Vol.8 今、ベトナムの不動産は本当に買いなのか?

ベトナムで渋く発刊されているビジネス情報月刊誌「Access」

ベトナムで渋く発刊されているビジネス情報月刊誌「Access」



ベトナム発ビジネス情報雑誌「Access」への投稿記事をアーカイブさせていただきます。
順にバックナンバーをこちらのサイトでアップしていきます。
何を考え、どんな内容で書かせていただいているかは、こちらの稿で説明させていただいております。
ご参考ください。

なお、他のバックナンバーをご覧になりたい場合は、次のリンク先をご確認ください。

Access投稿記事バックナンバー一覧

▼▼▼
ハノイリビングの田口です。

外国人によるベトナムでの不動産投資について、いろんな意見が飛び交っています。
このAccess記事は昨年末ごろに書いたものですので、今日現在(2016年11月22日)の私の考えとは少し違っています。
少し修正を加えながら、書かせていただきます。

「パスポートがあればベトナムの不動産は購入できます」

こんなきらびやかなキャッチフレーズで日本国内でセミナーを開催している業者さんがおられるようです。
改正住宅法が2015年7月1日に実施され、外国人による「ベトナム不動産投資」の垣根が下がったのは事実です。

50年の長期所有権という制限(更に50年の更新も1回だけ有効)は付きますが、「ビザを持つ外国人」なら政府で許可されている投資物件への投資が認められるようになっています。

しかし、実は2009年から実験的に外国人でも購入できる施策をベトナム政府は打ち出していたことをご存知の方は、意外と少ないようです。

2009年から一部解禁となったベトナムへの不動産投資。
しかしその当時販売されていた新築マンションを実際購入した外国人は、6年間でたったの130人。
その内配偶者がベトナム人の外国人が100人。
圧倒的にベトナム国内をホームグラウンドにして生活をされている方が購入されている状態でした。

ベトナムに大した縁の無い外国人が、投資目的で巨額の不動産購入に走るには、あまりに怖く、制度の不透明さも手伝い、積極的には手を出せない状態だったようです。

では2016年の今はどうなのか。
買いなのか・・・です。

ちょっと厳しめな考えですが、お話させていただこうと思います。

まず、ベトナム国内で「不動産を持つ」ということは「ベトナムドン(通貨)」を持つことと同じです。
もちろん不動産を購入して保有している間は「通貨」ではありませんが、売却すればベトナムドンとなって戻ってくるからです。
ベトナムで資産を持っていることに変わりはありません。

そして現在ベトナムドンは着実に値が下がっています。

私がベトナムに赴任してきた2011年は、1USDは21,000VNDくらいでした。
今は22,500VNDくらいです。

1ドルのモノを買うのに、5年前は21,000VND出せば買えたのに、今は22,500VND出さないと買えなくなっている訳です。
ドルが強いということが言えるのですが、ベトナムドンが弱いとも言えます。
ずっと下げの傾向です。

世界の基軸通貨であるドルに対して「弱い」のは当たり前なんですが・・・
しかし、それ以外にも理由があります。
それは、ベトナム人の自国通貨に対する考え方です。

ベトナム人の銀行口座保有率は、世界平均の62%に対して31%。
マレーシアの81%、タイの78%と比べると、極端な「タンス預金」が根付いていると言えます。

ハノイやホーチミンといった都心部に住むベトナム人は給料振込を受けるため、自分の口座を当たり前に持っているとしても、一歩外に出たら圧倒的な農村が広がるベトナムです。
銀行のATMすら数多くない地域に住む人々は、自然タンス預金になってしまいます。

それ以外の理由としては次の2点が上げられます。

  • 過去に高インフレが続いてきたために、自国通貨であるベトナムドンに対する信認が低く、金や外貨で資産を保有する人が多いため
  • 家族、身内同士の金銭貸借が依然根強く、銀行を経由しない取り引きが多いため

要するにベトナムの人々、特に富裕層は「自国通貨も自国の銀行も信用していない」んです。
国民から頼りにされない自国通貨が強い訳がありません。

そう考えるベトナム人が、下げ傾向のベトナムドンを不動産に変えて所有しようとするのは至極妥当な流れですが・・・
私が一番関心があるのは、

「彼らベトナム人は、今から買うベトナムのマンションが上がると真剣に考えて買っているのか?」

ということです。
ここをどう読むかです。

ベトナムの不動産が上がるか下がるか、これは物件単位で考えないといけませんので、何とも言えないのが本音です。
しかし、ベトナム人富裕層が日本円で3,000万円も4,000万円もする高級コンドミニアムをキャッシュで次々に買っている理由が、果たして投資一辺倒なのか・・・

私はちょっと違うような気がします。

ここで、私が知るある富裕層のベトナム人オーナーに聞いた話をご紹介します。

そのオーナーさんは既に自分のサービスアパートを数棟持ち、マンションを次々と買ってきた、典型的なお金持ちベトナム人です。
そのオーナーが2005年にGolden Westlake(115㎡の2ベッドルーム)を購入しました。
そしてつい最近、売却します。

「値段、どうでした?良い値段で売れたんですか?」

と聞きにくかったのですが、尋ねると、

「ええ、今が売り時よ。買った値段の1.7倍で売れたわよ」

あの、くたびれ方が激しいGolden Westlakeが1.7倍で売れたそうです。
すかさず、

「今買うとどうでしょう、数年後値段はまだ上がると思いますか?」

すると、暫く首をひねって考えた後、

「今から買っても・・・面白くないわね」

このオーナーは、不動産投資が趣味のような人です。
他にフーコックの投資案件を買ったり、タイ湖南岸に建築中のSUN GROUPの新築コンドミニアムを買ったりと、忙しいオーナーです。

「良いと思う物件は、どんな手段を使っても抑える」

そんな買い方ですが、逆に価値の無いものにはビタ一文出費しない。
自分のフィーリング通りに動く、徹底した投資家です。

そのオーナーが、どうして今から買っても値段は上がらないと考えているのか、お聞きしても一言で出てこないのですが・・・
何年もの間不動産投資をしてきたお金持ちが、肌で感じる実感なのでしょう。

レイクビューはそう簡単に手に入れることはできない特殊な環境です

レイクビューはそう簡単に手に入れることはできない特殊な環境です



本気で投資を考えるなら、先ほども言いましたが、金や外貨に替えるはずです。
不動産を買っても、売れば手元には弱い自国通貨が残るだけです。

私なりの答えは、本編の最後でご説明致します。

ベトナムの場合、新築不動産販売は「青田売り」です。
つまり、未だ更地の状態から販売をかけていきます。
これはベトナムの場合に限らず、日本の新築分譲も同じですね。
しかし日本と決定的に違うのは、

完成が2年後にもかかわらず、青田売りがスタートしたばかりの早い時点で全額を支払う場合、もっと安い価格で購入することができる

売買代金がお金の支払い方で変わる・・・と言うことです。

普通、ベトナムでのマンション購入は、

  1. まず部屋を決めて、手付金(約50万円くらい)を入れて抑える
  2. 次に中間金を数回に分けて支払う
  3. 建物竣工と同時に購入価格の95%を支払う
  4. 最後にレッドノートを受け取って100%を支払う

この流れです。
日本と同じですね。
しかし、この購入方法とは別に、更にオプションとして、

「初回一括払いして割引を受ける」

という買い方もできるということなんです。
そりゃ、更地の状態から売り出して、すぐ全額キャッシュで一括払いしてくれるお客様は、事業主側からすると有り難い限りです。
だとしても、売買代金を割り引くというのは・・・

「最初からそれを見越して乗っけているだけじゃないの」

ちょっとひねくれた考えにもなってしまいますね。

「ベトナム人は皆キャッシュで数千万円もするマンションを買うの?」

と言う声も聞こえてきそうです。
参考までにお話しますと、答えはYESです。

住宅ローンを組み込んで買う方はほとんど少なく、皆さんなるべくキャッシュで買われます。
住宅ローンの金利が高いという理由もあります。

ただ、こういう時にベトナム人同士の「つながりネットワーク」のパワーが発揮されます。
親戚縁者からかき集めるだけかき集めて現金払いをするんです。
特にハノイに長く住んでいる人達の「村つながり」は強力です。
そして、若干足りない場合に限り住宅ローンを借りるようです。

話を「一括払いの割引」に戻します。

どれくらいの割引を受けることができるのか

ここが気になりますね。
説明致します。

全ての分譲物件で同じ割合ではありませんが、今一番販売実績を伸ばしているベトナム不動産企業のリーディングカンパニー「VinGroup」の例をご紹介します。

物件説明を受け、買いたい部屋が決まります。
まずその部屋を抑えるために、手付金の5,000ドルを支払います。
そして、手付金を支払ってから15日以内に、

  • 売買代金(税抜き)の70%を一括支払いすれば、8%の割引
  • 売買代金(税抜き)の95%を一括支払いすれば、12%の割引

を受けることが出来ます。

100%の一括支払いは禁止されています。
どんなに支払いたくても95%までです。
5%分を残す理由は、

レッドノートを受け取ってから最終決済をすること

と定められているからです。
全額事業主に払ってしまうと、レッドノートをお客様に代わり手続きする業務を怠る業者が出てくることを考慮にいれた措置です。

権利書と同じ意味合いを持つレッドノート。
外国人の我々にもきちんと提供される見込みが、この措置を聞くと見えてきましたね。

3,000万円くらいのマンションを買っても、一括払いをしたとしても、240万円とか360万円くらいの割引です。

「青田で買って、完成と同時に売れば差額で儲かる」

などと言う人がいますが、売ったり買ったりする際の諸経費を考えると、あり得ない考えですね。

しかし、初回一括支払いを選ぶベトナム人は結構いるんですね。
もちろん、外国人の我々も同じ選択権があります。

おまけに、初回一括払いをしてくれたお客様には、

  • 基本的な家具や電化製品も無料で付けてあげます
  • 内装工事費も分譲会社側で負担をしてあげますよ
  • 向こう10年間、管理費用は免除してあげますよ

と、至れり尽くせりのサービスを受けることができます。

影も形も無い時に、全額支払うと更に安い・・・
日本ならともかく、何が起きるか分からないここベトナムで、数千万円ものお金をベトナムの不動産会社へキャッシュで支払うには、余程信頼できる不動産会社でないと無理ですね。
相手が三井不動産さんならともかく、ベトナムの不動産会社ですから、「イチかバチか」な感があります。

日本で買える不動産投資信託(REIT)ならば、ある程度しっかりとした信託会社の金融商品に投資をして、家賃収入などの利益分配を受けることができます。
しかしベトナムの「青田買い」は、事業主と心中をするつもりで振り込むようなイメージです。
もし、初回一括払いで得た資金を建築資金の一部に充当するような自転車操業をやっている物件なら、「青田買い」が進まないと計画が狂い、建物が建たないという最悪な事態もあり得ます。

街中に無様に建つ建築途中の「骨組みビルディング」のなかには、分譲資金を建築資金に組み込みながら進めた結果、立ち行かなくなったものが数多くあると聞きます。

まあ、しかしこういうやり方でも余裕でお金が集まる人気物件も数々あります。
そういう分譲物件を選らんで投資をしないといけません。

次に、もっと楽にお金を増やせる方法のお話です。
積極的に不動産投資をして、リスクを負いながら利益を目指すやり方もあれば、堅実に定期預金の金利で増やすやり方もあります。

ちなみに今ベトナムでお金を定期預金に入れると、大体金利は7%から8%くらいです。
ベトナム政府も莫大な国民のタンス預金を、何とかして銀行に預けさせようと躍起です。
8%は日本では考えられない高金利ですね。

では、不動産投資をすればどれだけの利回りが狙えるのか、です。
簡単な試算をしてみましょう。

購入不動産が100㎡くらいの新築コンドミニアムがあり、現在販売されている価格を参考に、その分譲価格が2,500万円だと仮定します。
これをベトナム人の方々は、ほぼキャッシュで買います。
もう少し正確に計算すると、諸経費が10%掛かるので、合計投資額は2,750万円。
これは今、ベトナムハノイで売られている分譲価格とすれば、ごくスタンダードな値段だと言えます。
その物件を家族帯同の外国人へ家賃18万円で貸したとします。

18万円 × 12ヶ月 ÷ 2,750万円 = 0.078

年の利回りは約8%、定期預金と同じくらいです。

ただ、アパートとして貸す場合は定期的にリノベートをしてメンテナンスをしないといけません。
準備した家電製品の故障も対応しないとダメですね。

家賃は今は下げの傾向ですから、周りの相場に合わせて安くしてあげないとお客様がつかない可能性も出て来ます。
お客様を付けてくれた不動産業者に仲介手数料も払わないといけません。

「定期にしているほうが楽に金利を稼げるのでは?」

そう思えてきます。

しかし実際、2015年の新築マンション成約戸数は前年比より倍増しています。
売れているんですね。
ただ、外国人がどれだけ買っているかは定かではありません。
が、着実にその数は増えてきています。

ハノイのNguyen Chi Thanh通り沿いに建つ、VinGroupが手掛けた「Vinhomes Nguyen Chi Thanh」
これは2015年竣工Openしていますが、既に全室完売しています。

日本大使館の真横に、これもVinGroupが手掛ける「Vinhomes Metropole」が、今建築中です。

日本大使館横のVinGroupの高級コンドミニアム

日本大使館横のVinGroupの高級コンドミニアム



この青田売りの成績は、2016年11月22日時点で約65%売れています。
凄まじいベトナム人の購買力です。

「どこにそんなお金があるのか??」

ここで、冒頭に私が感じた素朴な疑問、

「彼らベトナム人は、今から買うベトナムのマンションが上がると真剣に考えて買っているのか?」

についての回答です。
これは統計データーを分析して出した答えではなく(統計データーなど信用できませんので)、私が不動産事業に携わるいろんな方々から聞いたことを総合して思うことです。

近くに駅舎ができるからとか、まだまだ外国投資が進むからとか、様々な理由で「不動産は上がる」と踏んでいる方々も勿論います。
また、投資ではなく、「自分の子供たちのために、良い物件なら買っておいてあげよう」という考えで、単純にタンス預金からキャッシュで購入する親たちもたくさんいます。

更に言いますと・・・

銀行には通せない、足が付いては困る資金を山ほど持っている人達がいます。
それを誰の名義で購入するかは別として、健全な不動産物件に形を変える。
そういう操作を必要とする方々がたくさんいるような気もします。

不動産は上がる!
そう信じて買っている人は意外と少ない、というのが私の見立てです。

後は折角購入したんですから、なるべく高い家賃で借りてくれる外国人に賃貸することで、利回りを狙いたいところです。
買った後のことも考えないといけません。

まずバブル期の日本のような値上がりをベトナムの物件に期待することはできません。
ベトナム人もそんな美味しい果実を狙って買ってはいないということは、既にご説明しました。
外国人が投資を考える場合、投機的な考えで買うよりも、

「ベトナムへ投資する為のお金をベトナムにプールしておく」

こんな考えでひとまず不動産を買ってみるイメージかと思います。
私が聞きたいのは、

「あなたは不動産を足がかりに、ここベトナムでどんな事業を展開していくおつもりですか」

ということです。
明確な目的をお持ちでしょうか。

銀行の定期預金の利回りくらいを目指すなら、わざわざベトナムに来る意味は無いかと思います。
もっと上を目指すことはできます。
そして不動産投資よりも、もっと効率の良いビジネスはあります。
東南アジアだからこそ狙えるビジネスです。
その話は、また次回に。

私が心配するのは、何度も言いますが、

「レッドノートが外国人に支給されるのか」

どうかです。

レッドノートというのは、ベトナム政府がその所有権(長期使用権)を公的に認めた権利書のようなものです。
当たり前ですが、将来購入不動産を売る際にレッドノートの有る無しでその売却額が大きく変わってきます。
第三者に自分の所有権(長期使用権)を公的に証明できる書類です。
日本より役所不安定なベトナムですから、絶対必要な書類かと思います。

購入した日本人が増えてくれば、この先「レッドノートもらったよ」という話は、確かに増えてくると思います。

ベトナム人を配偶者に持つ方であれば、一番固いのは「ベトナム人配偶者名義で購入すること」ですが、「さようなら」で物件の権利書共々手元から離れてしまう憂き目に遭わないとも限りません。
ベトナム人のお金持ちでも、配偶者名義など入れないくらいですから。

「レッドノートは出ませんがベトナムでNo2のゼネコンが建てたコンドミニアムですから大丈夫」

こんなトークで仲介している業者さんもいるようです。
何が大丈夫なのでしょうか。

我々は、あくまでも物件購入の後、皆様にレッドノートをお渡しさせていただく仲介をしていきます。
それは、兎にも角にも「狙う分譲物件次第」です。

お任せ下さい。

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田口 庸生

田口 庸生 の紹介

初めまして、「ハノイリビング」営業担当の田口(たぐち)です。 日本より初めてベトナムのハノイに着任された日本の皆様、 愛するご家族を日本に残し、初めての「海外単身赴任」をこれから経験される皆様、 快適なハノイでの生活を満喫していただくために、皆様の「お住まい探し」から「入居後のサポート」まで一貫した「窓口対応」を請け負います。 「ベストマッチ」を合い言葉に・・・ どうぞお気軽にお問い合わせください。 お待ちしております。
カテゴリー: Access記事, 不動産購入   タグ: , ,   この投稿のパーマリンク

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