ベトナムでサブリースを含めた不動産賃貸事業をご検討されている皆様に注意点です

日本大使館横に資金力とコネに物を言わせて開発するのも不動産事業、小さなアパートを借り受けサブリースするのも不動産事業です

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ハノイリビングの田口です。

前回の「ハノイリビングはベトナムの「土地」を安全にご紹介できる不動産仲介会社を目指します!」の稿で、ベトナムで安全に土地から購入し、不動産事業を展開することが、我々日本人でもできるお話をさせていただきました。

今日は、土地の購入以外に、マンション購入の際の注意点から、その管理業務を委託させていただくサービスについて、また「借りて貸す」サブリースの問題点などをお話したいと思います。

  • 私達外国人でも、ベトナム人の分譲マンションを購入できるのですか?
  • 買った後人に貸したいんですが・・・日本にいるので買ったマンションの管理からテナント探し、契約から家賃徴収など全部お任せしたいんですが可能でしょうか?
  • 買うなんて・・・高いので出来ませんが、ベトナム人オーナーさんから一軒家を借り受け、ゲストハウスとして安く貸したい(サブリースしたい)んですが、できますか?

こういうお問い合わせを、最近は多くいただくようになってきました。
上記のご質問の答えは、全て「可能」です。

では、少し長くなりますので、以下の項目に沿ってご説明をさせていただきます。

  1. ベトナムでの不動産購入についての注意点について
  2. ベトナムの不動産を「買って貸す」場合の管理委託業務について
  3. ベトナムの不動産を「借りて貸す(サブリース)」場合の注意点について

では順にご確認ください。

1.ベトナムでの不動産購入についての注意点について

不動産購入については、もう皆さんご存知かと思いますが、2015年7月1日施行の改正住宅法(ガイダンス政令第99号/2015/ND-CP)にて、ベトナム系を含む外国人による住宅購入条件の緩和がかなり進みました。

「ベトナムに問題無く入国できる外国人なら不動産は買えます」
「パスポートがあれば購入は可能です」

と、まあ分かり易く説明すると、こんな表現になるのですが、ちょっと気をつけて下さい。
「どんな不動産でも購入できる」訳では無いということなんです。

少し基本に立ち返って簡単にお話します。
外国人がベトナムの不動産を購入する場合、その目的には2つあると思います。

  1. 個人的な不動産投資の一環で、手頃なマンションを買い、賃貸で回したい
  2. 企業が日本で展開している事業を、ベトナムでも同様に展開していきたい。その為の不動産購入

今、この手のお問い合わせを弊社でも頻繁に受けています。
詰まり、「個人投資」と「企業投資」です。

2は、企業が事業展開を考えて、ベトナムに進出してくる時の不動産売買です。
規模も額も大きくなります。
例を申し上げると、ホテルの運営や大規模な工場用地の仲介などです。

土地を買って、所有権を抑え、建物を建てる。
詰まり土地から購入しなければなりません。

如何に安全に土地売買を行うか

その為のスキームを組み、今提案サービスを展開しています。
この話をやり出すと、お酒を飲みながらでも、一晩では語り尽くせないボリュームがあります。

また次回の機会に開陳させていただきます。

1の「個人投資」の場合、ほぼ新築マンションがその購入対象になりますね。
ただ、注意していただきたいのは、どの新築マンションでも「購入OK」ではないということです。

外国人向けに不動産プロジェクトの許認可を国から受けた事業主が分譲するマンション区分所有権が購入対象となります(政令 No. 99/2015/NĐ-CP 号第76条2項)

そうなんです、「外国人向けに不動産プロジェクトの許認可を国から受けた事業主」からしか買えないんです。
そうなると、先に購入したベトナム人から、中古になりますが買い受けることはできないのか?
政令には、

「マンション区分所有権を購入したベトナム人オーナーから譲渡を受けることは認められません」

こうハッキリ記されています。
詰まり、中古マンションは買えないということです。

これは経験してみないと分からないと思いますが・・・

ベトナム人個人からの売買で不動産を買うという危険な取引は、極力しない方が良いと思います。
その理由は、

  • 売買金額の全額のレッドインボイス(公的領収書)を出せないと言われるケースが頻繁にあること(売主は納税したくないからです)
  • そのマンションを購入した際の名義人が、次売る場合の売買契約の売主欄に出てこないケースがあること(元々素性を明かされたくない方が買っているからです)
  • ベトナム人のピンクブック(所有権を国が認めた証書)は「永年」ですが、外国人は「50年長期使用権」です。永年のピンクブックから50年長期使用権への切り替えはできません

このような納得できない妙な取引に引っ張り回されます。
ベトナムでは、不動産取引を銀行を通さずに「現金手渡し」でそのまま売買契約書にサインすることなど、普通に行われています。
お互い「タンス預金勘定」での決済です。
税金を払う必要がない分、かなり安く買えたりしますし、売る方も説明のできないお金で購入したものなので・・・助かるんですね。

ベトナム人同士では通用しても、我々外国人にはコンプライアンス違反になりますので、到底受けることができない契約です。

新築マンションが出てきている今は、開発事業主から直接購入し、マンションオーナーになる方が安全でお勧めです。

次に、買えるマンションでも時間が経てば買えなくなってしまうこともあります。
これは、外国人が所有することができるマンションの戸数が制限されているからです。

1つのマンションの建物において、外国人が所有する戸数が全体の30%を超えてはならないことになっています(政令No.99/2015/NĐ-CP号第76条3項)。

今、ベトナムのマンションを韓国人や台湾人が買いあさっています。
外国人の金持ちに「買い占められないようにする」為に、数量規制を掛けているんです。

個人で購入を検討されている方に申し上げたいのは、

  • 購入検討をされているベトナムのマンションは、果たして外国人が手を出しても良い物件なのかどうか
  • 外国人でも買えるマンションだとして、30%の制限を超えていないか確認しないといけない

ということです。
これは、私達にお問い合わせいただければ、調べて回答することは可能です。
一人で動かれずに、こちらで長く不動産取引を行っている日系不動産業者にお尋ね下さい。

では、今ベトナムの特にハノイで、どれくらいの価格でマンションが販売されているのか、目安になるかと思いまとめてみました。
次のGoogle Mapをご覧ください。

ピンで表示していますが、これら全ては分譲が終わっている物件です。
どの辺りがどれくらいの価格なのか、参考にしていただければと思います。

  • 黄色ピン:㎡単価が1,000$台
  • 赤色ピン:㎡単価が2,000$台
  • 茶色ピン:㎡単価が3,000$台


2.ベトナムの不動産を「買って貸す」場合の管理委託業務について

「ベトナムの不動産」

と一口に言っても、土地から収益ビル、マンションと様々です。
ここで取り上げるのは、皆様にも一番身近な「分譲マンション」に絞ってご説明します。

ベトナムの不動産(マンション)を賃貸する場合、これは基本「不動産事業」に該当します。
我々外資がベトナムで「不動産事業」を行う場合は、不動産事業法に則して以下の条件が必要です。

  • 先ず会社を設立しなければならない
  • 法定資本金を最低額20,000,000,000VND(およそ1億円)入れないといけない

「ええっ! 賃貸事業をするだけなのに、1億円の資本金が必要なの?」

びっくりされるかと思います。
しかし、よく聞いて下さい。
全ての場合において、常に「会社設立の上に1億円の資本金」が必要なのではありません。
同じ「賃貸」という不動産事業でも、次の2パターンがあり、それぞれで違います。

  1. マンションを買って、自分のものにしてから貸す」場合 → 起業も資本金1億円も不要
  2. ホテルや路面戸建てなど賃貸物件を借りて、リノベートして転貸(サブリース)する」場合 → 起業も資本金1億円も必要

1の「マンションを買ってから貸す」場合、これは主に個人が行う投資行為ですね。
時々会社の社宅としてマンションを買われている場合もありますが、いずれにせよ数千万円もの投資を既にベトナムに行い、自ら所有する財産を得たわけです。
担保的機能としての法定資本金を求める必要などありません。
結果、会社設立をする必要もないんです。

2の場合は、転貸(サブリース)です。
このサブリースを外資100%で行うとなると、これは1億円を投資しないといけません。

詳細は、後述の「3.ベトナムの不動産を「借りて貸す(サブリース)」場合の注意点について」で詳しくご説明します。

Kim Maのど真ん中に建つサービスアパート「リノベートして新たに賃料を上げて貸し出します」

Kim Maのど真ん中に建つサービスアパート「リノベートして新たに賃料を上げて貸し出します」



1の「マンションを買って貸す」場合、買った当の本人は、ベトナムにおらず日本で生活をされている方がほとんどです。
買うだけ買った、あとは全て任せたい。
こういうご依頼を数多くいただいております。

不動産管理業を登録している私共ハノイリビングは、不動産事業法(No.66/2014/QH13号7条2項)に則って、以下の業務を「管理委託契約」を取り結び、お手伝いさせていただきます。

  • 賃借人を探し、賃貸契約書を締結する
  • 賃借人から家賃を受け、レッドインボイス(公的領収書)を発行する
  • 購入されたお客様に代行して、納税義務を実施する
  • 家賃の入金管理
  • お住まいになるテナントからのクレーム対応全般の窓口対応をする
  • 賃借人の使用状況に関する管理・観察・連絡義務を負う

これら全て、ハノイリビングが代行します。
個人でマンションを購入されたお客様は、その後の管理ができません。
一番面倒で、しかもノウハウが必要な作業を、当社で請け負います。

お任せください。

3.ベトナム不動産を「借りて貸す(サブリース)」場合の注意点について

先ほどは、この「借りて貸す(サブリース)」の場合、日系100%での運営であれば、「会社設立をし、1億円の法定資本金が必要」であるとお話しました。
実際、この「借りて貸したい」という希望のお客様が一番多いんです。

最近の例としては、

  • ホテルを丸々1棟借り受けて、リノベートを掛けて更にホテルとして貸し出す
  • 都心の一等地に建つ個人宅(5階建て等の路面建物)を1棟借り受け、リノベートを掛けてカフェやゲストハウスとして運営する

一瞬簡単な感じがしますね。
しかし、タダではサブリースはできません。

サブリースで会社設立と資本金1億円を要求される理由は、

  • 賃貸というのは「住まいの提供」なので、しっかりとしたサービスを長期間提供できないといけません。個人の外国人による運営など先ず認めるわけにはいかない
  • ベトナムの不動産の転貸事業は、基本ベトナム人の仕事です。外国人に荒らされたくないが、どうしても参入したいというなら1億円を投資して資金力の裏付けを証明してもらいたい

法律にはこのような文言は出てきませんが、裏の本音はこんなところだろうと思うんです。
しかし、この事情を知らずに、結構簡単に考えてベトナムに来られる方が多いのも事実です。

安くサブリースサービスをしたいと思うなら、日系100%を捨てないといけません。
1億円など捻出できないとなれば、ベトナム人との合弁を考えないとダメになってきます。

また、こんな例があります。

6階建てのホテルが一等地にあり、オーナーは3,000$で貸したいと言ってます。
これを借りて、リノベートを掛けてホテルとしてサブリースするのですが、ホテル利用は6階フロアの中2フロアだけにする。
残りは会社の事務所や会議室として、また赴任者の居宅、また1階はCafeにして運営するとしたらどうでしょう。

この場合、賃貸物件の総面積で6分の2、詰まり半分以下の面積をホテルとして活用するだけです。
メインは事務所、そして自分達の住まいとしての利用で、ホテルは「空き室の有効活用」をしているだけだと当局に説明すれば、通る可能性があります。
詰まり、不動産事業とは見なされず、法定資本金の1億円も「不要」となります。

いろんなパターンがあります。
都度状況により変わってきますので、先ずはお問い合わせ下さい。

Ngoc Khanh通りにある広大な空き地。VinGroupの次の開発物件です。Kim Maエリアの一角。VinGroupにしか出せない土地です

Ngoc Khanh通りにある広大な空き地。VinGroupの次の開発物件です。Kim Maエリアの一角。VinGroupにしか出せない土地です



最近、こんな質問を良く受けます。

「1泊1,000円くらいで、2週間滞在したいんですけど。安いサービスアパートありませんか」

東屋さんもひっくり返る安料金。
そんなサービスアパートはありません。
もうそれは、Airbnbの範疇ではないかと思います。

先日「Airbnb」を検索してみると、ハノイだけで8万件以上登録されています。
短期間の宿として利用するなら問題ないのですが、長期間の法人契約となると、レッドインボイスの発行から居住証明書の提出を依頼しても難しいのではないかと思います。

ベトナムに赴任してきた方が、片手間で路面戸建てを1棟丸ごと借り受けて、リノベートしてAirbnbに登録してサブリースしている方がいます。
しかし、それも立派な不動産事業ですので、日本人が表立ってはできません。
知人のベトナム人と共同出資でやられているようです。
あくまでも名義はベトナム人にしています。

安さを追求するながれは、旅行者の拡大と共にベトナムのホテル業にも押し寄せてきています。
本来長期契約を旨とするサービスアパートも、空き室を埋める為に、致し方なく「Airbnb」に登録し始めるオーナーが増えて来ています。

しかしやり過ぎると・・・
1年契約で静かに住みたい住民の隣人が、入れ替わり立ち替わりの多国籍外国人であったらどうでしょう。

不動産賃貸事業にも、まだまだ隙間があるようですが、バランスが大事ですね。

以上、最近増えているベトナムでの賃貸不動産事業を手掛ける際の注意点をお話しました。
ご参考にしてください。

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田口 庸生

田口 庸生 の紹介

初めまして、「ハノイリビング」営業担当の田口(たぐち)です。 日本より初めてベトナムのハノイに着任された日本の皆様、 愛するご家族を日本に残し、初めての「海外単身赴任」をこれから経験される皆様、 快適なハノイでの生活を満喫していただくために、皆様の「お住まい探し」から「入居後のサポート」まで一貫した「窓口対応」を請け負います。 「ベストマッチ」を合い言葉に・・・ どうぞお気軽にお問い合わせください。 お待ちしております。
カテゴリー: 不動産購入   タグ: , , ,   この投稿のパーマリンク

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