ハノイリビングの田口です。
このタイトルを読んで、「ニヤッ」とされた方は、我々同様、既に「経験者」だろうと思います。
まあ、昔の日本でも普通に繰り広げられていたと思われる「茶番劇」。
2016年の今現在でも、ここベトナムの首都ハノイで白昼堂々・・・「上演」されております。
あちらこちらの外国人オフィス(主に日系)を舞台にして。
多忙を極める当社のエース、「マダムHuyen」さん。
マルチタスクにも程がある仕事量で、ご主人からクレームが来ないか、毎日ヒヤヒヤしております。
- ハノイリビングの金庫番
- お給料計算
- コンサルと銀行とのやりとり担当
- オーナーヘの手数料請求(山ほどあります)
- 難しいお客様のクレーム対応
- 契約のためのアパートオーナーとの交渉
Huyenさんの手が詰まるとハノイリビングの業務が止まる・・・
なるべく彼女に余計で手間の掛かる仕事を振り向けないようにするのが、私の仕事の一つとなっております。
さて、昨日のお昼過ぎのこと。
Huyenさんが突然来訪のベトナム人と会議室で話し込んでいます。
通常であれば「お嬢Ngaちゃん」が飛び込み対応をすることになっているのですが、今日はなぜかHuyenさんが直々に対応しています。
ちょっと気にはなっていましたが、私もメールのやりとりで忙しく、それどころではありません。
ふと気が付くと、私の横にブスッとした仏頂面のHuyenさんが立っています。
そして私と目が合うなり、会議室を指さし小さな声で、
「こ・う・あ・ん」
苦虫を噛みつぶしたような「嫌顔」に、思わず吹き出してしましました。
嫌がっている理由が、すぐに分かったからです。
毎年7月になると、何故だか公安の出先機関の方々が、日系企業を日参するのがハノイの風物詩となっています。
何をしに来るかというと、
「各種チケット販売」
です。
去年は確か「音楽コンサートのチケット」だったと記憶しています。
どう考えても法外な金額。
ただ、法外と言っても我々日本人にすれば数千円のレベル、別に痛くも痒くもありません。
ただ、この額を求めて近辺の外資系企業へ絨毯爆撃を繰り返しているようです。
そしてHuyenさんのような経理・総務担当をイラッとさせて帰って行く・・・
「ああ、もうそんな季節か」
のんきに半笑いしている私をみて、更にイラッときたのか、
「今回は、し・つ・こ・い!」
そうか・・・で、今回は何とおっしゃっているんですか?
そう尋ねると、Huyenさん、冒頭のチケットを2枚差しだし、
「ベトナム人がやる歌舞伎公演のチケット、1枚200,000VND(約1,000円)を5枚買ってくれなきゃ困ると言ってます」
それを聞いて、お嬢Ngaちゃんが、
「それ、高〜い」
吹き出しながらつぶやきます。
前に座っているTinhちゃんも、大きく伸びをしながら片手を口に当て、笑いをかみ殺している。
マダムHuyenさん以外はみな例年の珍客を楽しんでいる風です。
「ベトナム人が歌舞伎をするの?」
素になってHuyenさんに聞くと、
「日本みたいに白いの塗らないだよ。普通の顔でカブキやる」
なんじゃそりゃ。
それじゃ、あと数万ドン足して、パクパクで「ねぎトロカマ丼」食べる方が賢いじゃん。
私がまともに答えないので、Huyenさんは眉毛をハの字にして、
「私仕事したいので、お金払って良いですか、2枚分だけ」
それだけ確認したいみたいです。
もうクソ忙しい時に来たもんだから、HuyenさんもイライラがMAXです。
2枚だけで良いの?と聞くと、
「私言った。うちのボスはベトナム語分からないだから、2枚で良いって!」
ベトナム語が分からなくても得することもあるんだと、その時初めて思いました。
そして笑いながら、
「レッドインボイスもらっておいてね(笑)」
こういう文章を持っていらっしゃいます。
この意味を聞いたところ、
「我々公安は、エイズと麻薬撲滅のため、日々戦っています。
そしてこの度、ハノイのカブキの関連者達もそんな我々に協力してくれる事となった。
皆さんも是非ご理解していただきたい」
ズバッと書いていません。
ある大義名分の為、暗にお金が必要であることを匂わせて、協力を要請するという切り口。
更にそのチケットを持ってくる若者は、我々公安が認めた安心できる者ですと、別の書類を持たせています。
それがIDカードのコピー付きのこの書類です。
どこから突っ込んでも「公明正大な慈善活動」となっています。
ベトナムをよく知らない人がこれを見ると、
「それはご苦労なことでございます。10枚分でも20枚分でも協力させていただきます」
となりそうなのですが、普通は、
「また三文芝居打ちにきやがった」
となります。
なぜこの7月に集中するのかというと、元々公安の設立が7月だそうでHuyenさん曰く、
「公安の誕生日、きらい」
となります。
皆さんの元にもきっと行っていることかと思います。
まだ経験していない方は、そのうち来ます。
日系100%であればほぼやってくるようです。
もし韓国企業にでも行こうモンなら、灰皿を投げつけられるのがオチなので・・・
優しい日系を特に好んで回られていると聞いた事があります。
そして一度渡すと・・・
毎年クセのようにやって来ます。
もしピシャリと断れば、さてどうなるでしょうか。
ハノイに2年以上いる方ならほぼこの答えをご存知です。
わからない方は、周りの長期滞在者さんに聞いてみてください。
さて、来年は何のチケットを持ってやってくるのでしょうか。
楽しみです。
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ハノイに来て1週間となります。
こちらに来てこのブログを知り、現地事情の勉強も兼ねて楽しく読ませて頂いてます。
払わないとどうなるのか…とても気になります!
SPQRさん
コメント有り難うございます。
すみません、ちょっと見逃しておりました。
失礼しました。
「払わないとどうなるか」
実際払っていない韓国企業はどうなっているのか・・・
いちいち統計を取ったことはありませんが、皆で歩調を合わせて払わないと、何も実害はないのでしょうね。
日本企業のように、払うところと払わないところがあれば、何か差を付けてくるかも知れません。
私が知っているある日系企業さんは、公安からみの人から以下のような目に遭ったそうです。
ちょっとご紹介しておきます。
ある日、公安筋のそれらしい方々が会社に突然やってきて、こんなことを言われたそうです。
「あなたの会社が前に使っていたベトナムローカルのレンタカー会社が倒産した。
その会社は負債を抱えているので、こちらは回収をしなければならない。
ついては、以前利用されていた御社も少し手伝って欲しい。
5,000ドルで良いのでお支払ください」
全く意味が分かりません。
そのレンタカー会社は確かに以前利用をしていましたが、ここ数年は別の会社に切り替えているんです。
昔使っていたベトナムのレンタカー会社が倒産しようが、こちらには全く関係のない話です。
この会社は、最初から一切チケット販売など、領収書のでない支払をしないスタンスで通していました。
だからかどうかは分かりません。
しかし、なかなか立ち退こうとしないしつこさで、連日会社にやってくる。
日本の会社に電話をし、上司の判断を伺ったところ、
「もう面倒だから払っておけ」
となり、お支払されたそうです。
こういうことの対象になる確率が、ひょっとして増えるかも・・・
というくらいでしょうか。
たくさんの統計データーからご説明している分けではありませんので、「多分」の域を出ませんが。
ご参考にしてください。