ご案内中楽しませていただいた「傑作な老夫婦」のお話

うっすら甘くてさっぱり味の天然椰子の実ジュース「どの道端でも売っています」

うっすら甘くてさっぱり味の天然椰子の実ジュース「どの道端でも売っています」



ハノイリビングの田口です。
さて、日曜日ですね。
軽く読み流していただけるお話を一つ。

この稿で使っている写真は、今日私が食したものです。
お客様の奥様が連発する辛口トークのお口直しに、柔らかい味の食べ物を添えてみました。

私達の仕事は日々日本のお客様にアパートやオフィスを中心に物件紹介をさせていただくのがメイン業務です。
メール問い合わせから電話、そしてお客様とのヒアリングから最適だと思う物件をご案内する仕事が毎日続きます。

一番楽しいのはご案内です。
多い時は10件くらいのアパートやオフィスを順に回って内覧していただくのですが、その途中ずっとお客様と会話をします。

いろんな企業の赴任者様と、ベトナムについて、またハノイについて、私が知りうる限りの情報をお伝えし、ハノイ生活の「輪郭」を掴んでいただけるように致します。
また、お客様からも業界の裏情報やご家族のお話、またお客様の生い立ちなど、普通ではなかなか覗えないような貴重なお話しで盛り上がったりします。

役得ですね。

また「ハノイに5年以上在住」みたいな方からもお問い合わせをいただきます。
そんな方のご案内になると、どっちがお客様か分からないくらい、気がつけば私からいろんなご質問を投げかけてしまいます。
私にもまだまだ分からないことがたくさんありますので、思わず聞いてしまうんです。
本当に稀少な経験をさせていただいております。

今日は中国を含め東南アジアに10年くらいお住まいになっている老夫婦のお話です。
先日ご案内させていただきました。

お歳はおいくつでしょう。
お二人とも60歳は超えておられるかとお見受けしました。
とても元気で明るいご夫婦なんです。

ハノイだけで5年はお過ごしになっています。
今お住まいのアパートで2件目。少しご不満があるようで、今回ご主人様の職場の近くでお部屋探しのご依頼をいただきました。
ご主人は平日お忙しいので、先に奥様だけをタクシーでご案内となりました。

待ち合わせ場所に現れたその奥様。
背筋がピンと伸び、矍鑠(かくしゃく)とした佇まいです。
髪の毛は綺麗に白髪に染めておられ、思慮深い表情から飛び出してくる言葉は、チャキチャキの江戸っ子弁です。

「私は主人の飯炊き係で付いてきているからね、あんまり偉そうなこと言えないのよ」

と前置きをされてから、奥様はいろんなお話しをしてくださりました。

「私達が今のアパートに引っ越してきたのは2年前なんだけど、最初はまぁーひどいのなんのって、住めたもんじゃ無かったわ」

お聞きすると、アパートが完全に仕上がっていないんですね。
お客様がお住まいのアパートはベトナム人富裕層向けに建てられたコンドミニアムです。
ところが余り契約率が上がらず、半分以上空き家の状態です。
日本だと新築分譲マンションは、一気に内装工事も行い、引渡時には全ての部屋の内装は完成していますね。
どうも、そのお客様が住むコンドミニアムは、

「ベトナム人オーナーが購入してから、順次部屋の内装を仕上げていく」

こんな進め方をしているので、完成住戸に住んでいても常にどこかの部屋から「工事音」が聞こえてくるというんです。
ひどい時はテレビの音も聞こえないくらいの音量だとか。
うるさくて仕方がありませんね。

今までの私の経験では、「うるさい音」と共存できたお客様など一人もおられません。
結局は契約途中でも必ず解約され他のアパートに引っ越しします。
これが普通です。
また、そんな環境を我慢して住み続ける必要もありません。
ハノイの賃貸借契約書には、オーナーの責任として

「賃借人が安心して生活できる環境を提供すること」

と必ず記載されていますから、どう考えてもそのコンドミニアムは契約違反です。
ただ、「うるさい」と感じる度合いはお客様それぞれですから、音のトラブルが発生した場合、我々のような仲介業者が間に入り両者落ち着くポイントを見極めて対処しなければなりません。

当初はその奥様も、アパートの管理事務所になんども怒鳴り込んでいったそうです。
その結果、

「しかし最近ね、私の孫くらいのかわいいスタッフの女の子達がね、気を利かして親切にしてくれるのよ。
『今日は何時から工事初めても良いですか』って、いちいち聞いてくるようになったのね」

若いお客様だったら、おそらく途中解約されるところです。
しかし、年月を重ねた熟練の域に達しているたたき上げの日本人はちょっと違います。

「日本も昔はね、こんなんだったのよ。今だからこそ日本人は偉そうにしてるけど。
隣近所の騒音なんていちいち目くじら立てていたら、生きていけない時代だったのよ、私達の若い時は」

終戦直後にお生まれになられた方です。
音どころか、明日の食い物をどうすべきか、闇市を走り回る時代を駆け抜けた方です。
一番日本が辛い時に幼少時代を過ごされている訳ですね。
そんな時代のどさくさの慌ただしさと比べれば、今のハノイの新築アパートの騒音など「鼻くそ」のように映るのかもしれません。

「一つ一つね、教えて上げるのよ。若いベトナム人の方にね。
そしたらあなた、ちゃんと学習するのよ。
この前もね、外のプールサイドでドンチャン騒ぎするのよ、月に何度か週末にね。私言ってあげたの。
『あのね、あんた達日本人にもっと住んでもらいたいっていうけど、日本人は休日にドンチャン騒ぎされるの大嫌いなのよ』
そうすると、ちゃんと次から屋内でやるようになったのよ」

元々ベトナムの方々はお年寄りに対して、中国の影響からかとても大切に考えます。
今回は白髪の高齢の日本人女性から出るクレームです。
おそらくそのコンドミニアムのスタッフ達も、儒教の精神で必死に対応しているんだと思います。

「もうかれこれ1年ちょっとここで生活してるけど、大分良くなったわよ、スタッフ達。
次良い部屋が見つからなければ、ここでもう少しやかましい日本人客やっておこうかしら」

凄い余裕です。
もうご案内するアパートがどうかなど、どうでも良くなってきます。
何気ない会話に出てくる、自然な毒舌が小気味よく、楽しくて仕方がありませんでした。

Kim Maの「VOLCANO」のトマトソーススパゲティと特製野菜サラダ

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私がその奥様をご案内した新しいコンドミニアムに日本食レストランが入っています。
ここに何度もご夫婦でお食事をされるそうなんですが、つい先日にあったお話しです。

「ここの寿司飯まずいのよ。
まあ、年寄りのお節介だと思ったんだけどね、どうしても教えてあげたくなっちゃたのよ。
で日本人の店長に来てもらってね、私がお酢を入れるタイミングと酢を飛ばす手順を教えて上げたら、次行くと美味しく炊けていたのよ。
やれば出来るんじゃない。
いつまで続くか分からないけど・・・」

何せ人生経験が我々の比じゃありません。
私達なら、

「しょーがねぇーか、ベトナムだものね」

となるところを、上から教えてもらって叩き込まれてきた年代の方なので、

「言うこと聞くかどうかは別にして、こんな不完全なものを『日本料理でございます』なんて出してもらったら、日本で忠実に日本の味作ってる料理人さんに申し訳ないでしょ。
一回はきちっと教えてあげないとね」

になっちゃうんですね。
それに、その結果の「変化」を楽しんでいるような感じもします。

こんなことを30、40代の夫婦がやると、なんだか鼻についてしまうのですが、60歳過ぎた老夫婦が丁寧に説明すると「有り難いことだ」と聞いている方も受け止められるかと思います。

しかしここはベトナムです。
分からないのに「分かりました」といって何もしなかったり、在庫があるのに面倒くさがって「在庫がありません」と言ったり・・・
要はウソをついて楽しょうとするベトナム人に対しては、烈火として怒られます。
しかし、下手なりに何とかしようと努力する姿勢が見えている内は、このお客様の逆鱗に触れることは無いようです。

なんというか、筋の通った方って分かり易いですね。
喜怒哀楽の境界線が周りにいる人から理解され易い人って、感情のブレの少ない方だということです。
ですのでご一緒していて周りを楽しい気持にさせてくれるんです。

最後に今度はご主人も交えてご夫婦揃って2回目のご案内をしたときのこと。
私がご主人に、

「ハノイ勤務はまだ暫く続きそうですか」

と聞くとご主人は、

「なんの因果か、こんな年寄りを使おうとしてくれる奇特な会社がある内は、お役に立たにゃなりませんわ」

律儀な性格が滲み出るようなコメントです。
その横から奥様が、

「私は飯炊き係で来てますからね、黙って主人について行かないといけないのよ」

にやっと笑い、口を尖らせながら前回と同じセリフを繰り返されました。
そして、

「前も言ったけどね田口さん、2ベッドルームで探してね。別々のベッドで寝ないとお互い落ち着いて眠れないから」

また突拍子もないことをずけずけと言われます。
理由を聞くと、

「夫婦40年くらい一緒に暮らしているとね、布団に入る時間帯やら音や明かりに対する反応の仕方まで、まるっきり違ってくるのよ。
私も主人もね末っ子だから、がちゃがちゃとうるさい中で寝る術を自然に身についちゃっているのよ、最低私は。
でも、主人は『俺は良いとこのぼんぼんだったから音には敏感なんだ』って言うからね。
どの辺がぼんぼんだかよくわかりませんけど」

奥様の相変わらずの毒舌も右から左のご主人。
かた頬だけでにやっと笑い、黙ってやり過ごされています。
続けて奥様が、

「まあもうこの年になるとね、毎朝生きてるか死んでるか、お互い確認しなきゃいけないからね。
仕方がありませんが、同じアパートに住まわせてもらいますから」

さすがに聞いたご主人も大笑いです。
言った奥様も最後吹き出されていました。

楽しいご夫婦です。
私と親子ほどの歳の差です。
偉そうにアパートのご紹介などおこがましい感じですが、ご参考になったのかどうか。

今の日本の礎を築いてこられた逞しい年配のお客様。
ほとんどこの年代の方とベトナムハノイでお会いするなど無く、とても稀なことです。
それだけに新鮮でした。

今お住まいの「問題アパート」で教育しがいのあるローカルスタッフさんと楽しくやり合いながら、引っ越しせずに更新されるのか、
新天地へ引っ越しされるのか、

どうぞご自由に。
新天地への引っ越しならお力になれるかと思います。
引っ越しなしでも、またお目にかかりたいです。

以上、最近底抜けに楽しかった「強い日本人」老夫婦との何気ないやりとりのご紹介でした。

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田口 庸生

田口 庸生 の紹介

初めまして、「ハノイリビング」営業担当の田口(たぐち)です。 日本より初めてベトナムのハノイに着任された日本の皆様、 愛するご家族を日本に残し、初めての「海外単身赴任」をこれから経験される皆様、 快適なハノイでの生活を満喫していただくために、皆様の「お住まい探し」から「入居後のサポート」まで一貫した「窓口対応」を請け負います。 「ベストマッチ」を合い言葉に・・・ どうぞお気軽にお問い合わせください。 お待ちしております。
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