女性留守宅無断侵入者、その正体は?動機は?一体何?

結論はこのベトナム語に書かれています

結論はこのベトナム語に書かれています



真犯人、果たしてそれは一体だれ?

真犯人、果たしてそれは一体だれ?



ハノイリビングの田口です。

冒頭のベトナム語のletter。
字は上手くありませんが、丁寧に、一生懸命書かれています。
ベトナム語に堪能な方が見れば「ほうっ」と感心される内容かもしれません。

なぜこの文章が出て来たのか、誰が書いたのか、今日はそのお話をします。

お客様からの通報をいただく

事件はベトナムの大型連休(4月29日〜5月2日)の間におきました。
連休明けのある日の夜、当社のお客様で、ハノイに初めて赴任された若い女性単身赴任者様からご連絡をいただきました。

「あの、私いま旅行から戻ってきたんですけど・・・部屋が誰かに使われていたみたいで、変なんです」

休み明け、まだ頭がぼーっとしている時に、シビアで緊急を要するクレームが飛び込んできました。
とても若いお客様です。
その女性宅に「何者かが忍び込んだ形跡がある」というんです。

「ちょっと、気持ち悪くて、調べていただきたいんです」

とっさに「無くなったものはないですか」、とお尋ねすると、

「いえ、部屋から持ち出されたものは無いみたいです。でも何と言うか・・・気持ち悪くて」

相当動揺されている様子が、受話器越しに伝わってきます。
女性単身者のお部屋だけに、私も緊張します。

まず状況を把握したかったので、「誰かに侵入された」と言う形跡を一つずつお尋ねしていきました。

「はい、まず帰ってきて台所を見たのですが、2口のキッチンシンクの左右に洗いかけのお皿を置いていたんです。
急いで旅行の支度をしていたものですので、洗い物をそのままにして出かけたんですが・・・
お皿が全て片方のシンクにまとめて積み上げられているんです。
誰かがお皿を動かしたのは、間違いありません」

お皿の置き方を良く覚えておられるようです。
ご自身では絶対にやらない置き方で、お皿を積み上げられているので、明らかに侵入者が台所を使ったことは確かなようです。

「それに、冷蔵庫の取手にタオルを引っかけていたのですが、そのタオルが横のWaterサーバーのWaterボトルの上に置かれているんです。
あと、そのWaterボトルの水が半分くらい飲まれています」

お客様の部屋の水を飲むことは、ハウスキーパーさんを始め全アパートスタッフにとって「御法度」なはずです。
これをされると、真っ先にお客様からクレームをいただくんです。
そのアパートの品質を確実に下げる問題行動。
アパートオーナーは徹底してこういう問題行動に出るキーパーを排除しています。
それほどやってはいけない行為です。

それを安々と半分近く、がぶ飲みされているとは・・・
ある程度の時間、侵入者はお客様の部屋で過ごしていたことが推察されます。

「エアコンの温度設定も普段は28度くらいにしていますが、帰ってみると17度になっていました」

大胆にも、お客様のエアコンをガンガンに冷やして使っていたとは。
ハウスキーパーさんは、どんなに暑い日でも、お客様の室内エアコンは使わないというルールでやっています。
一体誰の仕業なのか・・・
どうも部外の人間のような気がしてきました。

「それと、よく分からないんですが、見たこともない包丁が1本、キッチン台に残されていました」

何とも薄気味悪い話です。
今までの話をつなぎ合わせると、恐らく侵入者は完全に確信犯です。
何やら意図を持ってお客様の部屋に入ってきたようです。

もし、侵入時に誰かと鉢合わせしてしまった時・・・その時用の包丁だったのか・・・

「その包丁があったキッチン台にスイカの種のようなものが何粒か残っているんです。
私、この部屋にチェックインしてから一度も部屋でスイカを食べたことがないんです・・・」

ああ、確信犯間違いなしです。
スイカをどこからか持ってきて、不敵にも女性の部屋でかぶり付いていたのは間違いありません。
なんという神経のず太さ。
本当に無くなったものはないか、再度お尋ねすると、

「はい、恥ずかしいのですが下着とか・・・じっくり後で調べたんですけど、何も無くなっていませんでした」

物取り目的では無さそうです。
このお客様の部屋は、7階建てアパートの7階、詰まり最上階です。
隣の建物から忍び込もうとすれば、窓から窓に飛び移らないといけないので、それはムササビでもない限り難しい。

「ああ、それともう一つ。なんだか分からないんですけど、バスルームの洗面のシンクの中に、私のGパンやTシャツ類が固められていました。
私が旅行に行く前に脱いで洗面所に置いていた服なんですが・・・
なんだか気味が悪くて・・・
場合に寄っては警察に通報しないといけなくなるかも・・・その時は助けて下さい」

ご心配な気持はよく分かります。
しかし・・・
服を盗らずに、洗面のシンクに固めていた?
何の為に?
皆目見当もつきませんが、とりあえず時間も時間なので、明日調べてご連絡しますと約束して電話を切りました。

ふてぶてしいヤツが食べても美味しいベトナムのスイカ

ふてぶてしいヤツが食べても美味しいベトナムのスイカ


スタッフと緊急ミーティングです

翌日、当然朝一から緊急ミーティングです。
昨晩のお客様からのクレーム内容をまとめてスタッフに伝えました。

「連休中でしょ。ハウスキーパーは休んでいるよ。ハウスキーパーさんじゃ無いよ!」

「Tough Negotiator」のTinhちゃんが、真っ先にまっとうな意見を述べます。
確かに、キーパーさん達は田舎に帰っていることは確認済みです。

そうすると浮かんでくるのは、

「守衛さんしか鍵を持っている人はいないけど・・・」

そう、「けど・・・」です。
守衛さんが鍵を開けて入ることのできる唯一の人物です。
しかし、普通に考えると守衛がやる行動ではありません。

「お客様の部屋の鍵はカードキー?」

私が聞くと、マダムHuyenさんが、

「いえ、普通の回す鍵ですよ」

最近建築された新築のサービスアパートになると、玄関扉の鍵が「カードキー」とか「指紋認証と暗証番号の組み合わせキー」に切り替えられているケースが増えています。
もちろんその理由は、

合い鍵を作りにくくする為

です。
従来の回して開ける鍵は、以前住んでいた方がもし合い鍵を作り、意図的にチェックアウト時に合い鍵を返さなかった場合、後で侵入することができてしまいます。

ずっと昔、この手で日本人赴任者のアパートに空き巣が忍び込み、貴重品やお金が盗まれる事件が起きた事があります。
それからコピーが利かないカードキーが普及するようになりました。

ただ、今回のお客様が住むアパートは、数の少ない小規模サービスアパートです。
1階の守衛さんがその「防波堤」になってくれています。
「監視カメラ」兼「警備員」、一人二役です。
住人といっても10人を切るくらいの人数ですから、知らない人が入ってくると直ぐに分かるんですね。

「Tinhちゃん、とりあえずすぐ守衛さんに聞いてみて。誰か出入りしていた人を見かけなかったか」

しっかり者のTinhちゃんに任しておけば大丈夫。
言うと同時に電話の受話器を取り、連絡をしてくれていました。

馬鹿とハサミと包丁は使いよう・・

馬鹿とハサミと包丁は使いよう・・


守衛さんに事情聴取したところ・・・

午前中のご案内が終わり、オフィスに戻ってくるとすぐ、Tinhちゃんが私の元に寄ってきました。
手元の紙に、守衛さんから聞き出した内容が小さな文字でびっしり書き込まれていました。

「田口さん、わかったよ〜」

Tinhちゃんが守衛さんから聞いた話、一部始終を再現してみるとこうなります。

Tinh 「守衛さん、4月30日から5月2日まで1階にいた?」
守衛 「ええ、おりましたけど」
Tinh 「誰か知らない人、上がっていかなかった?」
守衛 「いえー、見かけたことおまへんけどなー、まあ正直わしもちょっと休み気分になり、寝コケていた時もありましたけど・・・」
Tinh 「守衛さん、7階のお部屋に連休中入ったことある?」
守衛 「えーっと、ああ、あります」
Tinh 「何をしに?」
守衛 「いえ、7階だけじゃなく、皆さんの部屋に入らせてもらいました。
この前から皆さんの部屋に植木を2本ずつ、入れさせていただいたんですわー。キーパーさんが毎回お水をあげてくれてましてなー。
そやかて連休になると、キーパーさんおりまへんやろ。
折角入れた植木、枯らすのも勿体ないさかいに、わし休みの間、皆さんの植木の水やり、やらしてもろてたんですわー」
Tinh 「・・・はあ、そう。あなた7階のお客様の台所使った?」
守衛 「へぇ・・・、皆さんおんなじように、バケツに水を入れようとして台所の水使わせていただきましてん」
Tinh 「お客様のお皿触った?」
守衛 「へぇ・・・確かお皿がいっぱいあって邪魔やったんで、片方にお皿固めてから、シンクにバケツ突っ込んで水汲もうとしました。
けどねぇー、ここのアパートのキッチンシンク、狭いでっしゃろー。バケツ入りまへんねん。
しゃーないから、お風呂場に行って水汲みにいきましたわ、ああ、思い出しましたー」
Tinh 「あなた、お客様の服、触ったでしょ?」
守衛 「ええ、足元に置いてありましたから・・・
水汲んで運ぶときに濡らしたら申し訳ない思いましてな、洗面に固めたんですわー。
いえ!、洗面の蛇口は絶対使ってまへんで。お風呂場の水道からですわ。お客様の服を濡らしたりは・・・してまへんで!
・・・へぇ、何笑てますんや?」
Tinh 「いえいえ(笑)、じゃあ台所に知らない包丁があったみたいだけど、あなた?」
守衛 「ええ!ああ!そうですわ。あちこち探したんですけど。見つからんなぁー思てましてん。
あーすんません、7階に置いてましたか・・・
わし植木の葉切るのに丁度良いハサミ見つからんさかい、包丁使ってましてん。
んん?、そんなにおもろい話でっか?」
Tinh 「はぁー(笑)、じゃあ、あなた、なんでお客様の部屋の水飲むの?おまけにスイカも食べたんじゃないの?」
守衛 「ええっ!ああ・・・すんまへん。お客様から聞かれたんですか・・・面目ございません・・・
その日めちゃくちゃ暑うおましてな。1階から順番に頑張って水やりと葉っぱの整理やってたんですけど・・・
一番最後の7階で、脱水症状になりかけましてな、アカンと思いながらも冷たい水見たら、体が勝手に動いておりました。
水はわしのお金で弁償させてもらいますさかい、許してもらえまへんか・・・」
Tinh 「スイカは、どうなの?」
守衛 「へぇ・・・水飲んでる最中に1階に置いてあるの思いだしましてな。なんというか、わしの部屋、1階のじめじめした暗い部屋でっしゃろー。
最上階の気持の良い部屋で、スイカ食べたいなー思うと居ても立ってもおれんようになりましてな。
休み気分も手伝ってか、気が付いたら7階でスイカにかぶり付いてました・・・
わし、これからオーナーさんに𠮟られる思たら、寿命縮まる思いですわ。
何で泣いたはるんですか?わし、泣きそうやねんけど」
Tinh 「ひぃー(笑)、お客様の水飲んで、エアコンも使ったんじゃないの?」
守衛 「ええ?エアコン?いえいえ、それはありまへん。絶対使ってまへん。そんなことは一切、仏さんに誓っても・・・」

「箸が転んでもおかしい年頃」、でもないTinhちゃんですが、横でのけ反り、ヒーヒー笑い泣きしながら説明するTinhちゃんがおかしくて、こっちも爆笑してしまいました。
しかし、一生懸命仕事をしようと頑張った守衛さん。
結果は全て裏目に出ているけど、人間らしいじゃないですか。

しかし、律儀な守衛さんです。
このままでは申し訳ないと、自発的にか、オーナーにお尻叩かれたのか、わかりませんが、「謝罪文」を書いて送ってきました。
それが、冒頭の写真。
必死で「書き上げた感」が伝わってきます。

直ぐにお客様へ電話をし、謝罪文も送り、状況を説明させていただき、安心してもらいました。

「守衛さん、とても良い人なんです。毎日笑って声をかけてくれるんです。ですのでくれぐれもお咎め無しに。
でも、水は飲まないで下さいと、くれぐれもお伝え下さい」

まあ、エアコンも恐らく守衛さんでしょう。
オーナーからのお叱りが頭をよぎったのか、最後まですっとぼけていましたが・・・
お客様が許してくれたのでよかったね。

頑張りすぎずに「ほどほどの守衛さん」が、実は丁度良いのかもしれません。

以上、つい最近大笑いした出来事でした。

◆少しでも皆様のお役に立てれば嬉しいです。
↓ 1クリックよろしくです!
にほんブログ村 海外生活ブログ ハノイ情報へ
にほんブログ村


田口 庸生

田口 庸生 の紹介

初めまして、「ハノイリビング」営業担当の田口(たぐち)です。 日本より初めてベトナムのハノイに着任された日本の皆様、 愛するご家族を日本に残し、初めての「海外単身赴任」をこれから経験される皆様、 快適なハノイでの生活を満喫していただくために、皆様の「お住まい探し」から「入居後のサポート」まで一貫した「窓口対応」を請け負います。 「ベストマッチ」を合い言葉に・・・ どうぞお気軽にお問い合わせください。 お待ちしております。
カテゴリー: トラブル対策   タグ: , , ,   この投稿のパーマリンク

女性留守宅無断侵入者、その正体は?動機は?一体何? への2件のコメント

  1. Vu Tu より:

    はじめまして
    Vu Tuと申します。
    所有しているTimes City -Park Hill 10 にある2LDKのアパートを民泊とするつもりです。御社仲介して頂けないでしょうか。
    賃料は市場より低めに設定しております。(1290,000ドン/1泊の予定です)

    ご確認宜しくお願い致します。

    • 田口 庸生 田口 庸生 より:

      Vu Tu様
      ご連絡有り難うございます。
      ハノイリビングの田口です。

      月に約56ドルほどで短期賃貸をご希望ですね。
      私共は、長期契約をしていただけるオーナーさんを探しています。
      民泊でお客様にレッドインボイスを発行できますか?

      出来ないと厳しいと思います。

Vu Tu へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA