ハノイリビングの田口です。
今日は視覚障害を持つ方々を支えるベトナムのNPO団体、「Blind-Link」が主催する「アロマセラピー&マッサージスパ」Omamori Spaをご紹介します。
先週末、ある日本の現役大学生の男の子から突然電話を受けました。
「今日会えませんか、相談させていただきたいことがあります」
どうも私共のブログサイトを見ての連絡のようです。
大学4年生の真面目そうな男子生徒。
ベトナムのNPO活動支援で日本の大学を1年間休学し、ハノイに単身で渡ってきたとのこと。
「その先のお話はお会いしてから」
直球のアポイント依頼に、無下に断る理由も無く、夕方の打ち合わせを約束致しました。
ピカピカのスーツに身を包み、緊張気味に来社いただいた彼の「お願い事」とは・・・
「視覚障害を持つベトナム人だけがスタッフとしてマッサージスパをOpenさせているんです。
名前は『Omamori Spa』といいます。
僕はその販促活動を手伝いに日本から来ました」
NPO活動イコール「ボランティア」という認識で、ぼんやりとですが知っていました。
しかしその運営母体がベトナムの団体というのは、初めてお聞きする話です。
世界中にNPO活動が草の根的に発足しているわけですから、ベトナムで活動団体があっても何の不思議もありません。
視覚障害を持つベトナム人の方々に、雇用の機会を創ることが目的のNPO団体。
そのベトナムの活動団体の支援に、大学を休学して日本から参加しに来ている若者が、今私の目の前に座っています。
頭が下がる思いです。
「私でできることがあるなら、何でもしてあげたい」
そんな思いでいっぱいになりました。
「どんな販促活動をすればいいでしょうか」
彼の真剣な問いかけに、私も腕組みをして考えてみました。
マッサージ店の販促活動といっても、お金を掛けないですることですから、地道な活動しか思い浮かびません。
まずはどんなレベルのマッサージを施してくれるのか、私自身が体験してみようと思い立ちました。
そして良いと判断できればブログでご紹介させていただこう、そう考えたんです。
そして日曜日の今日。
午後から時間ができたので、早速行ってみました。
タクシーで住所を示して行ってもらいました。
細い路地の先ですので、少しわかりにくいかもしれません。
行けるだけタクシーに行ってもらい、そこから自分で探そうと思いタクシーを降りてすぐに振り返ればそこが、「Omamori Spa」でした。
先に概要と位置図をご紹介しておきます。
- 【マッサージ店名】Omamori Spa
- 【住所】102 Ngo 5 B1 Huynh Thuc Khang, Dong Da DIst, Hanoi
- 【サービス内容】アロマセラピーと指圧を組み合わせた静かでヒーリング効果のあるマッサージ
- 【連絡先】04-3773-9919
※英語で予約は可能です - 【料金】頭から肩、背中、足まで全てのマッサージで、
・60分:150.000VND(約750円)
・75分:180.000VND(約900円)
・90分:200.000VND(約1.000円)
※価格改訂されて、少し料金が上がっています(先のホームページに料金は記載されています)。
後ほど新料金をお知らせします。 - 【営業時間】テト休日以外年中無休
※ただ、一度行かれる前に電話で確認してみてください。 - 【設立】2013年
- 【ホームページ】http://www.blindlink.org.vn/spa/index.php
- 【facebookページ】https://www.facebook.com/OmamoriSpa
では、場所です。
Nguyen Chi Thanh通りとLang Ha通りを繋ぐHuynh Thuc Khang通りにあります。
しかし道路沿いではありません。
次の写真をよく見てください。
この路地の奥の右手にあります。
タクシーの運転手に住所だけ知らせると、この路地の先まで突っ込んで行ってくれました。
しかし、その先はさすがに分からなかったようです。
突っ込めばわかります。
その先のすぐ右手に冒頭の写真の入り口が見えるはずです。
何せ「非営利団体」であることは聞いています。
お金にモノを言わせたような、豪華仕様の店ではありません。
待合室は小さな4畳半ほどのスペースです。
コースの説明を受けて、暫く待っていると、マッサージを終えて3人組の若い日本人が出て来ました
すかさず様子を聞いてみると、
「よかったですよ。女の子同士がぺちゃくちゃ話しながらマッサージされる店ばかり経験してきたので新鮮でした」
室内が薄暗い照明で、合計4ベッドがあり、ベッド間をカーテンで遮断しているので、隣はよく見えません。
完全個室ではありませんが、充分プライベートは保てた状態で静かにマッサージを受けることが出来ます。
確かに、それぞれがカーテンで遮られているので、「しゃべりながらマッサージ」などということは絶対あり得ません。
明かりを落とし、ヒーリングミュージックがうっすらと流れている、そんな雰囲気なんです。
また、施術してくれる方々は真剣です。
視覚障害を持つ男女が、指先に神経を集中させ、黙々とマッサージしてくれます。
女性マッサージが2人、男性マッサージが5人くらい在籍されているようです。
特に指名をしなければ、男性客には女性のマッサージを、女性客には男性のマッサージを当てるのがルールのようです。
もちろん、逆に指名もできます。
最初待合ルームで女性スタッフが英語で施術範囲や力加減を聞いてくれます。
そこで出したリクエスト通りの施術を受けることができます。
私の担当者が現れ、隣の施術室へ。
既に半分のベッドが埋まっています。
日曜日の午後でしたので、混み合う時間帯のようです。
平日の昼間にいけばもっと空いているかと思います。
私が選んだのは全身マッサージ(頭から肩、背中、足)の60分コースです。
「NPO団体が支援する非営利目的のマッサージだから、素人さんマッサージみたいな感じかな・・・」
そんな先入観で受けてみると、なんのなんの。
かなり本格的なマッサージです。
途中で何度も力加減が良いかどうか、気持が良いかどうか、確かめてきます。
背中のツボをしっかり捕らえたマッサージで、あまりに気持ちよく、自分のいびきの音が聞こえてくるような、夢と現実の間を行き来している間にマッサージは終了しました。
私がマッサージを受けている間、私の隣は大柄のベトナム人男性でした。
その彼のいびきが結構響いて聞こえて来ていましたが、気がつくと西洋人の女性に変わっていました。
隣同士、頭だけ見えるんですね。
しかし・・・
「Omamori Spa」のホームページを見ると、隣を隔てるカーテンが透け透けに映っています。
「ええっ!隣同士まるみえじゃないの?」
そんなことはありません。
ホームページのようなカーテンではなく、もっとしっかりと見えない素材のカーテンに変わっていますのでご安心ください。
ただ、完全個室ではない上に、背中のマッサージはローションを塗ってじっくりツボを刺激する施術なので、上半身は裸になります。
施術が終わり、シャワー室へ着替えに行くときに、前を通りますから隣の方が見えてしまうんです。
これは改善した方がいいかなと思います。
男女混在の部屋でのマッサージですので、女性客はちょっと気を使うところですね。
西洋人の女性はそんなこと全く無関心にマッサージを受けていましたが。
日本人の奥様方なら、平日の昼過ぎに行かれると空いているので貸し切り状態だと思いますのでお勧めです。
私は今までマッサージで真剣に寝込んでしまうことはほとんど無かったのですが、今回は完全に落ちてしまいました。
放心状態になっている私に、担当の女性マッサージさんが、
「5分くらいゆっくり休んでいただいても良いですよ」
と言い残して控え室に戻って行きました。
体についたローションを洗い落とすためのシャワーもあります。
軽く洗って着替えて待合室に戻ると、最初にやりとりした女性がちょこんと座って待っていてくれました。
「どうでしたか」
聞かれるも何も、あまりの気持ちよさに寝込んでしまったことが何よりの答えです。
凝りをしっかりほぐすだけでなく、寝入ってしまうほどの自然なマッサージです。
また、室内がそういう雰囲気なんです。
次回は200.000VNDで90分にすると、もっと静かに寝込むことができるかもしれません。
体を反転させるときだけ起きていれば良し。
平日の業務が忙しく、睡眠時間が不足しがちな方は、熟睡しに行かれるのもいいかもしれません。
視覚障害の方々の目の代わりに、更に研ぎ澄まされた指で受けるリラクゼーションマッサージ。
巷に溢れる健常者の流れ作業のようなダラダラマッサージに比べると、圧倒的にきめ細かいサービスだと思います。
最後に料金を払います。
「150.000VNDです」
信じられません。
私はサイフに200.000VNDがあったので、その女性スタッフに渡して、
「残りはさっき私を施術してくれた女の子にチップとして渡してくださいな」
そういうと、きっぱりと断られました。
「チップはいただけません。私達の会社に寄付(donation)としてなら受けることができます」
そう、ここが非営利団体だということを忘れていました。
もちろんお釣りは寄付させていただきました。
清々しい気分になれたひとときです。
目をつぶって今日受けたマッサージを思い起こしてみました。
今日私は初めて「Omamori Spa」に来ました。
そしてきめ細やかにマッサージの加減を英語で繰り返し問いかける真面目な施術者に触れました。
ここでマッサージをされている方の仕事に対する動機と、日頃私達が行く韓国式やらベトナム式やらのマッサージ担当者の動機と、比べてみてどうか・・・です。
「Omamori Spa」の皆さんは「生きていく為の手段」としてマッサージに取り組んでいます。
比較にならないほどの意識の違いを感じます。
そして指先に目がついているかのような、ツボを押さえる高い指圧技術を感じさせてくれます。
「どうせマッサージを受けるなら、真剣に取り組む方の想いのこもった施術を受け、その対価を寄付出来た方が良い」
皆さんはどう思われますか。
最後に運営母体のNPO団体「Blind-Link」が制作したプロモーションビデオを参考までにつけておきます。
真剣に取り組まれたサービスであることがご理解いただけるかと思います。
以上、思わず応援したくなるNPO団体の運営マッサージ店、「Omamori Spa」のご紹介でした。
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