私はハノイに来てようやく1年半くらい。
まだまだ「未経験者」の域を出ませんが、ハノイに来るたくさんの日本のお客様と話をさせていただく機会が多いので、それなりに豆知識は付いてきております(笑)。
私自身がよく分からない事を、ご案内中にその道のお詳しい方から聞かせていただくのは私にとって本当に有り難く、貴重な情報源となっております。
さて、今日ご紹介するのは私がハノイに来て、長らく不思議に思っていたことの「答え」です。
タイトルにもありますが、ハノイの街中を歩いていて思う実感です。
「どうして日本のゼネコンによる建造物が少ないのか」
です。
もちろん、ハノイ以外の場所で橋梁や国際空港の拡充工事など、主に日本のODAがらみで活躍されているのは分かっています。
しかし、もう少しハノイに住む人々に近い建物となると・・・
よく目に付くのは、やはり韓国勢です。
ハノイ西部にある「Keangnam Hanoi Landmark Tower(カンナム ハノイ ランドマーク タワー)」や「CALIDAS 72」といった、今までハノイには無かったようなとてつもない大きな建築物、またKim Maのど真ん中、日本大使館のすぐ側で建築中の「LOTTEグループ」施工の大型ショッピングモール(冒頭の写真がそれです)。
どちらも韓国が力を入れて建築しているものです。
これくらの建物など、もちろん日本勢も建てられるのはわかっています。
なんというか、ベトナムの方々が見た場合、目立つ建物は韓国勢が占めているような印象を受けます。
もちろん電化製品も「SAMSUNG」「LG」製があふれかえっています。
「日本より韓国の方がすごい」
黙っていても、こんな印象を与えているんですね。
ベトナムの方々に対して。
テレビをつけると、韓流の歌、韓国女優のメイクアップ、芸能人の活躍、ホームドラマ・・・
韓流文化を見せつけるような番組の数々。
当社のHOCなど、もう韓流にメロメロです(笑)。
まあ、電化製品や芸能戦略はよく分かりませんが、こと施工物に対してなぜもっと日本のゼネコンがハノイに進出してこないのか・・・
以前から疑問でした。
もちろん、安倍政権になって多少円高傾向は収まっていますが、ちょっと前までは至上空前の円高でした。
かたやウォンは韓国政府の管理において、その実力を反映していない程の「ウォン安」誘導で維持されていました。
「為替の影響で価格競争では負けるのは仕方が無いのか・・・」
と思っていました。
ある日、日本のゼネコン関連の方をご案内したとき、この疑問をぶつけてみました。
するとそのお客様がこともなげに、
「まあ、為替もあるけど田口さん・・・コンプライアンスですよ」
と一言でよくわかる回答をいただきました。
「ああ、そういうことか・・・」
韓国企業のコンプライアンス(社会規範に基づく法令遵守)について、詳しい知識を持ち合わせていないので何とも言えませんが、日本企業としては近年特に厳しくなってきていますね。
少なくとも韓国より厳しのは事実です。
領収書の出ない支出は「使途不明金」ですから、そんな支出が日本企業でまかり通るはずは無く、そう簡単に突っ込んでいけないのが現状のようです。
「郷に入れば郷に従え」
などと、気軽に言えないのが日本企業にとってのコンプライアンス概念ですし、長い目で見てば「郷に従ってはいけない」と私は思います。
ベトナムへの進出を検討する世界の企業にとって、足並みを揃えて「世界基準である当たり前のコンプライアンス遵守」を維持してベトナム政府と交渉していかないと、いつまで経っても無用な支出が無くなりません。
「コンプライアンスを守らず、目先の利益に走るのは恥ずべき事である」
しかし・・・
こんなきれい事が通用するほど、ビジネスの世界は甘くは無いんでしょう。
先にどんな手段を使おうが、市場を抑えたもの勝ち。
特に中国やベトナムといった共産圏には往々にして介在する問題です。
「メイドインジャパン」を復活させる為に、日本企業は個々に「企業倫理」を試される機会が増えてくるかと思います。
どちらの選択をしなければならないのでしょうか。
難しい問題です。
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