長い海外生活でも子供の日本語能力と日本人としての identityを落とさない学校選びについて

未来の大空に羽ばたく子供達の学校教育は、遠く見渡せる広い視野で考えてあげたい

未来の大空に羽ばたく子供達の学校教育は、遠く見渡せる広い視野で考えてあげたい



ハノイリビングの田口です。

今日はベトナムにしては珍しい大型連休の最終日。
昨日久方ぶりにお会いした元ベトナム駐在の奥様から、大変貴重なお話を聞かせていただきました。

ハノイにいらっしゃる時から、facebookでつながっていた方です。
ハノイ在住が長く、その分ハノイのことを熟知されている、、豪快な駐妻さんです。
私にとっては貴重な「ハノイのご意見番」でした。
昨年ご家族揃って日本へ本帰国されています。

先日その「ご意見番さん」からfacebookを通じてご連絡をいただきました。
ご相談したいことがあるとのこと。
どちらかというと、以前より私の方からの一方的な相談事ばかりでしたので、お返しさせていただくチャンスと思い、即日程を調整し、お会いすることになりました。

Daewoo Hotel1階のCafeで待ち合わせ。
10分早く先に到着した私は、飲み物を頼み、お勘定を済ませ、ご意見番さんをお待ちしておりました。
程無くしてご対面することに。

「ベトナム人の友人さん、振り切るのに時間かかっちゃって、すみませーん」

私も直接ご意見番さんに会うのは、これで2回目くらい。
いつもfacebookメッセージでばかりのやりとりでしたので、少々緊張してきます。
こう見えても人見知りをするタイプですので。

それとは真逆のタイプがご意見番さん。
立て板に水のごとく、スラスラと会話が飛び出てきます。

ご依頼事の話題になり、丁度私も同じことで調べていたことでもあったので、何とかお役に立つ回答ができました。
その後はいろんな雑談になりました。

私が話すことを最後まで聞き取り、一瞬だけ間を置いてから、すぐ的確な回答を出してくれる。
話を聞いていると、どんどん聞きたいことが浮かんで来る。
会話のテンポが良いからでしょう。

また、相手に気を使わせない話し方、これができる方って相当の手練れだと、直感的に思いました。
何となくご意見番さんのバックグラウンドに興味を持った私は、学生時代のプロフィールを聞いてみました。

「父が商社マンで、私・・・実は海外の『日本人学校』で学んだんです」

香港の日本人学校が長かったとのこと。
また、お父さんがシンガポールに赴任すると聞くと、直ぐに高校時代の休みを利用し、父親のアパートへ転がり込み、終日フリーパスチケットを買い、「地球の歩き方」片手にシンガポール中を歩き回ったと。

「夜遅く帰ってきた時、父から床が抜けるかと思うほど怒られちゃったー」

止まったら死ぬマグロのような行動力。
それだけ外に向いた好奇心が旺盛だったんでしょう。
小田実の「何でも見てやろう」を、若くして地で行く女学生さんだったようです。

ベトナムハノイを歩くと、必ずこういうローカルフードに出くわします

ベトナムハノイを歩くと、必ずこういうローカルフードに出くわします



海外を転々とした経験をお持ちだと聞いて、以前から回答出来ずにいた、お客様からのご質問を思い出しました。
その疑問とは、

「お父さんの海外赴任を家族全員で追いかけていく場合、子供を日本人学校ではなくインターナショナルスクールにずっと通わせたいんです。
子供の英語力が上がると共にが、日本語能力が下がる事態を避ける為に、親としてどうしてやればいいのでしょうか」

3年から5年くらいで帰任される方は、差ほど深刻な問題ではありません。
問題は、長く海外畑を歩くことがほぼ決まっているようなご主人を持つご家族の場合。
赴任する先々で英語漬けのインター生活になるお子様。

「お母さん、ゼブラって日本語で何?」

こういう会話が日増しに増える。
ハノイであれば、Hanoi International School(HIS)というインターが、唯一日本語教師を配し、日本語学習をカリキュラムに取り入れ、母国語のスキルアップに取り組んでいます。
日本文学を取り上げ、しっかりと読み込み、作者の意図を推し量るレベルの学習をされてます
しかし、それ以外のUNISやConcordia、BISにはこういう課程がありません。

日本なら、漢字の試験で自分だけ成績が悪いと、「ああ、やばい」で追いつこうとする空気が自然と生まれますが、インターの中では日本語学習を受けられるHISを除いて、終日英語一辺倒のコミュニケーションです。
皆英語を使って友達になっているので、自宅学習で漢字が書けなくても「困らない」、だから頭に入らない。

これを10年以上続けて行くと、日本語を理解できない子供になる。
深い会話が日本語でできなくなる。
おじいちゃん、おばあちゃんとの会話が片言の日本語になる。

「日本語で考え日本語で表現する」ことのできない日本人を、日本人と言えるのだろうか・・・

ご意見番さんは、日本人学校を転々とされたので、「日本語と英語のせめぎ合い」の悩みは持たれていないと思いますが、小さい子を持つ親としての考え方を聞きたいと思い、この疑問をそのままぶつけてみました。
私が話し終わるのを待っていたかのように、立て板に水のごとく、話を切り出されました。

「この件はね、悩んでいる方が多い分よくやり取りするんです。今から話すことは、あくまでも私の意見ですよ」

そう前置きをしてから、ご意見番さんのお子様教育の持論を展開されました。

「私は今日本に戻ってしまっていますが、もし私達が海外を転々とする家庭だとした場合、子供には小学3年生まではインターに入れたいと思っています。
そして覚えなくてはいけない当用漢字が急に増える4年生から、日本人学校に行かせます。
そうですね、中学が終わるまでは日本の学校で日本語教育にどっぷり浸からせます。

小学3年生までインターに行かせる理由は、

外国人(異国人)を怖がらない、身近に思える感覚を身につけさせるため

です。
これって結構大事だと思いますよ」

三つ子の魂100まで、という恐ろしい言葉があります。
何かに追い立てられるように、幼児教育に熱心になる親はいるのですが、ご意見番さんは敢えて、

「外国人恐怖症」を芽生えさせない環境に、早い時期から子供を放り込むことが、国際人への第一歩だ

という考えのようです。
そして、中学までしっかりと日本語を学ぶ。
体に隅々まで日本語に浸らせる。

「しかしね、敢えて小学4年生から日本人学校に学ばせるもう一つの理由があるんです。
それは、日本人としての立ち振る舞い、これを絶対に身につけさせたいんです

例えば、お友達の家に上がらせて貰う時は、靴を揃えて『お邪魔しまーす』、何か振る舞って貰ったら『有り難うございまーす』が自然に言えるように。
学校での給食でおかずを取るのに、じっと黙って順番を守れるように。
何か失敗してしまって、友達に迷惑を掛けたら、正直に謝れるように。

こういう日本人としての基本的な挙措を身につけさせたい。
これは社会で生きていく為の道徳を理解できていないと、行動となって表に現れてこないですね。」

なるほど。
確かにベトナムに来て驚いたことに、スーパーのレジで並んでいても、平気で横入りしてくる。
しかも若者に限らず、お年寄りまで。
メーカーのお客様から良く聞くのは、「ベトナムの若い奴は、テコでも謝らない」・・・
日本人の我々からすると、信じられない振る舞いです。
我が子だけはこうなって欲しくない、ベトナムに来ると尚更のこと実感する悪習慣です。

このお昼の順番抜かしが一番イライラする・・

このお昼の順番抜かしが一番イライラする・・



私はその時、以前お会いした私のご友人で、40代後半にして初めて授かった一粒種の息子さんの教育論を熱弁されていた、切れ者の男性を思い出しました。
私と同じ50台の男性、しかしその子供さんは未だ小学校に入ったばかりです。

「田口さんね、私はこの息子が社会人として羽ばたく姿を見る手前で、確実にこの世から居なくなります。
だから私は、おっさんには会いません。
自分と同い歳か、それ以下の人としか交流を持たない様にしています。
私のことを少しでも理解してくれる人を一人でも多く作りたい。
だって息子の支えになってくれるかもしれないでしょ」

そう断った後、母国語についてこう語りました。

「日本語なんて、不自由な言葉に左右される必要はないと思いますよ。
私は息子には世界の大海原へ出てビジネスをして欲しい。
母国語が日本語でないとダメ?どうして?
日本語圏ではなく遥かにスケールの大きい英語圏で勝負をするのに、英語を母国語なみのレベルにする方が、子供にとってチャンスは広がると思いますよ」

斬新故に少し違和感の感じるご意見です。
この話をご意見番さんにそのままぶつけてみました。
するとまた一瞬の間を置いて、直ぐにこう切り替えされました。

「私は思いますけど、私達日本人がどれだけ英語を駆使できるとしても、周りの外国人は私達日本人を『英語が話せる日本人』という目で見ると思うんですね。
どう逆立ちしても、私達は日本人なんです。
だから英語を通して日本人としてのidentity(アイデンティティ)を相手に理解してもらえる実力をつけないとダメなんじゃ無いでしょうか。」

さすがご意見番さん、その通りだと思います。
外国人は我々日本人を見つけると、素のような表情で、

「竹島と尖閣って日本の領土だろ?なんで強く反対しないの?」

こんな質問を平然としてきます。
その時に「日本の立場」、そして「自分の意見」を英語で的確に伝えなければならない局面が普通に出てくる。
外国人が私達に聞きたいのは、ニュースで取れる情報より、直接日本人から聞ける「日本の生きた情報」のはず。

「それに、日本ほど外国語に弱い国は無いですよね。
だから日本と外国の間に入る仲介業務は絶対に日本人がするべきだと思うんです。
だって、日本人って外国人から直接英語でまくし立てられるよりも、「間」の分かる同じ日本人から商談を持ち込まれた方が絶対に通る確率が高いでしょ。
どれだけ海外のインター生活が長くなっても、日本語を諦めずに身につけておけば、英語に弱い我が国日本に、英語圏の商材を営業できる人材になれるじゃないですか。
日本の市場に食いつけるって美味しくありませんか?」

このご意見番さんは、本当に達者な方だとつくづく思います。
おっしゃるとおりです。
まるで、答えを予め準備していたかのような、澱みの無い分かり易い回答をいただきました。

海外赴任が長くなるお父さんと一緒に、世界を回るご家族。
そのお子様の教育を、英語漬けのインターナショナルスクール一辺倒にせず、「日本語」と「日本人としての道徳」を学ぶ為、あえて日本人学校で過ごす期間を作る考え方。
いろんな考え方がありますが、これも一つの選択肢だと思います。

何かズシッと腑に落ちた気がしました。

皆様はどう思われますか?

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田口 庸生

田口 庸生 の紹介

初めまして、「ハノイリビング」営業担当の田口(たぐち)です。 日本より初めてベトナムのハノイに着任された日本の皆様、 愛するご家族を日本に残し、初めての「海外単身赴任」をこれから経験される皆様、 快適なハノイでの生活を満喫していただくために、皆様の「お住まい探し」から「入居後のサポート」まで一貫した「窓口対応」を請け負います。 「ベストマッチ」を合い言葉に・・・ どうぞお気軽にお問い合わせください。 お待ちしております。
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