ハノイリビングの田口です。
日本企業様のベトナム進出が益々活発になってきています。
世界に名を轟かせる大手日系企業のハノイ進出の話も、ちらほら耳に入ってきます。
製造系の大手は、なんと言っても南ではなく北に進出してきます。
それに伴い、日本人向けのサービス業の進出問合せも、途切れること無く押し寄せてきています。
よく皆さんも見かけるお店ですね。
- 和食料理(飲食)店
- 理美容店
- ベトナム人の送り出し機関に付随する日本語教室
- 子供向け教育機関(学習塾やダンス、スイミング教室など)
- 日系スーパーマーケット
- パチスロ店??
- Night Bar
- Girls Bar(クラブ・ラウンジ)
主に日本人相手の商売。
やるからには利益を上げたいところです。
この手のサービス業は、やはりホーチミンが先を走っている感があります。
飲食店一つとっても、レベルが高い。
「今からホーチミンで飲食出して勝ち組に入るなら、味が美味いだけじゃ差別化できなくなってきていますよ」
ホーチミンの繁盛店の内装を長らく手掛けている、「ベトナム店舗内装の第一人者」の言葉です。
じゃあ何で差別化すればいいのか?
「味やサービスでお客様を唸らせることはもちろん、プラス気の利いた内装も最近は求められるようになってきているんです」
結局全部揃わないと勝てないのか・・・
味さえしっかりしていれば、少々内装がポンコツでも流行る、これがハノイです。
美味い味を求めて行くんです。
給仕してくれるホールスタッフがちゃんと機能さえしていれば、あとは味だけ。
飲食店なんだから、「見たくれ」より「味」でしょ。
これが普通の考えか、そう思っていました。
しかし、ホーチミンはそのレベルから更に淘汰が進み、総合力で及第点を取らないと勝ち上がれない時代になってきた、そう言うんです。
味もサービスも確かなお店が、ゴロゴロしているのでしょう。
逆にハノイはまだ味だけで勝負ができる段階ではありますが、これからホーチミンの後を追うように、淘汰が進んで行く気配です。
「田口さん、私が内装を手掛けたホーチミンのお店は多数ありますが、その中の超繁盛店10店舗くらいの店主から、Linh Lang(リンラン)、Phan Ke Binh辺りで出したいと言われています。
今、ホーチミンで飛ぶ鳥を落とす勢いのお店。日々行列ができるのが当たり前な有名店もあります。
リンランの空気が一変するかもしれないよ」
ホーチミンの強者店主が、手ぐすねを引いて出店計画を立てています。
今日は、店舗物件の仲介をやりながら、気が付いたこと、経験したことをまとめて皆さんにお伝えしようと思います。
本稿で使う写真は、私が一番よく通う気の利いたKim Maの和食料理店、「Saiko Sushi」で、ちまちまと撮り続けてきた写真を使わせていただきます。
ちなみに、このSaiko Sushiはベトナム人の料理人が創作しています。
日本人は、ただの一人もいないお店ですが、美味しく、繁盛しています。
「和食料理店をやりたいんです。場所を探してください」
こういうお問い合わせを日々受けていますが、私は先ず申し上げるのは、
「やりたいと言われているメニューと似ている既存店をご紹介しますので、一度行って食べてみてください」
先ずベトナムに来ていただき、繁盛している同業店の味に触れてもらう。
そして「この味なら勝てる」、と手応えを感じたらもう一度ご連絡ください、とお伝えしています。
最近はHai Ba Trung(ハイバーチュン)区よりKim Maエリアで出店を考えている方が多いんですね。
その理由はKim Maエリアは「家賃が安い」からです。
Kim Maエリアの繁盛店をご紹介します。
次のGoogle Mapにピン打ちしているお店です。
以前の稿で、Kim Maエリアの「Linh Lang(リンラン)通り」と、新しくできた「Phan Ke Binh通り」で元気なお店をご紹介しましたね。
ハノイで活況な店舗エリア「Linh Lang」「Phan Ke Binh」通りの「勝ち組店」のご紹介
念の為、その際のご紹介YouTube動画も付けておきます。
いろんなお客様から「店舗を見せてください」と言われますが、メールや電話のやり取りを1,2度させていただくだけで、その本気度は透けて見えてきます。
先ず、半分「物見遊山」のようなお客様からは、何ら具体的なご質問は頂けません。
日本人料理人は厨房に立つのですか?という問いかけに、
「ええ、最初の3ヶ月くらいは・・・その予定です」
と言う回答を聞くと、もう無理だと思ってしまいます。
日本人の感覚で、カウンターの見習いベトナム人に、裏方の厨房の料理人に、ホールの女の子達に、1年以上檄を飛ばし続けないと、まともな料理店にはなりません。
自ら包丁を振るいながらそれをやり続ける。
レシピだけ作って、「ハイ、後はよろしく!」
これでベトナム人の料理人にやってもらって、味が維持できたら、そこらじゅう繁盛店になります。
そんな甘くはありません。
「具体的にどれくらいの売上をあげれば『繁盛店』になるの?」
ざっくりですが、「月に400万円の売上」に達すれば、間違い無く繁盛店です。
お問い合わせをいただく時のやりとりで、先ず具体的な数字を出して、店舗物件をリクエストされる方がいます。
「月に450万円を目指したいんです。となると日の売上は15万円。
1人3,500円の客単価はキープしたいので、そうすると客席は43席、できれば1階と2階だけで取りたいですね。
2回転してくれれば更に利益ですが、ハノイはどうでしょうか?
最初はまず客席を満席にすることに集中して、1回転で43席を埋めたい。
そう考えると、1フロア22人入れないといけないので、どうでしょう。
ホールスタッフの動線も確保しないといけないんで、70㎡から80㎡あれば大丈夫ですね」
具体的に契約すべき路面店の規模が、明確に見えてきます。
こういう数字が出てこない方は、ご検討を始めたばかりの方か、店舗をやったことのない方だろうと感じるんです。
私共はお客様に店舗のご提案をするとき、
如何に最初のイニシャルコストを下げるか
ここにこだわってご提案します。
他社をぐるぐると回られ、当社にたどり着かれたお客様。
当社の会議室で今までの店舗探しの一部始終をお聞きします。
「今まで4,000$とか7,000$の家賃の店舗を見てきました」
と言われます。
思わず、
「すみません、何屋さんをやるおつもりなんですか?」
聞くと普通の和食レストラン。
先ずそれを聞いた瞬間に「回らないですよ」とお伝えします。
高い店舗の契約は、即ち不動産屋は高額の仲介手数料を得ることができます。
そして、高級感を出す内装工事で、更に紹介者はたっぷり利益を獲ることができるんです。
見ると日本人のお客様の両脇には、ベトナム人スタッフが固めています。
誰なのか聞くと、
「ある方から紹介してもらったベトナム人で、店舗に詳しい人達なんですよ。色々アドバイスをもらいながらやっているんです」
和食レストランをやる人に、7,000$の家賃の物件を提案されて、日本人のお客様と真剣に契約を検討しているベトナム人コンサルもどき・・・
もうこの段階で、胡散臭さが臭ってきます。
「良いですか、お客様が言われている業態なら、路面店で充分です。
Hai Ba Trung(ハイバーチュン)なら3,500$から4,000$、Kim Maエリアなら2,000$から3,000$で契約できます。
先ず、1号店はまだ名前が通っていないんですから、賃料は抑えて味にこだわり、お得意さんを作っていきましょう。
やりながら、ベトナムでの食材仕入ルートや他店との競合具合が見えてきますね。
またベトナムの料理人スタッフやホールスタッフもある程度育ってくるので、任せられる人材ができれば2年以内に2号店を目指しませんか」
こんなお話をさせていただくことになります。
「店舗コンサル」という名刺を出して、まだベトナム初心者の店舗出店希望者にすりより、店舗探しから食材仕入までサポートするという触れ込み。
これで法外な手数料を取る。
最近、こんなことをやっている人達をよく耳にします。
結局イニシャルコストが上がるので、客単価に跳ねかえり、結果利益の出にくい船出を余儀なくされます。
私共は、先ほどお話しました「ベトナム店舗内装の第一人者」さんと一緒に、イニシャルを上げないご提案をやり続けています。
「厨房の冷蔵庫はホシザキにしたいんですが」
お客様から言われても、ご予算が低い場合は「内装の第一人者」さんのルートで、更に安い業務用冷蔵庫をご提案します。
ホシザキではなくても保証期間も付き、サポート体制もベトナムにおかれているメーカーの冷蔵庫です。
客単価を無理に上げないと成り立たないご提案など、絶対に致しません。
最後に、最近体験しましたグダグダなお話をご紹介して終わりたいと思います。
皆さんも気をつけていただきたいので、具体的にご紹介します。
Kim Ma通り沿いに、今現在路面店が貸し出しに出ています。
ハノイで約10年間、我々日本人に合う鳥の美味しい料理を振る舞ってくれた、555 Kim Maの「菜々(さいさい)」が、テト前に店を閉店されました。
Kim Maの一等地。
とても便利の良い場所なのですが、契約が決まりません。
家賃も2,500$付近ですから、決まってもおかしくないんです。
店内は、「菜々(さいさい)」さんがそのまま置いて行った備品類が残されています。
いわゆる「和食料理店の居抜き物件」です。
居抜きで、その備品の買い取り金額は、約50万円。
とても良心的です。
居抜き物件のメリットは、
磨けば直ぐに店をOpenさせることができる
詰まり、内装工事を1から手掛けるより、コストを抑える事が出来るわけです。
どんな感じの店内か、次のYouTube動画をご覧下さい。
飲食店の居抜きなので、同じく飲食が適切だろうと思います。
しかし、このお店が決まらない一番の理由は、
「レッドインボイスをオーナーは出してくれない」
からです。
訳が分かりません。
飲食店をやるのに、ベトナムの公的な領収書である「レッドインボイス」を出さないということは、家賃を費用計上できないことになります。
それを良しとする飲食店主はいないのではないでしょうか。
先ず、こういう店舗を契約する時に、真面目にレッドインボイスを発行してくれるオーナーでないと「手は出さない」、そう決めるべきです。
ベトナム人同士の契約なら、そういうこともあるのかと思いますが、我々日本人としてお店を経営する為には、当たり前のようにレッドインボイスの発行を約束してくれるオーナーと組むべきです。
レッドインボイスを発行しないということは、家賃を受け取っても納税しないということです。
そういう考えをもったオーナーとは付き合わない方がいいということです。
気をつけてください。
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