額は1.915兆円に達します。
「ODAが1.700億円ですよ・・・空前絶後の額ですね」
ご案内中に、お客様がぼそっとつぶやかれた言葉、妙に頭に残っています。
そのお客様の頭の中には、未だ日本からの対越ODA支援額が少し古い1.700億円でご記憶されていたのでしょう。
今はすでに2.000億円を突破していますね。
確かに対越投資額(ODA支援額)が伸びると、そのODA事業が大きな大河の流れのように、ベトナムに日本人赴任者を呼び寄せる結果となっているようです。
事業を成功させるには、当たり前ですが人が必要です。
最近の引きも切らないお問い合わせの勢いは、先に挙げた「対越ODA支援額の増大」に大きく起因しているように思います。
では、なぜ日本の対越ODA支援額がここまでの伸びを示しているのでしょうか?
・・・国際情勢に詳しい方からすると、この時点で既に答えは出てくるだろうと思います。
これはある政府筋のお客様から直接私がお聞きしたお話です。
答えかどうかは、私は判断できませんが、確実に正解の一つではあろうかと思います。
「田口さん、南シナ海のシーレーン(海上輸送路)を中国から守らないとだめなんですよ。だから沿岸の国とは常に手を組んでおく必要があるんですね」
1992年に中国が「南シナ海は自国の領土である」と一方的に宣言しました。
上記の赤い点線内です。
しかし、南シナ海は日本の石油の70%を、また世界の海の貨物のおよそ25%が通過する戦略的に重要な水域で、
米国や他の諸国の海軍艦船にとっても死活的なシーレーン(海上運送路)となっています。
中国の南下防止の為に、日本は自衛隊を派遣することはできませんが、「技術提供」という形で南シナ海沿岸の国と繋がっておく必要がある・・・
お客様のさりげないお話に、思わず納得してしまいました。
中国が南シナ海への「野望」を持ち続ける限り、シーレーン確保の為に関連国からの投資支援をベトナムは受け易い立場を保ち続けることができます。
ベトナムは、このチャンスを生かして飛躍できるでしょうか。
インフラ整備が急ピッチで進むと同時に、その利用者である「人」の教育もまた・・・ベトナムの場合必要になってくる気がしてなりません。
いずれにしても、日本人がたくさんベトナムに来ていただけるのであれば、私達は大変嬉しいです(笑)。
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