ハノイリビングの田口です。
今日は中秋月の日。
先ほど日本にいる私の嫁さんから、
「こっちは綺麗な満月だけど、ハノイはどう?」
とラインメッセージが届きました。
思わず空を見上げると、確かに綺麗な満月です。
しかし、こちらハノイでは中秋月は「子供のテト」で、年に1度子供が一番わがまま怪獣になれる日。
子供が喜ぶイベントが街角ごとに目白押しです。
嫁さんのメッセージで、そういえば日本では今日は満月を愛でる日だったと・・・思い出したように空を見上げた次第です。
さて、今日は日曜日です。
朝からゆっくりのんびりと、書かせていただきたいのですが・・・
朝から1件、お客様のご案内がありました。
日曜日のご案内に、当社の最年少&キャピキャピガールのTinh(ティン)ちゃんが出て来てくれました。
彼女のことは以前の稿、
ハノイリビングの新人「Tinh(ティン)ちゃん」をご紹介します
でもご紹介しましたね。
当社は、土曜日は半ドン、日曜日は終日お休みです。
ということは、今日のTinhちゃんは残業出勤となります。
しかし・・・こちらの人は、いくら残業代を払うと言っても、週末の仕事は嫌がります。
「お金じゃあ無いですー、時間が欲しいですー」
眉毛をハの字にして訴えるTinhちゃんでしたが、
「どー考えてもTinhちゃんしか居ない・・・頼む」
と、毎度の金曜日の攻防の末、最年少スタッフTinhちゃんに、これも毎度のことですが白羽の矢が刺さる流れです。
40歳手前のマダムHuyenさんは、家庭のお母さんですので、日曜日出勤は控えてあげないといけません。
Hongちゃんは、まだ体調が悪く、自宅療養中です。
Tinhちゃん・・・25歳の若いスタッフです。
昼まで眠りたい盛りでしょう。
そんな彼女の頑張りに応える為、彼女とお客様のご案内が終わった後は、一緒にランチをごちそうするのも、また彼女の休日出勤時の約束事となっております。
今日は、朝から無性にパスタが食べたかった私が選んだレストランは、restaurant-bar「PePe La Poule」です。
ご案内が終わり、タクシーを走らせて「PePe La Poule」へ。
途中、如何にこの店の「本気麻婆豆腐」が美味いか、懇々と説きながらの楽しい移動となりました。
美味しい裏メニュー「塩カルボナーラ」と絶品の「本気麻婆豆腐」に舌鼓を打ちながら、何気にTinhちゃんの彼氏の話になりました。
Tinhちゃんには、長年お付き合いをしている彼氏がいます。
同じ大学で知りあった彼氏で、職業は警察官(ポリスマン)。
しかし・・・
私が良く行く日本食レストラン「じぇじぇもん」の女の子などと、よく彼氏の仕事話になるのですが、10人に聞くとおそらく40%くらいの確率で、
「彼氏はポリスマン」
と返ってきます。
「そんなに人気のある職なのかい?」
以前Tinhちゃんに聞いたことがあるのですが、彼女の説明が、
「うーん、お給料以外に封筒に入れて時々ボーナスもらえるからね」
まさに私が聞きたかった答えを、生々しくずばっと答えてくれたTinhちゃんの涼しい顔がいまだに忘れられません。
そんなTinhちゃんの彼氏。
故郷がハノイから遥か彼方のハティン(Hà Tĩnh)省です。
そしてTinhちゃんの故郷は、目下サムスンが大型投資を進めているバクザン(Bac Giang)省。
ハノイから車で北に約45分くらいでバクザン省に到着しますが、ハノイからバクザン省とは真反対に飛行機で飛ぶ先がハティン省です。
えげつなく離れているんです。
今はTinhちゃんが我が社で仕事をしてくれています。
また、彼氏もたまたまハノイで警察仕事をしているようで、今は会おうと思えば会える距離。
「今日は中秋月だから彼氏に会うの?」
と聞くと、
「はーい、夜に彼氏と学校時代の友達とで一緒にお鍋を食べます」
となかなか楽しみな日曜日の夜の計画を嬉しそうに教えてくれます。
「いいな〜、俺も一緒に鍋食べたい」
と無粋なことをいうと、あまり笑わず真面目な顔をして麻婆豆腐を口に黙々と運びます。
そしてため息をつきながら、
「彼氏の両親ね、そして私の両親もね、私達の結婚反対している」
と言うんです。
どうしてと聞くと、
「家が遠いから・・・」
日本と同じで、通常ベトナムでは結婚すると、女性が男性の家で家族と一緒に住むことになります。
日本のように新婚夫婦の新居など、余程のことが無い限り持つことなど許されず、日本ばりの「核家族化」がそう進むこともありません。
ベトナム人の若いカップルにとって、実家とは別に自分達の家を持つことには、まだまだ無理があるんです。
また、日本と違ってベトナムは、
「家族揃ってみんなで助け合って住む」
という考え方がまだ普通なんです。
本来であれば、Tinhちゃんは彼氏と結婚すると、ハティン省の彼氏の実家で親元から離れて生活をしなければなりません。
それをTinhちゃんの親が許してくれれば問題ないのですが・・・
Tinhちゃんは4人兄弟の末っ子です。
親からすれば、目に入れても痛くない可愛い子供のような娘さんです。
Tinhちゃんのご両親は、
「頼むからせめてハノイの方と結婚しておくれ」
と、これまた難しいことをおっしゃっているようです。
そうでなければバクザン省の方と・・・
しかしTinhちゃんは、
「バクザンって、もー何にもないよ〜」
何もないことは無いかと思うのですが、彼女からすればどうも嫌らしいんです。
しかし・・・ちょっとおかしいですね。Tinhちゃんの親からすると、遠いハティン省に愛娘を持って行かれるので結婚反対の気持は分かるのですが・・・
彼氏の親が「距離」を理由でTinhちゃんとの結婚を反対する意味が分かりません。
Tinhちゃんは彼氏の家に入るのですから。
距離で寂しい思いをするのは、Tinhちゃんのご両親ですね。
「今まで彼氏の両親に会ったことあるの?」
と聞くと、もちろん何度もあると。
私の疑問に気がついてくれたのか、急に眉毛を更にハの字にしながら、
「あのね、私ね、彼の親から嫌われている・・・」
どう見ても嫌われるような感じの子ではありません。
どちらかと言えば、かわいがられるタイプの女の子です。
「あのね、私ね、占いでダメらしい・・・」
「・・・・・・」
ああ、神さんか・・・そうきたか。
そりゃ根が深いわ・・・
こちらの方々は、特に年配になればなるほど、神のお告げを授ける占い師さんを、弁護士や税理士よりも信用する傾向にあります。
そして、自分の信用できる占い師さんの言うことは、テコでも実行する。
この傾向は、お金持ちやそうでない人達、階級に全く関係無く存在します。
我々がよくお付き合いしている、コンドミニアムのアパートオーナーもこの傾向が強い。
オーナーの新築一戸建てが完成し、それまで住んでいたコンドミニアムのアパートを日本人のお客様に引き渡す日、つまりオーナーのアパートに私共のお客様の日本人がチェックインする日に、オーナーが家から出て行かず、リビングでテレビを見続けている・・・という珍事が以前ありました。
「あの、すみません。オーナーが家から出て行ってくれないんですが、どうしてでしょう??」
夜の21:00ごろ、お客様からのクレーム問合せがあり、オーナーに聞いたところ、帰ってきた返事が、
「今日は新築の家に私達夫婦が入る日では無い。動いては絶対いけない日なんです。
つきましてはもう一晩、泊めていただけないでしょうか」
一度ご紹介させていただいたお話しですね。
仰天の回答です。
思いっきり契約違反です。
ベトナム人富裕層でもこうです。
いや、逆にお金持ちだから余計凝り固まっているのかもしれません。
元々カップルがハノイ出身の場合、また同じ故郷出身でハノイに出て来ている場合は、問題ありません。
問題は、それぞれ全く違う地方からハノイに出て来て、恋に落ちる。
そしてお互いの故郷が、車で通えない程距離がある場合・・・
確実に言えることは、女性側の親の寛大な心なくして結婚はあり得ないということです。
ベトナムの離婚率は40%の大台を超えたと言われています。
3人に1人は離婚します。
離婚理由は、
- 愛人問題
- 経済的理由
- 家庭内暴力
- 健康上の問題
だそうです。
日本の離婚率を遥かに上回っています。
この統計データーを見ると、神のお告げはあんまり正確では無いようです。
しかし、従来の結婚観も徐々に変わってきているようで、
「占いで」「同郷同士で」「親の話し合いで」結婚する決断理由から、
「健康かどうか」「安定職に就いているかどうか」、また「振る舞いやモラルがあるかどうか」「ビジネスを知っているかどうか」などが主な決断理由になりつつあるようです。
ちょっとずつまともな考えかたが定着してきています。
「占いのお告げを元に結婚したカップルの離婚率、はじき出したろか」
Tinhちゃんがハノイリビングで頑張って、彼氏の稼ぐ給料を超えてしまう日が来た場合・・・
立場が逆転するような例外はないものでしょうか。
ベトナム人にとって、外資系企業で働く収入は、とても貴重なはずで、結婚の為にみすみすそれを途絶えさせるような判断はしないと思うのですがどうでしょう。
間違い無く言えることは、今我が社のTinhちゃんの給料は、この調子でいくとポリスマンの彼氏の給料を間違い無く超えるということです。
それでもハティン省に行かなければいけないのでしょうか。
彼氏のご両親、いかがなものでしょうかね。
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