ベトナム人の「お墓事情」について

ベトナムの葬式文化は仏教よりも儒教の影響が強いみたいですね

ベトナムの葬式文化は仏教よりも儒教の影響が強いみたいですね



ハノイリビングの田口です。

あっという間に一週間が経ちました。
今日もまた週末の日曜日。
肩の力を抜いて、この一週間で一番感心したことを、ご紹介いたします。

なお、お届けする写真の選択基準は、ベトナムローカルなお話しなので「ベトナムあるある」な写真を選んでみました。
内容とはあまり合っていませんが、気にせずお読みください。

昨日の土曜日。
Fraser Suitesでお客様のチェックイン手続きをマダムHuyenさんと済ませ、タクシーで会社へ戻る途中、長蛇の「お葬式行列」に出くわしました。

場所はAu Co通り。
大通りでたくさんの車が走っていましたが、それを物ともせず、大勢の村人達がドラを叩きながらゆったりと道を横切っています。
先頭集団の方々は、故人の親族でしょうか。
粗末な服に、頭には白い布を巻いています。
もう何度も見てきた、ベトナムのお葬式装束ですね。

凄い人数です。
50人は下らないでしょうか。
お陰で大渋滞です。
しかし、ドライバー達は慌てるでもなく、皆涼しい顔で横切るのを待っています。
まるで大草原で出くわしたバッファローの群れか、インドの路上を悠然と横切る牛の集団でも眺めるように。

「Huyenさん、彼らはこれからどこに行くの?」

Au Co通りを横切る先にあるのは、ソンホン川(紅河)です。
川べりのどこかへ、どうも向かっているようです。

「死んだ人、土に埋めにいくですね」

ああ、まだ土葬なのか・・・
ベトナムの場合、一度死者を土に埋め、2年か3年後に掘り起こし、骨だけを取り上げ、壺に入れて正式なお墓に埋葬する習慣があることは、何度か聞いたことがあります。

肉は「汚れたもの」として見られており、一度お墓とは違った場所で埋葬することで肉を削ぎ落とし、綺麗に骨だけにしてからお墓に入れる。
故人にしてみれば、昇天してからも慌ただしく落ち着かない・・・
何だか二度手間で面倒な習慣に思えてなりません。

うだる暑さの最中、両手を使って作業をしなければならない為に生まれてきたのがノンラーですね

うだる暑さの最中、両手を使って作業をしなければならない為に生まれてきたのがノンラーですね



不思議そうな表情で葬式集団を見送っている私の横顔を見ながら、マダムHuyenさんは少し補足を入れてくれました。

「今は死んだ人、土に埋めるのは禁止になりました。6年前からダメです。
でも、一部の土地のある地域(村)だけ、認められています。」

そりゃそうでしょうね。
死んだ人をそこかしこに一時埋葬されれば、それこそ「ゴーストタウン」になっちゃいます。
衛生的な事も考えて、禁止としたのでしょう。
ただ、ハノイ市内でも数カ所、土葬が認められる村がまだ残っているようで、今通過したAu Co通り付近もその一つのようです。

「じゃあ、今ではみんな火葬をするんだね、火で燃やして骨を取るんだね。」

当然という顔でうなづくHuyenさん。
そして、

「お葬式も、今は家ではやりません。バイクとか、置くところ無いですね。
お葬式ができる町の場所を借りてやります。」

冠婚葬祭のベルコさんのような会館、とまではいかないでしょうが、小さな町の公民館のような寄り合い場があるようで、そこで執り行うようです。

色々とネットで調べてみても、自宅以外でお葬式を挙げる事が出来る人は、一部の富裕層のみだと書き込みがありますが、Huyenさんの話を聞くと、今はそうでも無いようです。
そう言えば最近ハノイの街中で、結婚式場らしきおしゃれな会館をチラホラと見かけるようになりました。

今やベトナムも、一般市民向けの生活施設が急激に充実してきているようですね。

以前、ハノイに赴任されていた私どものお客様が、体調不良で急死されたことがありました。
その葬儀に立ち会わせていただきましたが、その斎場がまたとても立派で、日本のそれと遜色ない施設だったのを思い出します。

何より健康が一番。バナナを食べて熱中症にはご注意を

何より健康が一番。バナナを食べて熱中症にはご注意を



仕事終わりのゆったりとした週末気分に浸り、車窓を眺めていると、何気なく「Huyenさん家のお墓」について聞いてみたくなりました。
それとなく、話を振ってみると、

「私たちはハノイにお墓の為の土地なんて持っていませんので、遠い場所にある安いお墓を買います」

どうも霊園のような物件が郊外で提供されているようです。
しかも分譲主は公の機関、詰まり政府が市民の為にお墓を安く販売しているんです。

その「公共霊園」まで距離を聞くと、車で2時間。
走った先に村があり、その村人が管理を国から委託されたお墓を買ったというんです。

ハノイの街中を歩くと、夥しい数のお寺があります。
ベトナムのお年寄りは一様に信心深く、頻繁に「先祖供養」でお寺を巡る方々がいると聞きます。

「近くのお寺に骨を預けたりは出来ないの」

聞くと、自力で小さなお寺を持てる村のお金持ち以外は、とても出来ないそうです。

ベトナム人のお墓に対する考えは、日本人とは少し違っています。
日本人は「家」としてのお墓を持ち、墓石に家族名を刻み、そこに家族のお骨を埋葬するのが一般的です。
しかし、ベトナム人は、

お墓は個人で1つ

という考え方です。
詰まり、夫婦のお墓が隣同士で並んでいる訳ですね。
まあ、生前仲が良かったらの話ですが。

「個人一人一人のお骨を納めるようなスペースなど、物理的にありません」

というのが、お寺側の言い分なのかもしれません。
まあしかしここはベトナム。
檀家として太い寄付をするかわり、永代供養を約束させるようなことは、非公式に行われているかもしれません。
(これは、私の独断です。)

そうなると、Huyenさん達のような「ハノイ市内でお墓用の土地を持てない都市生活者」は、郊外にお墓を求めることになります。
いえいえ、お墓用の土地など持てないベトナム人の方が圧倒的に多いので、大半の方々は「郊外墓地」となるんです。

「おい、ハノイの冬は寒いんだよ。布団がないと、お墓で寝なきゃいけなくなるだろー」

「おい、ハノイの冬は寒いんだよ。布団がないと、お墓で寝なきゃいけなくなるだろー」



日本には菩提寺というものがあり、代々その寺の宗旨に帰依して、先祖のお骨を納めるお寺があります。
私の家にも勿論あり、田口家先祖代々のお骨は京都にあるお寺に「納骨」させていただいております。
毎年1回お盆の時期に、母親を連れて「お墓参り」ならぬ「お寺参り」に京都へ行くのが長年続いている行事となっています。

「Huyenさんは、そのお墓に毎月通っているの?」

一体何でこいつはお墓の話に、ここまで食いついてくるんだ??
お墓に関する畳みかける問いかけに、一瞬不思議そうな顔をした後、意図を察したのか、噴き出しながら、

「ブログに書くですか?お墓の話を??」

はい、この時点でもう半分ストーリーは出来上がっております(笑)。
こういうお墓の話は、万事きちっと日々の生活をこなすマダムHuyenさんから教えてもらうのが一番わかりやすいし、間違いがありません。

「年に2回ですね。
テト休みの始まる1ヶ月前と、テトが終わって1ヶ月後と、行きますよ」

テト休み(旧正月)がいつも大体2月頭前後ですので、「テト休み期間を除く12月末から3月の間」にベトナム人の「お墓参り」が集中することになります。

日本の場合は夏の暑い時期、つまり「お盆休み」が帰省とお墓参りのタイミングですね。
お墓の草むしりや清掃なども大事な作業の一つです。

・・・ふと、ベトナムのむせ返る暑い夏、田舎に持つHuyenさん達のお墓が、雨ざらし日ざらしで、苔むし雑草茂る「廃屋寺の境内」のようになっている様子が浮かんできました。
高温多湿の亜熱帯気候ハノイで育つ雑草、放っておくととんでもないことになるくらい、容易に想像がつきます・・・

「一応、村の人に掃除お願いするんです。1年分の掃除代、1回で払ったんですけど」

憮然とした表情で、私の考えを先読みして答えてくれました。
清掃サービス業者など恐らく無い村だから、管理人の「村人」にお願いすることになるのでしょうが・・・
でも、大丈夫か?
ハノイのサービスアパートで働くワーカーでも、相当すっとぼけているのが多いのに。

「はい、そうなんです、お墓のハウスキーパーさん、なーんにもやらない!」

Huyenさんの顔がにわかに険しくなってきました。
彼女にとって、掃除をする人は誰でも「ハウスキーパーさん」という日本語になります。
受けた迷惑をまた急に思い出したのか、更に言葉を継いで、

「おじいさんの写真ね、ガラスのところ、取られて無い。写真、雨でボロボロになった・・・」
「お花受ける花びんもね、取られて無い」

何だい、泥棒にお金払ってメンテナンスしてもらってるの?
思わずズッコケそうになりました。
聞くと、まるっきり清掃などされず、お墓は荒れ放題・・・だと言うんです。

大都市に住む都市生活者には、益々便利になるベトナム。
しかし、一歩郊外へ出ればそこは・・・

Huyenさん達のような都市生活者でも、想像がつかないほど現金収入が乏しい田舎生活者の極貧経済。
衣食すら足りないのに、礼節など理解出来る訳がない。
サービスに心を砕く余裕など、生まれるはずがありません。
それほど都市部と田舎の貧富の差は広がっているという事でしょう。

「おーい、Grabで送ったら、5つ星くれるのがエチケットというもんだろがー」

「おーい、Grabで送ったら、5つ星くれるのがエチケットというもんだろがー」



「それで、これからお墓どうするの?」

乗っている車が最後はハンドルだけになる、Mr.ビーンの映画を見ているような話に、不謹慎ながら笑いを噛み殺しながら聞くと、

「お願いしていたハウスキーパーさん、断った。で、違うハウスキーパーさんにちゃんと会ってお金払って頼みました。でもね・・・」

でも・・・何??
その先が聞きたい・・・

「断ったハウスキーパーさんが、怒って変な事されたら嫌だから・・・同じ村の人でしょ。
だから断ったハウスキーパーさんにもまたお金払った」

二人の田舎の村人に、それぞれ1年分の「お墓メンテナンス費」を渡し、自分のお墓を守ろうとするHuyenさんの英断。
内一人は、全く使い物にならない泥棒さんです。

ぐいぐいお金で抑え込むマダムHuyenさん。
更にズッコケてしまいましたが、その直後、よーく考えると・・・
私の顔から笑いは消え、もう一度Huyenさんの顔を覗き込んでいました。

それ程までして「お墓を守りたい」と真面目に考えているんです。
今のHuyenさんの歳で。

「いくら払ったの?」

喉元まで出てきた下世話な質問を飲み込み、Huyenさんの先祖を思う孝心の強さに心を打たれながら、

「ハノイリビングのお給料が、Huyenさんのお墓を守るお手伝いをしている」

勝手に考え、勝手に感動している私。
スタッフのお給料の使い道など、今まで触れたこともありませんでしたが、聞いて思わずニヤニヤしている、俗心溢れる上司でございます。

しかし、なんかこの週末にほんのちょっと、爽やかな気分に浸ることが出来ました。
三十台??のマダムHuyenさんが、家族のお墓のことを真剣に考えているなんて、思いも寄りませんでした。

「今は若い時からね、お墓を買って良い場所を抑えるんです。
それは、みんなで近くのお墓で一緒になる為ね。
お母さんとお姉さんのお墓がBブロックで、私だけDブロックだったら、寂しいよ〜」

目的の「墓石位置」をキープするには、早いうちからまとまったブロックをキープしておかないと難しいようです。
しかし、「墓地購入は70歳を越えないとできない」というルールがあります。

ここで、墓地を仲介する不動産業者が活躍できる場があります。
仲介業者さんに手数料払って、生前から良い場所のお墓を抑えてもらうんだそうです。

「Huyenさん、俺たちもお墓の仲介、やろうか?」

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田口 庸生

田口 庸生 の紹介

初めまして、「ハノイリビング」営業担当の田口(たぐち)です。 日本より初めてベトナムのハノイに着任された日本の皆様、 愛するご家族を日本に残し、初めての「海外単身赴任」をこれから経験される皆様、 快適なハノイでの生活を満喫していただくために、皆様の「お住まい探し」から「入居後のサポート」まで一貫した「窓口対応」を請け負います。 「ベストマッチ」を合い言葉に・・・ どうぞお気軽にお問い合わせください。 お待ちしております。
カテゴリー: ベトナム時事   タグ: ,   この投稿のパーマリンク

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