ベトナムではなぜ韓国企業が強いのか

ホーチミン廟
ハノイにある「ホーチミン廟」。
広大な敷地にホーチミンさんが祭られています。
このホーチミンさんが切り開いたベトナムの地に、今韓国企業が着実に地盤を固めています。

日本からハノイに来て、最初に驚かされるのが韓国製品の多さ。
日本で日本家電製品に囲まれて生活してきた私達は、いきなり溢れるばかりの韓国家電製品の中で生活しなければならなくなります。

Kim Maの待ち合わせによく利用される韓国DAEWOOホテルテレビ、DVD、洗濯機、冷蔵庫、エアコン・・・大半がSAMSUNG(サムスン)、LGの製品。
街中を走るバスや大型トラックは大半がHYUNDAI、また小型車は起亜(KIA)がやたらと目に付きます。
これにかろうじて対抗しているのは、車ではトヨタかHONDAくらい。

圧倒的に「日本製」が牛耳っているのは、唯一モーターバイクのHONDA、YAMAHAくらいでしょうか。

街中の大型工事現場には、大半は韓国企業の看板が掛かっています。

テレビをつければ韓流の歌番組にドラマがベトナムのお茶の間に溢れています。
日本の芸能人はかろうじてお店に張られている化粧品のポスターで見かけるくらい。
若いベトナムの女の子達は、こぞって韓流の歌手や女優の化粧の真似をして競い合っています。
それがファッションの最先端のような扱いで取り上げられているんですね。

日本からの赴任者の約10倍が韓国からの赴任者ですから、圧倒的に韓国人口の方が多いんですね。
今のベトナムでの「影響力」の差は、この訪越人数の差にそのまま現れているんだろうなと実感します。

LOTTEが開発するショッピングセンター

私の仕事は、日本からの赴任者様に安心してお住まいいただける賃貸アパートやオフィスを斡旋することです。
いろんなご予算の企業担当者様から相談を受けます。
最近では、何もかも契約家賃にインクルードされる高いサービスアパートより、インクルードできる費用を選択できるローカルアパートの問い合わせが増えてきています。
水道高熱費やインターネット使用料、ハウスキーピング料や日本語番組の視聴料などは「赴任者負担」にして契約家賃に含めないケースです。

しかし、未だ一部大手企業様ともなると、

「家族帯同ですので、サービスアパートで予算は4.500ドルくらいの部屋を」
「私は単身ですが3.800ドルで。前任者と同じ条件だと決済が早いので」

3.000ドル台から4.000ドル台を普通に要求してこられます。

4.500ドルというと約36万円。
眠たそうな目をしながら、若い独身の男性赴任者さんが答えてくれたその36万円という賃料。

「日本で生活する家賃額と大して変わらないんじゃないの??」

瞬間そう思いました。

ベトナムで毎月36万円というととんでもない金額です。
日本料理屋さんで働くアルバイトの女の子の月のお給料が、約200万VND(7.300円)。
ハノイで一番高い高級ラウンジで働くラウンジレディさんの月の固定給が、約400万VND(14.600円)です。

そんなに出さなくても、同等のセキュリティで新しくて安いアパートはたくさんあります。

しかし、その企業さんが社内規定で決められているベトナム赴任者への家賃負担額ですから・・・
その若い赴任者さんにとっては、何も気にせずその上限枠ぎりぎりを使ってアパートを探せば良いわけです。
私達は1ヶ月分の仲介手数料が唯一の収益として成り立つ仕事ですから、もちろん家賃額が高い方が利益が大きいわけです。
特段そこに文句を言うことなど、お門違いではありますが・・・
ですが、一部の日本企業様のハノイ相場からかけ離れた予算額を聞くにつれ、もう少しハノイの住宅事情を調査した方がいいのではないかと考えてしまいます。

では、韓国の赴任者の方々はどうなのでしょう。

先日、当社の経理顧問の先生と食事をする機会がありました。
この先生はベトナムで20年間、日本企業の進出支援をされている方です。
今、ベトナムがどう変わろうとしているのか、それに対して日本企業はどう駒を進めていけば良いのか、隅々まで理解されている方です。
その先生が言われたことが、

「このままだとベトナムで日本が韓国に追いつくには・・・時間がかかります」

その根拠をお聞きすると、先生はこうおっしゃいました。

「韓国のビジネスマンは各プロジェクトごとに目標利益が厳然と決められています。
その中にはプロジェクトにたずさわる方々の住むアパートの家賃額も経費としてしっかりと組み込まれているんですね。
だから彼らは現場事務所に寝泊まりして、経費を浮かせるんです。
何が何でも目標利益を達成する、そりゃもう課長も部長も関係ない・・同じ姿で無駄な経費をかけず、真剣に取り組んでますよ。
利益に対する貪欲さは、おそらく日本の比じゃありませんね」

その瞬間、あの眠たそうな目をした若い赴任者の36万円の家賃を思い出しました。

おそらくその36万円は、会社の福利厚生費のような経費でまかなわれているんだろうと思います。
決して、その若い赴任者のたずさわる仕事の利益目標額に実感としてリンクはしていないんだろうと・・・

韓国の大企業は部長クラスまでは、日本の企業の方が報酬額は高いそうですが、
一歩その上に昇進すると・・・一気に日本の役員給与を超えるくらいの多額の報酬が支払われるそうです。

もちろん厳しい競争社会ですから、登り切れない人たちもたくさん出てきます。
韓国の自殺死亡率は「経済協力開発機構(OECD)」加盟国の中で、日本を抜いて1番です。

凄まじく急激に格差社会が広がっている今の韓国。
昔の高度成長期時代の日本は、質の高い製品を作れば儲かっていましたが、ここまで競争がグローバルになってくるとなかなか一人勝ちは難しい状況です。

ベトナム・韓国友好20周年なんだそうです

しかし今ベトナムで「一人勝ち」をキープしている韓国企業。
その力の源は、単に「ウォン安、円高の追い風」とか「韓国政府の後ろ盾」といったプラス要因だけでは無いように思います。

「勝ち組に残りたい」

厳しいふるいに掛けられる韓国企業のビジネスマンたち。
その生活をかけた「踏ん張り」が少し日本より上回っている・・・そんな気がします。

今まで日本は数々の試練に打ち勝って、世界トップクラスの経済を維持してきました。
難局に「踏ん張り続けてきた歴史」が脈々と日本企業に根付いています。
政治に頼らない日本企業の底力とそれを支える豊富な裾野産業。

SAMSUNG(サムスン)、LGの売り上げが、韓国産業全体の30%を占めるという特出した一部企業依存の韓国に比べ、
各分野にコアなリーディングカンパニーを持つ日本産業。
そして、次期成長分野への転換を急ぐ企業TOPの判断力。

私は日々日本からくるたくさんの赴任者向けアパートの問い合わせを受けながら、その勢いを増す日本企業の躍進を予感しています。

アジア諸国に比べて高い人件費や法人税率、それに歴史的な円高に電力料金の上昇・・・
日本を取り巻く環境が八方ふさがりである今、日本企業の主戦場はアジアを中心とした海外にシフトしていることは周知のことです。

日本の技術・ノウハウに救いを求める国はたくさんあります。
日本企業の皆さん、どうか「踏ん張って」ください。

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田口 庸生

田口 庸生 の紹介

初めまして、「ハノイリビング」営業担当の田口(たぐち)です。 日本より初めてベトナムのハノイに着任された日本の皆様、 愛するご家族を日本に残し、初めての「海外単身赴任」をこれから経験される皆様、 快適なハノイでの生活を満喫していただくために、皆様の「お住まい探し」から「入居後のサポート」まで一貫した「窓口対応」を請け負います。 「ベストマッチ」を合い言葉に・・・ どうぞお気軽にお問い合わせください。 お待ちしております。
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