- 土地を売ってにわかお金持ちになったベトナム人
- 株が当たって一財を築いたベトナム人
- 金の商売で大量の資金を得たベトナム人
- 車の数の多さ
- 高層ビルの数の多さ
- ヘルメットをかぶってバイクに乗っているベトナム人の多さ
ハノイリビングの田口です。
「ベトナム人のTOP1%の大金持ちが考えること」と大層なタイトルを付けました。
しかし考えることを思いの丈お伝えするととんでもない話になりますので、肩の力を抜いて、毒気を抜いて、実際私が聞き知ったことだけをそのままお伝えしたいと思います。
私達の想像を絶する権力と資力でベトナム社会を束ねるTOP1%の「選民」たち。
要するに三角形のピラミッドの頂点に立つ、ほんの一握りの「実力者」は一体何を考えているのか・・・
これが今日お話する内容です。
全ての「選民たち」が一様にそうだとは言えません。
私が知った「選民さん」からお聞きした話です。
実はある方を通じてその「TOP1%」に限りなく近づいているベトナム人の実力者と最近お知り合いになりました。
くれぐれも言っておきますが、
これらの方々は「中間富裕層」に当たる方で、とても「TOP1%」には手が届きません。
「TOP1%」とはまさに、
「揃うモノが揃わないとたどり着けない高嶺の花」
ということになります。
つまりはベトナムを動かす政治家寄りの方々です。
実業家と政治家の境界がわかりにくい方がたくさんいます。
しかしその方が言うには、
「ここベトナムは社会主義ですが市場経済が動いています。
経済やビジネスに精通していることが政治家になる必須条件なんです。」
商売に長けた人しかTOPを目指せないということです。
私もハノイに赴任した当初、貧富の差が極端に激しいこの街の様子を目の当たりにして、
「ここは本当に社会主義の国なのか」
不思議に思ったものです。
ベンツが通り過ぎた道端で、巻き上がった粉塵をかぶりながら靴磨きをする若者たち。
10年ぶりにハノイに来られた方が、今のハノイの街を見て何に一番驚くかと言いますと、
なんです。
たった10年で隔世の感を禁じ得ない「ハノイの変貌ぶり」は、まず目から飛び込んで来るようです。
車を所有できるベトナム人などほんの数%。
それだけでも富裕層が確実に、しかもこの10年で一気に増えている事は間違いありません。
そんな中、その富裕層の中から更に選び抜かれた方で、国のTOPに限りなく近いところで仕事をしている方と最近お話をする機会をいただくようになりました。
その方はハノイNo1の大学を卒業し、日本へ渡り日本の有名大学で6年間(大学院まで)学業を修められました。
やっぱり学生の頃から学業に秀でた、優秀な方だった事に違いはありません。
しかし、
「日本に留学なんてお金持ちなんだな・・・」と思うでしょ。
違います。
実は家族からの援助に頼らず、自ら手続きをして就学された苦学生だったんです。
意外に思うのですが。
そして日本語を習得したその彼がベトナムに戻ってきて、破竹の勢いで出世をしていきます。
その方が丸一日かけて、私を自身が運営する工業団地に案内していただきました。
終日車で移動をしながら、いろんなお話をお聞きしました。
日本の大学で必死で日本語と日本文化を学んだその方は、今は複数の会社、不動産を所有し、年間の営業収益は私が聞いた範囲だけでも数十億円に軽く到達します。
それでもこれは未だ一部だと思います。
そんな方が苦学生だったということが・・・何故か結びつかなかったんです。
話を伺った時、不思議そうな表情をしている私の顔を横目で見ながら、
「田口さん、私も最初はお金がありませんでした。
今国を動かす大臣達も、最初は皆お金など無かったんです。
田口さんはお金があれば出世できると思っているでしょ。
違いますね。
そこそこの成功はお金を使えば手に入れる事は出来ます。しかしもっと更に上に行くには・・・」
そこまで話してその方はまっすぐ前をみつめたまま、口を閉じてしまいました。
一言で説明できない難しさがあるのでしょう。
そしてまた、今まで味わってきた厳しさを反芻していたのでしょうか。
厳しい表情をしながら私に説明する言葉を探している、そんな感じに見えたので、
「人脈ですか」
と恐る恐る声を掛けてみました。
すると彼は、
「はい、もちろんベトナムで成功するには人脈が絶対必要です。しかしね・・・」
しばらく腕組みをして考えてから、
「これは田口さんに説明するのは難しい。
ただね、お金があるだけではダメ、才能や技術があるだけでもダメ、二つ兼ね揃えているだけでもダメ」
そう話して言葉を切られた時、私はすかさず
「やっぱり人脈ですね」
もう一度同じセリフを挟みました。
何とかしてその次の言葉を、引き出したかったんです。
しかし彼は車窓から流れる風景を、頬杖をつきながら眺めているだけです。
「まだ違う」そんな素振りです。
「人脈」という簡単な言葉でまとめて欲しくない、そんな気持ちが伝わってくるようです。
彼の横顔をじっと見つめていたとき、ふと思ったのは、
「私が簡単に口にした『人脈』と言う言葉の意味と、彼が考えている『人脈』の意味は、質も深さも全く違う別次元のものではないか」
ということです。
どうも違うんですね。
ベトナムには4人の実力者がいて、その4人がベトナムを動かしているそうです。
その4人というのは、国家主席や首相、国会議長などと言うレベルの方々です。
これは彼の口から出た話です。
今彼はその4人のうちの一人から、ある「プロジェクト」を任されているんです。
その達成のために必死で働いています。
「お金じゃないんですよ、田口さん」
お金以上に価値のあるものを得るために彼は行動している。
その価値あるものを得るために、勿論お金は使わなければならない。
彼と会話を重ねていくと分かってくるんです。
「お金と経験して得られる能力、そして人脈、これらは必ず必要です。
そして目指すレベルに持ち上げてもらえる人脈に辿り着くまで人脈を掘り進んで行かないとダメなんです。
自分を引き上げてくれる、今目の前にいる人から預かった仕事は最後までしっかりこなし、利益を還元させて終わらなきゃいけないんです。」
彼が何を一番大切に考えているのか。
うっすらと見えてきますね。
どこまで目指すのか、その目標によってまるっきり行動が変わってきます。
彼が目指しているのは、「大臣の椅子」なんです。
ということは、ベトナムで得られる最高の権力を求めていることになります。
しかも具体的にいつまでになりたいか、決めて動いています。
彼は既に大臣に上り詰める為の「人脈」が見えているんだと思います。
だから具体的な期日を言えるんです。
最初日本で苦学生をして日本語を習得します。
日本に住みながら、日本人の考え方や文化も同時に体に擦り込みます。
それがまず上にアピールできる自分の能力です。
「日本に強い」これが彼の売りとなります。
ここからスタートします。
数々のキーパーソンに面通しをお願いするのに、目の前にいる人を喜ばせる仕事の結果を残さなければなりません。
そして次々と現れる実力者にその収益を確実に還元していくんです。
少しは自分の手元にも還流するようにしていると思いますが。
こうして少しずつTOP4人に行き着くまで、人脈をたどっていきます。
失敗を続けると、上に繋がる「人の道」は途絶えます。
成功を積み上げ、少しずつ力を手に入れることで、自分の事業も少しずつ拡張することが可能になり、現金収入が増えてきます。
しかし、登り詰めていくほど使わなければいけないお金も比例して多額になってくるようです。
お金を落とさなければいけないところに確実に落とす。
その為に親や配偶者名義で会社を興し、現金収入を確保します。
同時に自分の子供への投資も怠りません。
ベトナム人富裕層の投資先の筆頭に「子供の留学費」がかなりの額を占めます。
自身の成功を目指しながら、子供をアメリカや日本の大学へ行かせる為に、幼い頃から子供の教育にお金を注ぎます。
最初から「大臣の椅子」を狙うようなベトナム人の実力者が一番大事に考えること。
それはお金儲けではなく、力を持った人脈から勝ち取る「信頼」なんです。
それが何より己の価値を証明する「免罪符」になります。
その為には具体的な「成果」が必要です。
分かり易く言えばお金です。
ひょっとして日本でも同じような事が繰り広げられているのかも知れません。
ベトナムに限った話ではなく、他国の共産圏でも同じなのかもしれません。
しかしいずれにせよ、パッと大金を手にした俄か金持ちには到底真似できない荒業です。
基礎のしっかりした、能力のある人が、一つずつ成果を残しながら人脈と資金力を手にしていく。
最高の権力者の信頼を勝ち取るまで。
失敗は許されません。
その人が人脈を確保して行けば、それだけその人の家族親戚、そしてその取り巻きの人々が潤います。
そして後に残る資産を作っていく。
子供や孫の為にです。
自分一代で財産を途切れさせないように、子供の教育にも勿論お金を使います。
ベトナムは資産に税金がかかりません。
相続税も贈与税も有りません。
「持てる人」は資産をテコに積み上げていけるので、益々豊かになります。
「持たざる人」との差が開く一方です。
全ては目指す立場を実現できる人脈に行き着くまで、「人の道」を失敗せずに歩いていかなければなりません。
お金は権力と一緒に後から勝手についてきます。
その方が私にボソッと言ったのは、
「まだまだベトナムは先進国からの資金が必要です。
意思決定が遅いですね・・・」
こういう留学経験を持った力のある若い人財が、今後政治に参画し、スピード感のある改革に着手してくれるようになると、ベトナムの未来がより一層開けてくるのでは、と感じずにはいられません。
最後に小学生のお子様を持たれるその方にお子様の将来についてお聞きしました。
「うーん、まずアメリカの大学に行かせます。一人は政治家にしたいね。他の子は実業家でもいいよ。
でも実業家のセンスが無いと政治家にはなれません。お金は必要ですからね」
私の目の前に現れた大臣級の人脈。
生かすも殺すも私次第かなと思います。
ベトナムハノイに来られ、許認可の壁にぶち当たってしまったお客様の為に、この方とGive & Takeのお付き合いをさせていただこうと思います。
ちょっと面白くなってきました。
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