Bang Lang(バンラン)の花が咲く季節がやってきました。
「学生の花」「友情の花」等と言われ、ハノイの夏を代表する爽やかな紫色の花です。
「ああ・・咲き始めたねー」
Kim Ma通りをお客様の案内後にHongちゃんと歩いていたとき、ふとつぶやくように彼女が言いました。
5月から6月にかけて咲く花だそうです。
ハノイが一気に暑くなる時期。
また、5月はベトナムでは学校の卒業を控えた時期でもあります。
日本で言えば春に咲く「桜」と同じ情感を持ってベトナムの人達はこの花を眺めるんですね。
さて、卒業した若者達が社会へ旅立つのですが・・・
お給料が安いんですね。
ベトナムの「最低賃金制度」は1993年から導入されているのですが、政府が決める「最低賃金額」は「最低生活費」の62%から69%を賄うに過ぎない現状(2013年4月13日付けトゥオイチェー紙電子版による)。
ハノイやホーチミンで仕事に就いても、最低賃金の受給者は生活出来ないということになります。
どうして「最低賃金」は「最低生活費」を超えられないのでしょうか?
先の電子版紙によると、
「政府機関の最低賃金を引き上げれば、予算が人件費だけで消えてしまう。この数年の労働生産性は平均5%しか向上していないのに対し、最低賃金は15%上昇している。最低賃金は最低生活費ではなく、労働生産性と支払能力に基づくべき」
労働力のスキルに合わせた最低賃金設定をした結果、最低生活費を下回ってしまった・・・という回答。
結局賃金を払う会社(役所)側のお金の問題なんですね。
真面目に大学で勉強できる子弟は全体の15%。
最低賃金で生活しなければいけないのは、おそらくお金の都合で大学に行けない人達・・・ということになります。
一部の真面目に大学で勉強した優秀な勤勉学生さん達は、外資の待遇の良い会社に就職して行きます。
大学への進学率は15%、これは日本の1960年代とほぼ同じ率です。
しかし大学を卒業した後、外資系の希望の会社やベトナムの大手企業に就職できる人達はごく一握りで、その他の学生は短期のアルバイトに就いているのが現状です。
たどたどしいですが、なんとか日本語が話せる人達でも、就職出来ないで日本食レストランでアルバイトしている若い女性達をたくさん見かけます。
そのごく一握りのエリートを除く若者達には、「最低賃金の壁」がまずは立ちはだかることになります。
狭いアパートに、何人もルームシェアして切り詰めて生活しないと、ハノイで生活などとてもやっていけない訳です。
じゃあそのベトナムの労働力・・・世界の中でどれくらいのレベルなのでしょうか。
「あんまり高く無いんだろうな」・・・と想像される方は多いと思いますが、残念ながらその通りです。
2012年12月10日の「ブルーチップベトナム投資ニュース」に詳しく紹介されています。
ベトナム社会労働研究学院が、国内9省市、9つの各分野で活動する6,000社を対象に調査を行いました。
それによると、国内の労働品質は、アジア地域でも最低であるという結論になったとのこと。
自国の労働力をアジア地域最低と結論付けて発表してしまうのもすごい勇気だと思いますが・・・。
しかしアンケート結果を率直に受け入れたということでしょう。
ホーチミン市経済大学のHo Duc Hung博士さんによると、ベトナムの労働力のレベルについて・・・
- インドネシアの10分の1
- マレーシアの20分の1
- タイの30分の1
- 日本の135分の1
の低さである、と言ってます。
こう具体的に数字で低さを説明されると、「どうしたベトナム!」となりますね。
なぜ、ベトナムの若い労働力のスキルが上がらないのか。
これは以前、「ベトナムの若者達の将来について」の稿で詳しく書かせていただきました。
基本的には考えは変わらないのですが・・・
ただ、ベトナム人の労働力が数値で示している通り低いとは、私は思いません。
潜在能力は日本人の若者と何も変わらないと思います。
しかし、会社組織の中で目標達成のために仕事をこなしていく・・・この為の立ち振る舞いの仕方が分からないだけだと思うんです。
当社に勤務してくれているローカルスタッフ達5人と日々仕事を同じくしていますが・・・決して低いなどと思わないですね。とってもよく働きます。
もちろんサービス上のことで、「簡単なことが分からない」ということはよくありますが。
しかし、一度教えると次からはきちっとこなしてくれます。
「ローカルスタッフ長」のスーパーHongちゃんになると、そこら辺の日本人より機転が利いて、高い問題処理能力を持っていると感じます。
たまにそのHongちゃん宛にお客様がプレゼントをしてくれることがあります。
きちっとした説明とアテンド。その精度にお客様は感動するんですね。
「お客様の予想を裏切るサービス」
サービス業の根幹はここだと思っています。つまり
「どうせベトナムだからこれくらいのサービスだろうよ」
と考えているお客様のちょっと上を行くサービスをやり続ける。
これ以外にお客様を取り込む方法はありません。
私達のような商品を持たない仲介業者にとって、「気配り、安心感」が唯一の「商品」です。
お客様の案内時に、アテンドに出て来ていただくサービスアパート側のスタッフの方と接していても同様のスキルの高さを感じます。
とても流暢な英語を駆使して、とてもクレバーな対応をしてくれます。
ベトナムの労働力にはかなりの「差」があるということなのでしょうね。
教育制度の問題だとか・・・いろいろ言われていますが、確実に若者達のレベルは上がってきていると思います。
毎日ベトナムの人達にふれあう仕事をしているので、これは肌で感じる私の実感です。
これは毎年開かれる「ABUアジア・太平洋ロボットコンテスト」で、ベトナム代表が優勝した時の写真です。(※ホームページの写真を使わせていただきました)
2003年から11回続けて開催されていて、ベトナムは3度も優勝しています(日本は東京大学の1回だけです)。
毎回健闘するベトナムの若い技術者たち。
モーターや部品の調達は日本に比べると格段に不便だと思いますが、しかしベトナムの若者達はそれでも創意工夫をして健闘しています。
ポテンシャルの高さはあるんです、確実に。
その潜在能力を引き出してあげる教育訓練と「忍耐」が使う側に必要なんだろうと思います。
「意外とポテンシャルの高さが・・・」と言えば当社の新人深田君です。
Golden Westlakeの管理会社宛に、路上駐車を抗議する文章を英文でさっさと仕上げてくれました。
Tang Longのローカルたばこをくゆらせながら、
「どうだ、参ったか」
と言わんばかりに口をゆがめてニヤッと笑う深田君。
いえいえこのスピード・・・参りました、助かりましたよ。
さすが中央大学哲学科を・・・年も在籍しただけのことはあります(笑)。
たまに付箋が無くなって、お客様のリクエストを飛ばしてしまう深田君。
タクシーで爆睡して・・・ソンホン川までタクシーに走られてしまった深田君。
しかしあなたのポテンシャルが高いことは、いつも側にいる私が一番よく分かっているつもりです。
あと私に必要なのは、「忍耐」だけですね(笑)
頑張るからついてきてね。
◆少しでも皆様のお役に立てれば嬉しいです。
↓ 1クリックよろしくです!
にほんブログ村