今、ハノイ行きの飛行機の中でこの稿を書いています。
短いお盆休みも終わり、一時帰国の間はあわただしく家族で滋賀県の琵琶湖あたりまで小旅行に行ってきました。
何の変哲もない小旅行・・・
でも「家族全員で揃って行く」ことに意味があると思っています。
私の子供は3人で、一番上の長女は17歳の高校三年生。
そして次は長男で15歳、中学三年生。
一番下は次男で12歳、小学六年生です。
毎年夏の旅行は欠かさず家族全員で行ってましたが、昨年あたりから長女が
「部活出んとあかんから、もう行かない」
と言い出しました。
吹奏楽部に勉強そっちのけで一生懸命取り組んでいる長女。
彼女の気持ちもわからないでも無いのですが、その長女が生まれたときから今までずーっと夏の家族旅行の写真が途切れた年は無いだけに、「家族の揃わない家族旅行」は親として何とか避けたいのが本音です。
「ゆかのおらん旅行はさびしいな~」
愚痴ともおべっかともつかないような独り言を夫婦そろって娘の前でつぶやきながら、彼女の気持ちが変わることを心の中で祈る日々でした。
おまけに今年は長男までが、
「琵琶湖行って何するん?」
と言い出す始末。
家族みんなで揃って旅行に行く、それがとても大切なことのように思ってきた私たちですが、上の子供にしてみれば
「親の気持ちを叶えてやらんといかんからなぁ~」
逆に気を使われているのが現状です(笑)。
結局一番はしゃいでいるのが一番末っ子の次男と家内というのがここ最近の家族旅行です。
「沖縄か北海道やったら行くで」
と娘がニヤけて言います。
大阪に住んでいて、三重とか滋賀とか島根とか・・・
上の子供にはあまり響かないのでしょうね(笑)。
無理もないのかもしれません。
が、今年は全員で何とか家族旅行を執り行うことができました。
次回はベトナムに全員連れてこようと考えています。
ベトナムで観光って・・・ハロン湾まで窮屈なタクシーで行っても疲れるだけですね。
でも、ベトナムといえば全員無条件で参加すると思います。
お父さんのいるベトナムは子供たちにとって、「沖縄や北海道より面白そうなところ」に写っているのでしょうか・・・
失望させないように今から「ベトナムの観光ルート」を考えておかないといけません。
しかし一番子供たちにとってインパクトの強い経験は、今のベトナムで勝ち残ろうともがいている若い人たちを直接見せることだと思うんです。
私がベトナムに来て感じるのは、
退廃的でやけっぱちなベトナムの若者と、
「重たいふた」を跳ね除けようとする、沸騰した向上心を持つ活動的なベトナムの若者と、
両極端な若者気質がベトナム国中にうごめいている・・・そんな印象です。
なぜ活動的な若者にとって、ベトナム社会が「重たいふた」と感じるのか。
これはベトナムで長年生活をしている日本の方から聞いた話です。
その方が言うには、
「今のベトナムでは、日本でいう『ホリエモン』みたいな若者は絶対生まれない」
というんです。なぜか・・・
力のある若い実業者がベトナム社会で成功するまでに、気が遠くなる賄賂(袖の下)を払わないといけないのが現状だというんです。
一番収入の高い人は、利益を獲得すべくその仕組みを考え資金を集めて事業化するため一心不乱に努力してきた人たちに「許認可」を与えることで賄賂を獲得するベトナムの公務員・・・だというんです。
そういえばベトナムで不動産を買っている人のTOPの業種は「公務員」です。
ではその公務員は厳しい採用試験に勝ち残った一部の人にしかなれないのか・・・というとそうではなく、ほぼコネで採用が決まるという有様・・・これが本当ならひどい社会です。
ギリシャのように全国民に占める公務員の割合が25%から30%というような極端なものではなく、日本の公務員人口に少し多いくらいの割合なんですね。
その一部の公務員が利権に食らい付いて暴利をむさぼる構図・・・
ベトナムで力ある民間企業が育たないのは、この「構図」故のことだというんです。
「袖の下社会」にあきらめ力なくうなだれる人と、
「袖の下社会」をうまく利用してのし上がろうとする人と・・・
この「差」は凄まじい収入の差となり、貧富の差が益々広がる結果となります。
今のベトナムは1965年頃の日本とよく似ているといわれています。
1965年は私の生まれた年。
高度成長時代で、「力を合せてみんなで頑張れば何とかなるさ」と「改善(カイゼン)」を繰り返して高品質商品を生み出していたあのとき。
しかし、唯一違うのは「露骨な袖の下の風習」。
あの当時日本にはそんなもん無かったと思うんです。
「どんな手段を使ってでも、このベトナムから這い出てやる!」
そんな野心を持った若者が、このハノイにはたくさんいると思います。
豊かな生活を夢見る若者の「沸騰する野心」を誰も止めることなどできません。
・・・私の子供たちには、明日に向かって突き進む、そんなベトナムの「若者達の息吹」を肌に触れて感じて欲しいと思います。
日本のように何もかも揃った環境では育ちにくい、「のし上がっていくための貪欲さ」、その空気だけでも吸い込んでくれたらいいなと思うんですね。
確実に今の日本には無い空気です。
これを理解できる「観光ルート」を考えるのは至難の技ですね(笑)
「退廃」と「反骨精神」とがせめぎ合う若いベトナム社会。
楽なほうに流されていくのか・・・必死で踏みとどまって勉強を続けるか・・・
間違いなく言えることは、「反骨精神」を持った後者の若者の台頭なくして明日のベトナムは無いということです。
そんな骨のあるベトナムの若者達と一緒に仕事ができればすばらしいと思います。
ベトナムの「袖の下社会という重たいふた」に真っ向から立ち向かう若者に、チャンスを与えてあげたいと思います。
「ハノイリビング」の現地スタッフというポジションとして・・・
そろそろハノイです。
あっという間の4時間です。
ちょっと赤ワインを飲みすぎてしまいました(笑)
ハノイでひと暴れ・・・してやろうと思います。
私の中の「反骨精神」が動き始めてきました。
頑張ります。